第40話 勝也の告白
僕はいつものように登校する。途中で勝也と合流する。
「光喜、おはよう。」「おはよう。」
勝也は昨日のことがなかったように接してくれる。僕にとってはありがたい。気にされているようだったら、接しずらい。
僕と勝也は、何気ない話をしながら、教室へ向かう。教室に入ると楠木が席を立って来る。
「おはよう。何かいいことあったの。」「別に特にないけど。」
楠木は、僕たちに感じることがあったらしい。勝也が僕たちに言う。
「話があるんだ。放課後、願本寺で話しを聞いて欲しい。」「分かったわ。きちんと話してね。」
僕たちは授業を受けて、昼は、僕と楠木が二人で弁当を食べて、勝也は井上たちと食事をとる。午後も何もなく、平和な一日を過ごす。
放課後、僕たち三人は願本寺へ向かう。本堂へ行くと日浄さんはいなかった。勝也は日浄さんにも聞いて欲しいというので、探すと庫裏で来客がいるようだった。
僕たちは本堂で待つことにする。15分くらい待つと日浄さんが本堂へ来る。勝也が日浄さんに言う。
「お客さんが来ていたようなので本堂で待っていました。」「済まなかったねー。警察官が事情を聞きに来ていたんだよ。」
「もしかして、僕のことですか。」
僕は悪い予感がする。
「その通りだよ。光喜君との関係を聞かれてね。友里ちゃんの彼氏ということにしておいたよ。」「私たち付き合っています。」
「お似合いだと思っていたんだ。嘘のならなくて良かったよ。」
勝也が僕たちに言う。
「話があるんだ聞いて欲しい。」「何かな。大切な話のようだけど。」
「俺は昨日、光喜を殺そうとして包丁で腹を刺したんだ。」「いやっ、嘘でしょ。」
楠木がうろたえる。僕は楠木の手を握って言う。
「大丈夫だよ。」「でも、なんで殺そうとするのよ。親友でしょ。」
「俺は、アラタが俺の友達を殺していくことが耐えられなくなったんだ。」「光喜は悪くないわ。」
「その通りだ。でも光喜を殺せばアラタも死ぬ。」「そうだけど・・・」
「俺は包丁で光喜の腹を刺して、まだ息があったから首を絞めた。」
楠木が涙目になる。勝也の言葉がかなりのショックだったのだろう。
「でも、光喜は死ななかった。アラタが目覚めて俺に言ったんだ。バラバラに切り刻まないと死なないと。」「私も光喜君を殺すことを考えたがやめることにしたんだ。」
「日浄さんまでなんてことを言うの。」「アラタを野放しにしておくと人がたくさん死ぬからね。」
「そうだけど・・・」「私は、光喜君が消えて、アラタが生き残った時のことを考えたんだ。最悪の結末だろ。」
「日浄さん、アラタはほとんど不死身です。包丁で刺したキズはありませんでした。」「僕は小山刑事に拳銃で撃たれたけどキズ一つありませんでした。」
「やはり、一瞬で体をばらばらにしないと無理だね。」「結城君、日下君を殺すことは諦めたの。」
「俺は後悔したよ。光喜は俺の親友だから。」「分かったわ。私、結城君を許すことにするわ。」
僕は勝也だけでなく、日浄さんまで僕を殺すことを考えていたとは驚きだった。




