第17話 母の死
僕が病院で父を待っていると警察官が病院にやって来る。
「君は日下麻木さんのお子さんかい。」「そうです。」
「自殺をしたことを発見したのは君でいいのかな。」「はい、僕が見つけました。」
「なぜ、自殺したのか教えて欲しい。」「小山が母を自殺に追い込んだのです。」
「小山?どんな人かな」「小山刑事ですよ。仲間なんだろ。」
「刑事がそんなことする訳がない。誤解しているのではないかな。」「僕の言うことを疑うのですか。」
「そういうわけでは・・・」
そこへ父がやって来る。
「息子に何をしているのです。母親を亡くしたばかりなんですよ。無神経ではないですか。」「我々は自殺の理由を尋ねていただけです。」
「お父さん、僕の言うことを疑っているんだ。」「どういうことですか。」
「息子さんは小山刑事が自殺に追い込んだというのです。刑事がそんなことする訳がないでしょう。」「あの刑事さんならあり得る。」
「お父さんまで・・・とにかく、ご自宅で現場検証をしますのでご協力お願いします。」「勝手に見て行けばいいでしょ。」
父は完全の怒っている。警察官は肩をすくめる。僕は父の運転する車で家に向かう。母は病院の霊安室だ。これから葬儀の手配をしなければならない。
「光喜、小山刑事は何をしたんだ。」「分からないけど、僕が家に帰ったらお母さんは玄関に座り込んでいた。」
「何か言っていたか。」「日曜日、僕と楠木はショッピングモールで買い物をしたのだけど、小山が後をつけていた。そのことをお母さんに話したよ。」
「それだけで自殺をしないだろ。」「あとは分からないよ。」
家に到着すると警察官が3人来ていた。彼らは僕に自殺を発見した状況を質問した。
父は葬儀の手配や親類への連絡で忙しそうだ。警察官は家の中を調べる。遺書がないか探しているそうだ。
僕は小山に対する怒りが再び湧き上がって来る。心の中から黒いものが動き出す感じがする。それが僕に語り掛ける
「小山を殺してやろう。我を解き放て。」
それは幻聴かもしれない。だが、僕を動揺させるには十分だ。「あーーーーっ」僕は思わず叫ぶ。父か駆け寄る。
「大丈夫か、光喜。」
返事はできない。足に力が入らない。座り込んで頭を抱える。その時、楠木の顔を思い浮かべる。そうだ、日浄さんがアラタを抑え込んで、楠木が護符をお守りに入れてくれたのだ。
こんなところでアラタに負ける枠にはいかない。僕はアラタに言う。
「お前の力は借りない。ずうっとおとなしくしていろ。」
すると体に力が戻って来る。僕は立ち上がって父に言う。
「お父さん、大丈夫だよ。」「心配だ。今日は寝なさい。」
その時、警察官がタンスの引き出しから遺書を発見する。遺書には、僕のことを心配していることと小山刑事が僕のことを疑っていて、追及に耐えられなくなって死を選んだことが書かれていた。
父は遺書を読んで激怒する。家から警察官を追い出すと出かける準備をする。
「お父さん、どこに行くの。」「小山にあって来る。」
父は車で警察署に出かける。




