第44話 楠木の両親
放課後、僕は楠木と二人で下校する。勝也は井上たちが僕から引き離してしまったのだ。途中、願本寺に立ち寄る。日浄さんが僕に言う。
「大変だったね。警察が君を捕まえるとは思わなかったよ。」「どういうことですか。」
「アラタの殺しは体が変化するから、君の痕跡が残らないだろ。」「そうか、それで釈放されたんだ。」
僕を警察がこれ以上追求できる材料が無いんだ。僕の頭には浅野刑事の顔が思い浮かぶ。きっと、執念深く付きまとうのだろうな。
この後、僕たちはスーパーマーケットで買い物をして帰宅する。楠木が夕食を使って、僕が手伝う。そして、二人で食事をする。楠木が僕に言う。
「私、家に帰りたくないわ。泊まっていい。」「でも、両親が黙っていないよ。」
「あの人とたちは、世間体だけだわ。私のことなんか邪魔に思っているのだから。」「分かった。いいよ。でも節度は守ろうね。」
「一緒に寝てくれないの。」「そ、それはまだ早いよ。」
「冗談よ。」「やめてくれよ。一緒に夜を過ごすだけでもドキドキなんだから。」「うん。」
楠木の顔が赤くなる。僕は楠木を守りたいと思う。僕たちは将来の話をした。ずっと楠木と生活できれば、他には何もいらないと思った。夜遅くなり、僕たちは寝ることにする。
もちろん部屋は別々だ。僕は気持ちが高ぶって眠れない。深夜になり、突然、玄関ドアをドンドン叩かれる。僕と楠木は玄関へ行き、ドアを開ける。
中年の男女がいた。男が怒りながら僕に言う。
「お前が日下光喜か娘をたぶらかして、ただで済むと思うなよ。」「友里来なさい。人殺しと同棲なんて許さないわよ。」
僕は、楠木の両親が来たのだと理解する。楠木が両親に言う。
「こんなところで親のまねなんてしないで、私は日下君と暮らすわ。」「あんた正気かい、この子は人殺しなんだよ。」
「日下君は人殺しじゃないわよ。優しいのだから。」
僕は父親に腹を蹴られてうずくまる。さらに僕は頭を蹴られて倒れる。楠木が叫ぶ。
「人殺しーーー」
楠木の叫び声を聞いて、張り込んでいた警察官が駆け付ける。
「この人が日下君の頭を蹴り飛ばしました。」
警察官は楠木の父親を逮捕する。気を失っている僕は救急車で病院に運ばれる。僕は、脳震盪を起こしていた。僕は一晩入院することになる。
僕は楠木の父親を傷害罪で被害を警察に出す。楠木は母親に家に連れ戻される。母親が楠木に言う。
「あの子とは付き合ってはいけないよ。世間になんていわれるかわかったもんじゃない。」「私じゃなく、世間体が大切なんでしょ。」
「それにお父さんを売ったわね。」「日下君にひどいことしたんだから当然でしょ。」
「本当にあんたは疫病神だよ。」「あんたらなんて親じゃないわ。」
楠木はすでに崩壊していた。




