第1章:第1話「リオ団長とありがとうのカード」
このお話では、感謝の気持ちがどう形になるかを学びます。
ひまわり村のヒーロー、リオ団長と知恵者ふくろう長老のやりとりが、
“ありがとう”を通貨のように見える形にする「きっかけ」になります。
ここは、ひまわり村。
麦の香り、焼きたてパンのけむり、井戸の水しぶき。
朝になると、どうぶつたちの声が重なって、
広場はいつも「おはよう」でいっぱいになる。
村には、みんなが信頼を寄せるリーダーがいた。
それが——リオ団長。
朝の見回りでこどもたちに手をふり、
倒れた枝を道のはしへ運び、
けがをした小鳥をそっと手当てする。
強いのに、やさしい。
みんなが「この村をまもる太陽」と呼ぶ存在だ。
そしてもうひとり。
森のいちばん高い木の上から静かに村を見守る、ふくろう長老。
ことば少なく、昔からの知恵を伝える“月のような存在”。
夜になると、リオ団長がよく長老のところを訪ねては、
村のこれからを語り合っていた。
~嵐の夜~
その夏、ひまわり村をこれまでにない嵐が襲った。
風がうなり、木々がねじれる。
「危ない! 大木が倒れる!」
ヒヒーンが叫ぶ。ぴょん様のパン屋の屋根がみしみしと鳴った。
そのとき——
「こっちは任せてくれ!」
リオ団長が土砂を蹴って駆け出した。
たてがみが雷の光を受けて金色に光る。
倒れかかる幹を両手(前足)で抱きとめ、
地面がうなるほどの力で引き寄せた。
「ぴょん様、下がって!」
「う、うん!」
リスのしんが子どもたちをかかえて走る。
チュー太郎はチーズの箱をかかえて転びそうになりながらも逃げた。
「せーのっ!」
リオが最後の力で押し返すと、
大木は広場のすみに、すわりこむように止まった。
ぴょん様が涙をぬぐう。「ありがとう、リオ団長!」
リオは笑った。「みんなが無事でよかった。それだけで十分だ。」
風はやみ、雲の切れ間に星がのぞいた。
~ ありがとうの形~
その夜、広場で小さなお祭りがひらかれた。
たいまつの火がゆらめき、
村じゅうが「ありがとう」で満ちていた。
ふくろう長老が前に立ち、
小さな木箱を持ってきた。
中には夜明け色のインクと、ひまわりの形のハンコ。
「みんな。今日、わしらは助かった。だれのおかげかな?」
「リオ団長!」
「うむ。じゃが、“ありがとう”は風のように消えてしまう。
だから、形にして残そう。」
長老はカードを取り出し、
ひとつひとつにひまわりの印を押した。
金の粉がきらりと光る。
「これは“ありがとう”の証。名づけて——サンキューカードじゃ。」
カードの1枚目には、リオ団長の絵。
勇気とやさしさが混ざりあうその顔に、どうぶつたちは拍手を送った。
「このカードは、わしらが“ありがとう”を忘れないための灯じゃ。持つたびに、心の中にも光がともるようにな。」
その夜、
ひまわり村に“ありがとうのカード”が生まれた。
風がやさしく通り抜け、
ひまわりの花が一斉に揺れた。
“ありがとう”を形にすることは、心の灯を残すことでもあります。
リオ団長の勇気とみんなの思いが一枚のカードに宿り、“感謝の循環”が始まりました。
次は、このカードがどう使われていくのかを見ていきましょう。
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