第30話 防犯カメラ
僕は走って家に帰る。とうとう自分の手で殺してしまった。アラタと同じになってしまった。
「そうだ、我はお前と同じなのだ。殺しは楽しいだろう。」「黙れ!楽しいものか・・・本当に楽しんでいなかったのか。」
「今、お前は生き生きとした顔をしているぞ。」「嘘だ。」
僕は洗面所に行って自分の顔を見る。そこには笑顔を貼り付けた僕がいた。間違っている。僕は楽しんでいない。そのままベットに倒れて頭を抱える。
気がつくと朝になっていた。僕は登校することにする。コンビニでサンドイッチを朝食に食べて、歩いていると勝也と合流する。
「光喜、顔色が悪いぞ。」「昨日、よく眠れなかったんだ。」
「そうか、何かあったら相談してくれ。」「ありがとう。」
勝也に池田のことを言えるわけがない。教室に入ると楠木が待ちかねたように近づいて来る。
「おはよう。顔色が悪いよ。」「うん。良く寝られなかったんだ。」
「これ貰ってくれる。」「これは・・・」
「お弁当、いつもコンビニ弁当でしょ。」「ありがとう。うれしいよ。」
僕はお弁当を受け取って、うれしくなる。勝也が僕と楠木に言う。
「お前たち付き合うことにしたのか。」「うん。昨日からだよ。」
「お似合いだと思うよ。俺も彼女欲しいな。」「勝也、もてるだろ。」
「難しいんだな。これが。」
勝也が僕と楠木を残して離れていく。勝也は井上たちと話をし始める。話題は池田のことのようだ。
ホームルームの時間になって担任が教室に入って来る。
「池田が昨晩から家に帰ってきていないそうだ。居場所を知っている者がいたら教えてくれ。」
担任が教室を出ていくと井上たちと勝也が僕の所に来る。
「昨日、池田が来なかったか。」「いや、知らないよ。」
「あいつ、光喜のことを佐藤たちを殺した犯人だと言っていたんだ。ナイフを買ってから人が変わったみたいに攻撃的になっていた。」「僕を殺すつもりかな。」
「やりかねない勢いだった。気を付けてくれ。」「分かった。」
池田はナイフを買ったせいで気が大きくなっていたのか。
「なぜ、僕が犯人なの。」「よくわからないよ。急にそう言いだしたんだ。」
どうも池田だけが僕を犯人だと考えたらしい。これなら井上たちに殺される恐れはないだろう。
放課後、僕は楠木と勝也と一緒に帰る。勝也と別れると僕と楠木はスーパーマーケットで食材を買って僕の家に帰る。夕食は楠木が作ってくれる。
二人で夕食を食べた後、僕は楠木を家まで送る。暗くなった道を家に帰るとまた家の前に人影がある。それに車が止まっている。近づくと人影は二人だ。
人影は僕に気づくと声をかけてくる。
「日下光喜君だね。警察です。」「警察が何の用ですか。」
「昨夜、少年がナイフを持った少年に追いかけられているという通報が何件もありまして、街の防犯カメラを調べたのです。」「・・・・・」
僕は防犯カメラのことまで気にしていなかった。あの時は、そこまで気を回す余裕はなかった。
「これ、光喜君ですよね。」
警察官は防犯カメラの写真を見せる。はっきりと僕が写っていた。
「はい、僕です。」「なぜ走っていたのかな。この後ろにナイフを持った少年がいたんだよ。」
ナイフを持って追いかける池田が写っている。僕は言い逃れできないと思った。
「僕は池田君に殺すと言われて追いかけられました。」「そうか、署で詳しい話を聞かせてもらうよ。」
警察官は僕を車に乗せて警察署に同行する。




