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第22話 ショッピングモール

 夜、僕は夢を見る例のリアルな夢だ。僕はアラタを止めなくてはならない。どうすればいい・・・良い案はおもいつかない。

 僕はアラタに呼びかける。

 「アラタ、もうやめてくれ。」「何を言う。これから楽しい時間が始まるのではないか。一緒に楽しもう。」

僕はアラタと会話しても無駄だと思った。後は体の主導権を僕に取り戻すだけだ。

 ここは暗いが覚えがある。ショッピングモールだ。防犯カメラがあるから僕が今夜ここにいたことがばれてしまう。向こうから誰か歩いて来る。近藤だ。

 「日下、お前もいたのか。ここはどこだ。」「お前の墓場だ。」

 「ふざけているのか。ちゃんと答えろよ。気がついたら、ここにいて心細いのだぞ。」「だから墓場だ。」

アラタは僕の体で笑う。

 「気持ち悪いな。悪趣味だぞ。」「まだわからないのか。」

アラタは右手を黒い鞭にして近藤の左足を打ち据える。ゴキッと嫌な音が聞こえる。足の骨が折れて音だ。近藤が倒れて叫ぶ。

 「いてー、いてーよー」「どうした。次は右足か。」

 「日下やめてくれ。痛いよー」「さあ、行くぞ。」

アラタは、右手の鞭で近藤の右足を打つ。再びゴキッと骨の折れる音がする。

 「ぎゃあああああああぁぁぁぁーーーーー」

近藤は叫ぶと這って逃げ出す。アラタは僕に心の中で言う。

 「どうだ、楽しいだろ。虫けらをつぶすのはいいなー」「いい加減にしろ。防犯カメラがあるから僕たちは終わりだ。」

 「俺はビデオに映らないことを忘れたのか。」「だが、僕は映るぞ。」

 「同化しているんだ。映ったとしても誰か判別できないぞ。」「そんな・・・」

これではアラタの殺しを止めることが出来ない。さっきから体の主導権を取り戻そうとしているが失敗している。

 アラタは、次に右腕の骨を折る。近藤は左腕だけで這って逃げようとする。アラタが楽しそうに言う。

 「まだ、あきらめないか。」「頼む。助けてくれ。」

近藤の懇願は無視される。アラタは左腕の骨を砕く。そして笑いながら言う。

 「さあ、どうする。どうやって逃げる。」「降参だ。命だけは助けてくれ。日下のことは誰にも言わないから。」

 「取引のつもりか。」「佐藤や西山たちを殺したのはお前なんだろ。」

 「その通りだ。今夜はお前の番だ。」「いやだー、やめてくれ。何でもするから。」

アラタは、右腕の黒い鞭で近藤の首を絞める。近藤は何かを言おうとしていたがすぐに静かになる。アラタが僕に言う。

 「良かっただろ。我らは人間を越えた存在だ。誇るがいい。」「何、気取っているんだ。ただの殺人狂じゃないか。」「ふん、つまらん。」

僕に体が戻る。僕は近藤に駆け寄る。

 「近藤、大丈夫か。」

体をゆすると近藤の頭は変な方向に曲がる。アラタは、首の骨を砕いていたのだ。僕はショッピングモールから逃げ出す。何とか家にたどり着くと父が玄関にいた。

 「光喜、どこに行っていた。」「アラタが近藤を殺したんだ。」

 「お前は見ていたのか。」「体の自由をアラタに奪われて何もできなかったよ。」

 「そうか、もう寝なさい。」「父さんは・・・」「私はいい。」

僕には父が老けたように見えた。


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