第1章:第10話:「“つくるひと”と“つかうひと” ― 信頼の川が流れるとき ―」
ローズ村のお話しから、「つくるひと」と「つかうひと」の役割が少しずつ分かれてきました。
どこからお金が生まれ、どう村を動かしているのか──
その最初のひみつが明らかになります。
~ローズ中央銀行がやたこと~
ロゼットは、丘の上から村を見おろしながら話を続けた。
ロゼット:
「争いが終わると、ローズ村は再び動きはじめたの。“ローズ中央銀行”は、傷ついた村を立て直すために、村のリーダーが新たに出した“ローズ債”を引き受けて、新しいお金をつくったの。」
そのお金を受け取ったリーダーは、村のみんなに仕事をお願いした。
港の修理、橋づくり、新しい工房。
大工や職人たちが動き出し、しごととお金の流れが再び生まれた。
ふくろう長老:
「“あとで返す約束(ローズ債)”でつくられたお金が、 いまの暮らしを支える――それが“財政支出”という知恵じゃな。」
リオ団長:
「“未来の約束”が、いまを動かしているんだね。」
~民間の“信用の川~
ロゼット:
「けれど、それだけではなかったの。民間の銀行――ワンワンバンクのような小さな銀行たち――も動きだしたの。ローズ中央銀行に“口座”を持ち、そこにあるお金(準備金)をもとに、
お金を必要としているどうぶつたちへどんどん貸し出したの。」
ふくろう長老:
「つまり、“中央銀行がつくるお金”をもとに、 “民間銀行がひろげるお金”が生まれたのじゃな。」
ロゼット:
「そう。“信頼の川”が二つの流れを持つようになったの。上流には中央銀行という“源流”があり、
そこから流れる水をもとに、民間銀行が“信用創造”という名の支流を広げていったの。」
~信頼の支え ― 金~
ロゼット:
「でも、この川がどんどん大きくなればなるほど、“金庫の金”が足りなくなる心配が出てきたの。もし“金と交換できない”と思われたら、お金の信頼が崩れてしまうから。」
リオ団長:
「じゃあ、金を守ることが、村の信頼を守ることなんだね。」
ロゼット:
「その通り。だからローズ村では金を国外に出さないようにして、
逆にほかの村からも金を集めるようになったの。
村の金の量が信頼の証だったからね。
それが、のちに“金の輪”と呼ばれる時代のはじまりになったの。」
ふたたび丘の上で
夜、ひまわり村の空に金色の月がのぼった。
ふくろう長老:
「信頼は目に見えぬが、かたちをもてば“重み”を持つ。
それが金の役割じゃ。」
リオ団長:
「ありがとうの重みも、いつか試されるのかもしれないね。」
ロゼットはやさしくうなずいた。
ロゼット:
「信頼は、“心”でも“金庫”でも育つ。
けれど、どちらか一方を失うとき、世界は大きく揺れるのよ。」
未来の約束で生まれるお金と、
仲間どうしの信頼で生まれるお金。
この気づきが、次の話で登場する「ひまわり村の中央銀行」につながっていきます。




