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第37話 勝也、考える

 僕は眠れず朝を迎える。洗面所に行くと鏡に映る顔はひどい表情をしている。学校を休みたいが登校しなければならない。

 今日は松本の死が伝えられるだろう。僕は向き合わなくてはならない。

 家を出るとコンビニへ行って、サンドイッチを買って食べる。味がしない。僕は昨夜のことにショックを受けているのだろうか。

 途中で勝也と合流すると勝也が言う。

 「ひどい顔をしているぞ。どうした。」「松本がアラタに殺された。」

 「抑え込めるはずだよな。」「だめだったんだ。ちゃんと気のコントロールが出来ていたのにアラタの動きを封じられなかった。」

 「そんな・・・」

勝也は黙り込んでしまう。僕と勝也は無言で教室まで行く。教室に入ると楠木が弁当を持って近づいて来る。

 「どうしたの。ひどい顔をしているわ。」「うん、あとで説明するよ。」

僕は楠木の顔を見て少し癒される。僕は楠木を好きになっていた。こんな僕と付き合ってくれるのだ。僕は幸せ者だ。

 ホームルームが始まる時間になって、担任が教室に入って来る。

 担任の表情で、クラスが重い雰囲気に包まれる。みんな、経験で「また誰かが殺されてのだ」と思っているに違いない。

 「松本君が・・・殺されました。警察が張り込んでいましたが犯人は逃走しています。」

担任は涙声で言う。女生徒が一人倒れる。

 「保健委員は保険医の先生を呼んでください。」

担任はスマホで119番通報をする。担任の口ぶりは普段の落ち着いた雰囲気はなく、焦っているように感じる。先生にも余裕がないのだ。

 保険医の先生が来ると周りの生徒に倒れた時に頭を打っていないか確認する。女生徒は呼吸はしているが意識がない。

 救護隊が到着する。両隣のクラスも騒ぎになって、教室から先生が集まって来る。女生徒は担架で運ばれ病院に搬送される。

 緊急に職員会議が開かれて、学校の午前の授業は自習になる。昼休みになって担任が教室に入って来る。

 「今日は、授業は不可能だと判断されたので午後は帰宅してください。明日は元気に登校してください。」

 「先生、石垣さんはどうなりましたか。」「重度のストレスで倒れたと診察されました。今は病院で様子を見ていますので安心してください。」

クラスに安堵の声が広がる。僕は、勝也と楠木の三人で願本寺へ行く。日浄さんに会うと楠木が僕に言う。

 「何があったか、教えてくれるのよね。」「うん、昨夜、アラタは松本を狙ったから、気をコントロールして動きを封じようとしてけどだめだった。」

楠木の顔色が変わる。日浄さんが僕に言う。

 「今回はだめだったのだね。」「はい、多少は効いていたようですけど動きを止められませんでした。」

 「気の力を強くする必要があるね。」「分かりました。」

これまで黙っていた勝也が発言する。

 「気の力を強くしてもアラタが適応してくるのではないですか。」「いう通りだね。でも限界があるはずだよ。」

その後、勝也は考え込むように黙っていた。


 勝也は、これ以上、友人に死んで欲しくなかった。アラタを止めなければならない。どうしたらいい。光喜を殺せばこの殺人は止まる。

 でも光喜は親友だ。手にかけることなどできない。でも、井上たちが殺されてしまう。勝也の考えはまとまらない。

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