第35話 アラタ、松本を狙う
僕は、顔を見られたのではと心配する。それなら、すぐ警察が捕まえに来るだろう。心配で朝まで一睡もできなかった。
朝になり、登校のため家を出るが足が重い。途中で勝也と合流する。
「どうした。疲れているんじゃないのか。」「アラタが松本の所に行ったが殺人を阻止したんだ。」
「とうとうやったな。」「顔を見られたかもしれない。」
「それは問題だな。でもそうだったら警察が黙っていないよ。」「そうだよな。」
僕と勝也が教室に入ると井上と松本が駆け寄ってきた。
「きたんだよ。俺の部屋にいたんだ。」「サルでも入って来たのか。」
「違うよ。殺人鬼だ。顔が黒かったんだ。人間じゃない。化け物だよ。」「顔を黒く塗っていたかもよ。」
「いいや、俺には分かる。」「光喜、どう思う。」「本当に見たのかな。」
松本に井上が加勢する。
「勝也も光喜も驚かないのか。」「驚いているけど。化け物とはねえ。」
「松本を信じるぞ。人間だったらいまだに捕まらないのはおかしいよ。」「犯人が狡猾なんだよ。」
そこに担任が教室に入って来る。
「ホームルームの時間だぞ。席につけー。」
僕たちは慌てて席につく。担任は教室を見回してから言う。
「昨夜、松本の部屋に不審者が侵入した。みんな、部屋の窓はきちんとカギをかけるように。」
「先生、来たのは殺人鬼ですか。」「先生も不審者としか聞いていません。」
「松本どうなんだ。」「あれは顔が真っ黒で人間じゃなかったよ。」
「じゃあ、宇宙人だな。さらわれるところだったな。」「笑うな!俺は怖かったのだぞ。」
担任が手を叩くと教室が静まる。
「みんな、憶測で噂をしないように身を守ることを考えるんだ。」「先生、なぜこのクラスばかり狙われるのですか。」
「分かりませんが、クラスから被害者が出ていることは事実です。用心するように。」
担任の言葉はクラスの生徒の心を冷やしてしまう。僕は、松本が部屋にいたのは僕だと気づかなくてホッとする。
休み時間になると松本は質問攻めにあっていた。アラタが僕に言う。
「今回は失敗したが、次は殺してやる。」「諦めていないのか。」
「当たり前だ。邪魔するなよ。」「止めるに決まっているだろ。」
「やってみろ、次は思うようにいかないからな。」
アラタは松本のことを諦めていなかった。僕は危機感を感じる。
放課後、僕は楠木と勝也と共に願本寺へ行く。僕は日浄さんに昨夜のことを話す。
「そうか、アラタを止めることが出来たんだね。」「坊主、何度も同じ手は通用しないぞ。」
アラタが僕を乗っ取り発言する。僕は日浄さんに言う。
「アラタは、まだ松本を狙っているんだ。」「光喜君、落ち着いて対応するんだ。君の気はアラタに効果があるのだから。」「はい。」
楠木も勝也も僕を応援してくれる。だが、僕はアラタの自信が気にかかっていた。




