第1章:第8話『インフレの発生!!ひまわり村の初めての災難』
このお話では、“インフレ”の仕組みを学びます。
カードを作りすぎたことで、モノの値段が上がり、村の“ありがとう”の重みが薄れてしまいます。
ひまわり村の朝。
丘の上から見える畑はどこまでも広がり、
動物たちの暮らしはすっかりにぎやかになっていました。
パン屋のぴょん様の店も、
家具職人のジョーくんの工房も、
帽子職人のツネオくんの店も――
どこも大繁盛です。
それを見ていたふくろう長老は、
しずかに羽をたたみながら思いました。
ふくろう長老:「みんなの“ありがとう”が、よく回っておる。でも、まだ少し足りていない気もするのう……。最近は他の場所からひまわり村に住むようになった新しい住人も増えてきた。
そのせいか、少しカードが不足気味の気もするのぅ。。もっとカードを作れば、もっと便利になるのではないか?」
~ 新しいカードとコイン~
長老は夜通し考え、新しく1000サンキュー分のカードとコインを作ることにしました。
そして新しく作ったカードをむらのみんなに平等に配ることにしたのです。
朝日がのぼるころ、リオ団長に言いました。
ふくろう長老:「団長、これでみんなが困らずに済むはずじゃ。」
リオ団長:「ありがとう長老。きっと村のみんなも喜ぶよ。」
こうして、追加のカードとコインがみんなに配られました。
サンキューカードはキラキラ、
サンキューコインは手のひらで光り、
村じゅうが少し浮き立つような空気に包まれました。
ところが──
数日たつと、少しずつ変化が見えてきました。
ツネオくん:「あれ?パンが昨日は5サンキューだったのに、今日は10サンキューって言われた!」
ぴょん様:「ごめんね。小麦粉もまきも、前よりたくさんサンキューを払わないと手に入らなくて……。」
ツネオくん:「でもパンの大きさも味も、前と同じだよ?」
ぴょん様:「うん、パンは同じ。でも“サンキューの重み”が軽くなってしまったみたいなんだ。」
りすのしんも首をかしげました。
りすのしん:「“ありがとう”の気持ちは前と変わらないのに、サンキューの重みがなんだか軽い……。
どうしてだろう?」
その年の夏
空はどんより、雨ばかり。
おひさまがすくなくて、畑の野菜はほとんど育ちませんでした。
キュウリもトマトも小さく、農場の仲間たちはため息をつきます。
「今年はとれ高がすくないなぁ……」「あれ?この花のタネ、前は2サンキューだったのに、今日は4サンキューなの!」
りすのしんは広場の木の下でつぶやきました。
りすのしん:「カードやコインの量がふえたせいで、“ありがとう”の価値がうすくなったのかな。
でも、今度はモノが足りないから、もっとサンキューが必要になってる……。まるで、追いかけっこのようだ。」
~ふくろう長老の手紙~
ふくろう長老は、
村のみんなの声を聞いて深いため息をつきました。
ふくろう長老:「サンキューをたくさん作ったのに、みんなが楽になったわけではなかったのう……。」
夜。
長老は机にすわり、羽ペンを手に取りました。
紙の上に、静かにこう書きました。
『サンキューを作るのを、しばらくお休みしよう。
村のみんなが安心して使える“ありがとう”の重みを、
もう一度とりもどしたい。』
そして、翌朝。
リオ団長は村の広場に立ち、みんなに伝えました。
リオ団長:「しばらく新しいカードは作らないことにした。まずは今あるサンキューを、大切に回していこう。」
みんなはうなずきながらも、
心のどこかに、すこし不安を感じていました。
その夜、
ひまわりの丘の上に、やさしい風が吹きました。
コモちゃんが夜空を見上げて、ぽつり。
コモちゃん:「ありがとうが多すぎても、少なすぎても、むずかしいんだね……。
ほんとうに大事なのは、どれだけ心をこめて“ありがとう”をわたせるか、
なのかもしれない。」
空にうかぶ星たちは、
まるで静かにうなずいているようでした。
でも――
このあと、ひまわり村には、
もっと大きな“ためされごと”がやってくるのです。
お金が増えても、感謝の心が増えなければ意味がない。
これは“インフレーション”の教訓です。
経済の量だけでなく、質も大切だと村は気づいたのです。
さてもっと大きな“ためされごと”とは一体何なんでしょうか?
ゆん吉先生の解説ページはこちら!
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