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第1章:第9話「ローズ村のひみつ」

このお話では、“中央銀行”の役割を知ります。

ローズ村から訪れたロゼットは、金と信頼を結びつける“金庫制度”を紹介します。



丘の上の広場。

朝日がのぼり、ひまわりの花が風にゆれる。

その日、ひまわり村には、遠いところからお客さんがやってきた。


ロゼット:「こんにちは。わたしはローズ村から来たロゼットといいます。」


背にはバラの模様が入った赤いマント。

どこか品のある声に、みんなが耳をすませた。


リオ団長が手をあげた。

リオ団長:「ようこそ、ロゼット。遠いところをありがとう。

タンポポ村のハリー君に聞いたけど、“お金とゴールドを交換する仕組み”を最初に作ったのはローズ村だよね。」


ロゼットは、にっこりほほえんだ。

ロゼット:「そうなの。ローズ村は“お金のしくみ”をずっと研究してきたの。だから、いまではとても大きな村になっているのよ。」


~ローズ村の昔話~

ロゼット:「むかしのローズ村にはね、“ワンワンバンク”のような小さな銀行がいくつもあって、それぞれが自分のカードを出していたの。

ひまわり村のサンキューカードはひとつだけだけど、ローズ村では銀行ごとにカードが違ったのよ。」


りすのしんが首をかしげる。

りすのしん:「それじゃあ、どのカードを信じていいかわからなくなっちゃうね。」

ロゼット:「そう。みんなが少しずつ不安になっていったの。そこで、ローズ村のリーダー“ローズ卿”は言ったの。『まずは村じゅうの“ゴールド”をひとつの金庫に集めて、みんなの信頼のもとに新しいカードを作ろう』って。こうして“ローズ中央銀行”が生まれたの。」


~信頼と未来の約束~

ロゼット:「やがて、となりの大きな村とのあいだで争いごとが起きたの。村をまもるために、船や道具をたくさん作らなければならなくなって、村のお金がどんどん足りなくなってしまったのよ。

みんなから集める税金だけでは、とても間にあわなかった。

そこでローズ卿は考えたの。

“村が『あとで返す』と約束して、いま必要なお金を銀行から借りよう”って。

そうして作られたのが、“ローズ債”という約束の紙。

それを“ローズ中央銀行”が受け取って、そのぶんのお金を作って村に渡したの。

作ったお金は、これまでどおり“ゴールド”と交換できるようにした。

だから、だれもがそのお金を安心して使うことができたの。」


ぴょん様:「つまり、ローズ債という“約束の紙”があればお金を作れるってこと?」

ロゼット:「そう。“未来の信頼”と“金の重み”のふたつが、お金の力を支えていたの。」


~ 中央銀行と民間銀行~

りすのしん:しん:「でも、前にあった小さな銀行たちは、どうなったの?」

ロゼット:「いい質問ね。小さな銀行は、今もちゃんと残っているのよ。

ただ、今では“ローズ中央銀行”とつながっているの。

小さな銀行たちは、中央銀行に“口座”を持っていて、そこにお金を出し入れしているの。

具体的には中央銀行に口座(銀行だけが持てる口座)を持ち、そこで銀行間のお金のやり取り(決済・清算)をするの。

中央銀行は“お金の心臓”、民間銀行は“お金を流す血管”。

中央銀行は、ゴールドやローズ債をもとにお金を作り、それを民間銀行が受け取って、村のみんなに貸したり、支払に使ったりする。

お金は、中央から末端まで流れていく“信頼の川”のようなものなの。」


リオ団長:「なるほど。みんなで信頼の川をつくっているんだね。」


~信頼の光と影~

ロゼット:「ローズ村はこの仕組みで争いに勝ち、村はどんどん豊かになったの。

港には船が並び、市場は人であふれた。

でも同時に、“ゴールド”を失うことを恐れるようにもなったの。

お金の信頼を守るためには、金庫の金を減らしてはいけない——

そう思うようになったの。」


ふくろう長老:「なるほどのう……。信頼の重みを支えるものが、“金の重み”になったわけじゃな。

ロゼット:「そう。そしてこの考え方は、世界じゅうの村に広がっていったの。

タンポポ村も、クローバー村も、“金こそ信頼の証”と考えるようになったの。」


夜、リオ団長は丘の上でつぶやいた。

リオ団長:「ありがとうの信頼が、“金の信頼”に変わるなんて……すこしさびしいね。」

ふくろう長老:「心の信頼と物の信頼、どちらが先に重くなるか——

いずれ、ひまわり村も試されるときが来るじゃろう。」

ローズ村の仕組みは、“中央銀行”の原型です。

金を守り、通貨の価値を安定させる役目。

やがてこの考え方が“金本位制”として広がっていきました。

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