復讐の鐘
さて、まずは投稿が遅れて申し訳ありません!こんなに遅くなるつもりはなかったのですが、毎日のようにこうでもないああでもないと試行錯誤をしていたとき、ふとカレンダーを見る最後の投稿から1ヶ月ほどになってしまいました。詳細は後日活動報告の方にあげさせていただきます。
ですが、これだけははっきりさせておきます。いくら更新が途絶えようと、必ず最後までこの作品を書き続けようと思うので、これからも応援よろしくお願いします!
ティアにボクの過去を伝えてから7日。つまり今日はボクの故郷、リチャッカ村に行く日だ。ティア以外にも幹部の皆さんが行きたいってボクに言ってきたけど、申し訳ないながらも拒否した。だってこれはボク個人の復讐だ。だから幹部の皆さんの時間を奪うわけにはいかない。
…まあ本音を言うとなんかあの人達はやらかしそうだしね。いい意味で癖が強く、我が出やすい。だからボクの楽しみを奪ってしまいそうだった。もちろんボクをサポートするっていう気持ちはすごい嬉しいんだけどね?
「ミアー、準備できた?」
「ちょっと待ってー」
ティアに急かされる。
「全く。あいつはいつもあんな感じなのか?」
「そうだけど今日ぐらいいいじゃん。ボクの人生で一番楽しい日になるんだから、準備に時間はかけたいの」
今日は魔王様もボクの家に来てくれた。基本魔王様は外、魔王城からすら出ないから結構新鮮。
「それもそうか。別に大勢が関わっているわけではないからな、ゆっくりしていいぞ」
「ありがと」
ボクは準備にちょっと手間取りながらもようやく出かけれる格好になった。
「おお。ミアってそんな物着るんだ」
「普段は着ないよ。でも今日ぐらいこういうのもいいかなって」
ボクが着たのはとある鎧。白く、見事なまでに彫刻が施された逸品はいつ見ても目を奪われる。この鎧はボクがサタンさんに魔王軍へと勧誘されたとき、すなわち初陣の時の鎧だ。こう純粋なままの鎧もいいけど、真っ白なものを赤に染めあげるのはもっと美しいことだと思う。何年前かもわからない物だけど、色落ちとかは起こしてないし、機能はしそうだった。まあ機能を求めてるんじゃないけどさ。
「勇者の鎧か。まさかまだお前が持っていたとはな」
「大事に取っておいたんだ。なんか粋なことに使えないかなって」
「そうか、気をつけて行ってくるんだぞ。2人とはいえ戦力的には申し分ないはずだ。ミア、頑張ってこいよ」
魔王様が優しく声をかけてくれる。
「うん。じゃあ行ってくるね。ティア、行こっか」
「はい。<テレポート>」
久しぶりの、この感覚。テレポートしたのは森の中。でもどこか既視感がある。……やっぱり、心のどこかでは覚えているんだな。
「じゃあティア、ボクが村について合図をしたら転移阻害をしてくれる?あと、手は出さないで」
「分かってるよ。舞台っていうのは外から見て楽しむ物だから」
「ありがとうね」
そう言って、ボクは森の中を歩いて行った。
森っていうのはいいもので景色があまり変わらない。ボクが今踏み締めている道は、ボクがまだ小さい時に日課として歩いていた道だ。木の配置とか、土の音とか、全てが変わっていない。でも変わったこともある。それは自分。当時とは違う服を着て、背丈もちょっとだけど変わって、想いも違って。どんなことを思って歩くかはまるっきり違っていた。
……確かこの道を歩いて行けば村の正面に着くはずだ。
「懐かしいなぁ。……ふふっ、ボクなんかが村の正面玄関から入れるなんて」
ここ、村の正面に来てもボクは正面からは入れなかった。厄介者のボクはぐるっと大回りして裏口から入っていた。
最初にして最後のことに胸を躍らせながら、世闇の中ボクは村に入って行った。