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第20話 同化

 父が怒って僕に言う。

 「光喜、お前の仕業か。」「小山のこと。」

 「公園で惨殺されたと聞いたぞ。私は小山を告発する準備をしていたんだ。」「僕じゃないよ。アラタが出てきたんだ。」

 「またアラタが殺人を犯し続けるのか。」「そうはさせない抑えてみせるよ。」「そうか。」

父光也は自分の手で小山に罰を下せなかったことを悔しく思う。そして、光喜のことを心配する。アラタが殺しを続けたら誰かが止めなくてはならない。

 止めるには、光喜を殺さなくてはならないのだろうか。

 僕は母の葬儀が終わったので学校へ登校する。朝食を作る人がいないのでコンビニでサンドイッチを買って食べる。登校途中、勝也と合流する。

 「大変だったな。大丈夫か。」「大丈夫だよ。」

母の死因が自殺だったことは知れ渡っているだろう。勝也はそのことに触れない。僕は助かる。

 教室に入ると、楠木がすでに席に着いている。僕は声をかける。

 「おはよう。」

だが、返事がない。楠木は席から立つと僕の手を掴んで教室から引っ張り出す。僕は空き教室に連れ込まれる。何なのこの状況?

 楠木の顔が青い。僕はよくない予感がする。

 「日下君、穢れのアラタと同化しているわよ。」「えっ、どういうこと。」

 「黒いものが日下君と入り混じっているの。日浄さんに相談しないと。」「我は坊主は好かんぞ。」

え、今、僕が発言したの。楠木に説明しないと・・・

 「あなたは日下君なの。」「僕だよ。今のはアラタが勝手に話したみたいなんだ。」

 「日下君、気をつけていないとアラタにとって代わられるわ。」「うん、気をつけるよ。」

教室に戻ると僕と楠木のことが話題になっていた。井上が茶化すように言う。

 「光喜、とうとう楠木と付き合うことになったのか。楠木を家に呼んだりしたのはアプローチか。」「何とでも言ってくれ。楠木とは友達だよ。」

僕の心の中でアラタが言う。

 「うるさい小僧だな。殺してしまおうか。」「どうせ、みんなを殺すつもりなんだろ。」

 「我を目ざめさせた連中は逃さないぞ。」「もうやめてくれ。」

 「ふん、お前、仲間とか言ってうわべだけの付き合いだろ、楠木と勝也は特別化か。」「僕の心を読んだのか。」

 「我らは一つなのだ。当然だろ。」「僕たちはどうなるんだ。」「さあな、我はやりたいことをするだけだ。」

僕はアラタを自由にさせてはならないと考える。この考えもアラタに筒抜けだろう。



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