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第38話 勝也の殺し

 僕は願本寺で勝也と別れて、楠木とスーパーマーケットへ夕食の食材を買いに行く。楠木と家に近づくとアラタが言う。

 「家が監視されているぞ。」「警察だろ。」

 「監視は増えている。」「これは、死角の窓から出入りできないな。」

 「ふん、監視などどうとでもなる。」「殺すなよ。」

 「日下君、どうしたの。」「何でもないよ。」

僕たちは家の中に入る。いつも通り、二人で夕食を作って食べ、楠木を家まで送って行く。僕の一番楽しい時間だ。

 僕は一人で家に歩いて帰る。監視している警察官に挨拶をしようかと考えるがやめておく。彼らは僕に気づかれないように監視しているのだ。

 もし、僕が挨拶したら、彼らの努力が水泡になってしまう。

 僕は何も気づいていないように家に近づく、すると家の前に人影がある。僕は警戒して近づく。

 僕は人影の正体に気づいてホッとする。勝也だった。勝也がこんな夜に来るなんて珍しい。

 「勝也、どうしたんだい。こんな夜に。」「話があってきたんだ。」

 「急ぎの話かな。」「二人だけで話したかったんだ。」

 「分かった。入ってから話そう。」「ああ。」

勝也は真剣な目をしている。何か真面目な話があるに違いない。

 僕は勝也を僕の部屋でなく居間へ通す。そして、お茶を入れて、茶菓子を探す。

 「光喜、急に押し掛けたんだからお構いなく。」「ごめん、茶菓子が見つからないよ。お茶だけだ。」

僕はお茶をテーブルに出して座る。

 「話はなんだい。」「佐藤、西山、斎藤、近藤、池田、松本。」

 「みんなアラタが殺した友達だ。」「残るのは井上、川口と俺だ。」

 「アラタは勝也を殺すつもりはないよ。」「でも井上と川口は殺すのだろ。」

 「僕は、何とかアラタを止めたい。」「できるのか。」

 「気のコントロールを・・・」「だめだったろ。」

 「ああ、松本の時、止められなかったよ。」「光喜はどう思っているんだ。」

 「佐藤たちには申し訳ないと思っている。」「6人も死んでいるんだぞ。」

 「勝也の言うとおりだ。僕のせいだ。」「光喜は悪くないよ。でもアラタは許せない。」

 「僕がアラタを消すことが出来ればいいのだけど。今の僕の力では無理だよ。」「・・・・・」

 「勝也、どうしたんだ顔が青いぞ。」「大丈夫だ。ああ、大丈夫だ。」

 「本当に大丈夫か。」「ああ、大丈夫だよ。」

勝也は手が震えているし顔色も悪い、大丈夫とは思えなかった。僕は勝也の横へ行く。

 「俺、アラタを止める方法を知っているよ。」「本当か。」

 「光喜、君が死ねばいい。」「勝也・・・これ・・・」

僕は腹に何かを違和感を感じると共に痛みを感じる。見ると腹に包丁が刺さっている。包丁は勝也が握っている。

 「ごめん、これしか思い浮かばなかったんだ。俺のこと憎んでもいいよ。」「そうだな。僕が死ねば・・・」

僕の意識が遠くなる。僕の目には勝也の泣き顔が映る。

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