第36話 アラタ、松本を殺す
僕はアラタが動かないように願いながら眠りにつく、するとアラタが言う。
「この家を見張っている奴がいるぞ。」「だったらおとなしくしておこうな。」
僕は見張っているのは警察だと思っている。これならアラタは動くことが出来ない。ぐっすり眠れるぞ。
夢を見る。例のリアルな夢だ。屋根から体を吊るして窓に手をかける。しかし、窓にはカギがかかっている。右手がにじむように窓のわずかな隙間に入り込みクレセント錠を外す。
そして、窓を開けると滑り込むように部屋の中に入る。松本はベットの中だ。まずい、アラタは松本を殺すつもりだ。僕は丹田に気を集中させて爆発させるように気を解き放つ。
これでアラタは動けないはずだ。アラタが僕に言う。
「同じ手が二度も通用すると思っているのか。」「お前の動きがぎこちないぞ。」
「それでも我の勝だ。獲物は目の前だからな。」「・・・・・」
アラタの言うとおりだ。アラタを止めるためには集中しなければならない。アラタの方が早いだろう。
その時、松本が飛び起きて明かりを点ける。
「光喜!その姿はなんだ。」
次の瞬間、アラタが松本の首を絞めて骨を折る。誰か階段を上がって来る足音が聞こえる。アラタは滑るように窓から出て屋根に上がる。そして、屋根を伝って移動していく。
家の屋根に到着すると見張りから死角になっている窓から家の中に入る。アラタは僕に体を返す。
ほぼ同時に家のチャイムが鳴らされる。僕は警察だと思い、1階に降りる。玄関に行くと「ドンドン」とドアをたたき始める。
「こんな夜中に何ですか。」「警察です。ドアを開けてください。」
僕は玄関のドアを開ける。スーツを着た男が二人立っている。一人が警察手帳を見せる。
「日下光喜君だね。何をしていた。」「寝ていたんですよ。どういうつもりですか。」
もう1人の警察官が無線を送る声が聞こえる。
「いました。家の中です。」
松本の家に警察がいたに違いない。手帳を見せた警察官が言う。
「すみませんが家の中を見せてもらえますか。」「勝手に見ればいいでしょ。」
まずい、ベットの布団は冷えている。寝ていなかったことが丸わかりだ。僕は警察官を無視してベットに入る。
「光喜君、協力してくれませんか。」「自由に見ていいですよ。僕は学校があるので寝ます。」
これでごまかせるか・・・
警察は家の中を見て回った様だ。最後に僕の所に来る。
「光喜君、2階の廊下の窓が開いていましたよ。」「閉めておいてください。」
「では、私たちは失礼します。」「・・・・・」
警察は何か見つけたんだろうか?それなら、警察署に連れられて行くはずだ。
光喜の家を出た刑事はぼやく。
「何も証拠がなかったな。」「いや、日下光喜の指紋を手に入れたんだ。少しは前進したさ。」
光喜は連続殺人捜査本部で重要参考人としてマークされていた。




