第24話 気を使う
放課後、僕は楠木と勝也と共に願本寺へ行くことにする。日浄さんに近藤を殺してしまったことを話すためだ。そこへ井上たちが声をかけてくる。
「話があるんだが、ちょっといいか。」「これから俺たち用事があるんだ。」
「時間はとらせないよ。殺されて4人は、俺たちの友達だよな。」「同じクラスだからそうなるだろ。」
「佐藤、西山、斎藤、近藤だぞ。何か思い浮かばないか。」「いつもバカをやっている仲間だ。」
「俺たち、佐藤が殺される前に何をやったか覚えているか。」「肝試しだろ。」
「そうだよ。4人とも参加している。」「そうだな。俺たち呪われているかもな。」
「怖いこと言うなよ。冗談を言っている場合じゃないよ。」「俺は真面目に言っている。」
「だったら。俺たちも殺されるぞ。」「ああ、気をつけないとな。」
「何か自衛をした方がいいかな。」「枕元にナイフでも置いておくか。」
「そうだな。何か武器を持っていた方がいいな。」
井上たちは、ざわざわ話し合って、ナイフを買いに行くことになる。勝也が僕に質問する。
「ナイフでアラタに対抗できるか。」「無理だよ。拳銃のタマが当たっても無傷だったよ。」
「冗談じゃないな。本当の化け物かよ。」「化け物だよ。誰かに倒してほしいけど弱点が分からない。」
勝也は、弱点と聞いて、光喜を思い浮かべる。光喜を殺せばアラタを殺すことができる。光喜が死ねば、井上たちと俺は助かる。いいや、何を考えているんだ。
光喜を殺せるわけがない。勝也は、思ったことを振り払うように首を振る。
僕たちは無言で願本寺まで行く。気が重くて話をする気が起きなかったのだ。本堂へ行くと日浄さんを見つける。
「やあ、君たち。何か起こったのかな。」「僕がクラスネイトの近藤を殺してしまいました。」
「アラタがやったんだ。君じゃない。」「そうですが、目の前で殺されていくのに何もできませんでした。」
「私も何もできない。でも、君ならアラタをコントロールできるかもしれない。」「どうするんです。」
「気を使って、アラタにダメージを与える。」「気なんて使えませんよ。」
「君にもできるよ。さあ、座って。」「はい。」
「呼吸を丹田を意識してするんだ。」「丹田?」
「みぞうちの下あたりだ。」「はい。」
「呼吸しながら丹田に体の中の力を集中させて。」「こうかな。」
「どうだい。何か変化はあるかな。」「なんかあったかくなった気がします。」
「そうそう。その力を一気に開放するんだ。」「はい。」「おい坊主、何をさせる。我が死んだら光喜も死ぬんだぞ。」
「効果あったようだね。」「坊主、殺すぞ。」
光喜に代わってアラタが出てくる。日浄さんの教えた気を使う方法は効果あったようだ。楠木と勝也は光喜が気を使いこなせばアラタをコントロールできるのではと考える。




