第15話 家族の崩壊
僕が家に帰ると母は玄関に座って待っていた。
「光喜、嘘ついたわね。結城さんに電話したら勝也君は出かけていないそうよ。」「勝也は急に来られなくなったんだよ。」
「ごまかせると思っているの。楠木さんと会っていたわね。」「いいだろ。楠木は悪くないんだ。」
「光喜は変わってしまったわ。そんな子と言う子じゃなかったのに・・・」「変わったのは母さんの方だろ。」
「うるさいぞお前たち。いい加減にしろ。」
父が怒って怒鳴る。僕は父が怒鳴るところを始めてみた。母もショックを受けたみたいで蒼白な顔をして茫然としている。父が母と僕を見て言う。
「済まなかった。私も余裕が無いんだ。」
僕はだまって2階に上がって行く。しばらくして母が部屋に来る。
「私、食事を作る気にならないから、これで食べなさい。」
そう言うと僕に一万円札を2枚渡す。これは数日食事を作ってくれないに違いない。すると僕の家の車のエンジン音が聞こえる。父は一人で外出したようだ。
僕は、たった三人の家族の関係が壊れていくことを感じる。これは僕のせいだ。穢れのアラタが佐藤、西山、斎藤を殺したため、両親が追いつめられてしまっている。
僕たち家族は同じ家にいながら別々に暮らすことになる。これでは他人と同じだ。
夜、僕は夢を見る。アラタが僕の両親を殺す夢だ。僕はまさかと思い。1階に降りて確認する。父も母も無事だったが二人は別の部屋に寝ていた。想像はしていたがショックだった。
朝になり、父はいつもより早い時間に車で出勤する。僕もコンビニで朝食を食べるため早めに家を出る。麻木は家に一人残る。買い物に出掛ける気も起きないため、家でじっとしている。
すると訪問者がある。麻木はチャイムを無視していたがしつこいので出ることにする。玄関のドアを開けると小山刑事がいた。
「奥さん、なかなか出てくれないから、留守かと思いましたよ。」「何の用ですか。」
「何か思い出したことがないかと思いまして。」「話すことはありません。帰ってください。」
「そう言えば、昨日、ショッピングモールで光喜君に会いましたよ。」「ショッピングモールですか。」
「知らなかったのですか。彼女と楽しそうに過ごしていましたよ。」「楠木さんですか。」
「そうそう、友里ちゃんだ。ただのクラスメイトだと言っていましたが違うでしょ。」「あんな娘と。」
「奥さんは友里ちゃんのことが気に入らない。そうでしょ。」「霊が見えたり、人の死が見えるなんて気持ち悪い。」
「でもいい娘だと思いますよ。」「何言っているんです。」
「まあ、落ち着いて。夜、光喜君は出かけたりしていませんでしたか。」「どういうことですか。」
「私は、光喜君が佐藤君、西山君、斎藤君と会っていたのではないかと思っていましてね。」「光喜が夜、出かけるわけないでしょ。帰ってください。」
麻木は玄関のドアを閉めようとするが、小山刑事はドアを掴んで閉めさせない。
「本当ですか。調べればわかるのですよ。」「しつこいですよ。」
小山刑事がドアから手を放す。麻木は玄関ドアを閉めるとそのまま座り込む。もう限界だ。刑事は光喜を疑っている。そして家族はバラバラになってしまった。
もう何をすればいいのかわからない。麻木は逃げ出したかった。




