表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
91/114

説明



 来賓用の入り口から入り、校舎の中を具体的に説明してもらって行く。


「まず初めに、この学校は12歳から20歳までの人が学生としていることができます。クラスは基本個人の実力、戦闘における頭脳やステータス、技量などが総合されてクラスが決まります。なので年齢とかはあまり関係ないですね」


「卒業した生徒たちはどうなるんですか?」


「軍に配属されます。別にこの学校の成績が全てというわけではありませんが中級兵士になるか下級兵士になるかは卒業時の成績を参考にします」


「上級は無理なんだ?」


「そうですね…。そもそも能力的に届くことはまず少ないですし仮に届いていたとしても経験が不足しているので最高でも中級からのステータスになります」


「なるほど。生徒たちって、クラスではどんな感じに学んでるの?」


「クラスは同じでも、全員が同じ授業を受ける場合と選択式によって違う授業を受ける場合があります。例えば、軍の歴史や現在の規律、戦場での慣わしなどは同一の教室で受けます。しかし剣の道を進みたい人、魔法の道を進みたい人はそれぞれに見合ったクラスを受けます」


「理にかなってるけど……元々のクラスを剣術クラスと魔法クラスで分けちゃったらどうなの?」


「それは思ってました。けれど、あくまでここにいるのは軍に入っていない人、言い方を変えればまだ自由な子達なんです。なので出来るだけ違う考えの人と触れ合わせようというのが基本的な考えになっています」


 おお、教育者目線のありがたい話。たしかに軍に入るとなんだかんだいって自由時間とかは減るからね。特に下級兵士とか中級兵士の時って必死に上を目指そうとしたり上官からの命令で時間を奪われたりとほんとに自由時間が少ない。だからその分、学生の時を出来るだけ楽しく過ごして欲しいんだろうな。


「……すごい深い話」


「ね、軍って強制力があるから立派な組織として動くけどその分時間は吸われるからね…」


「そうです。なので私たちも、生徒のために全力を尽くしていきたいんです」

 

 ボクはこういう職は向いてないのかもしれないとも思いつつできるようにも思う。でもそれはあくまで表面上はできるけどこうやって芯をもって対応にあたれるかというと微妙だ。


「ではそろそろ校舎の案内を。まず私たちがいるここ1階は主に玄関、訓練場、校庭などがあります。まあ要するに体を動かす場所ですね。訓練場では剣の訓練や魔法の訓練を設備として行いたいときに使います。なので練習相手はいません。的を目掛けて魔法を放ったりだとかそういう訓練です。そして校庭は対人戦の練習場とでも言いましょうか。生徒同士、または先生と一緒に稽古をします。時々、他のクラスと合同で授業をしたり剣術クラスと魔法クラスで競い合ったりします」


「へー!楽しそう!」


「ね。私も面白い授業だと思うわ」


「あ、そういえばさ。先生ってどういう人がやってるの?」


「先生は魔王軍に所属している人がやっています。動機は様々ですよ、子供たちを教育したいーという方もいれば軍で配属された箇所が合わなかった方など。たまにもう退役したから〜という先生も見かけますね」


「あなたの動機は?」


「私は、この学校出身で一度軍に入ったんですけど、目の前で学校時代からの友達が殺されちゃって…。それで精神的に辛くなっちゃったんです。なのでそこから子供たちには今だけでも楽しい時間を過ごして欲しいと思い、先生という立場でまたこの学校に戻ってきました」


「「………」」


 想像以上に重かった……。軽く聞いちゃいけなかったかな…。


「そんな暗い雰囲気を出さないでくださいよ。私だって採用試験の時にはそう答えたんですから。もうそのことで病んだりしませんよ」


 ならいいの……かな?


「そんなことより2階に移動して……」


 そう言ってボクらは上に続く階段を登った。


「ここが一般教室です。生徒たちは半分以上の時間をこの教室で過ごします。内容は主に座学。先ほど説明した通り運動は外や訓練場で行いますからね」


「ここがそうなんだね」


 教室はシンプルな作りだった。外から中が見えるような方式になっていてまた中から外も見える。いわゆるガラスが貼られている状態だね。教室の前後にはドアがあってどっちからでも出入りができる。で、1教室につき生徒は40人ぐらい。まあ妥当な数だと思う。


「中に入ってもいいですか?」


「ええっと……。ちょっと待っていてください」


 そう言って先導の人は教室で授業をしている先生に交渉をし始めた。そしてすぐしてまたボクたちのとこに戻ってきた。


「いいようです。なので後ろの方からこっそり入りますか」


 ボクらは後ろのドアをこっそりと開けて中に入った。出来るだけこっそり入ったつもりなんだけどやっぱり生徒の視線はボクら3人の方に向いた。


 そして教室が少しざわつく。ボクはペコっとちっちゃく会釈をして授業の方に集中するよう促す。そうするとみんな会釈をしてくれて前の方を向いた。


 さすが、切り替えが早いね。一応教官という立場から見るとすごい助かることだろうなと思う。やっぱ切り替えって戦場では一番大事なことだからね。息抜きと真面目、この反復横跳びに慣れておかないと。


 ちなみに、授業は主に戦術について講義していた。ボクはあまり作戦の立案、細かい立案は得意じゃないからいい感じに吸収できる内容だった。こういう状況になったらこうするのがベストだとかそういうこと。ボクは強さこそ一番みたいな圧倒的脳筋戦法で戦ってるからこういうのはちょっと新鮮。


 あとは授業という形式自体触れたことがない概念だったから新鮮だった。まるでそこは異世界みたいな違う雰囲気を出していたし、やっぱりボクもまだまだ知らないことが多いんだよね……。


「はい、それでは今日の授業はここまで!皆さんお疲れ様でした」


 そんなこんなで授業は終了してクラスの大半の人が立ち上がって各々自分達がやりたいように行動する。友達と雑談したり教室の外に出て行ったり。それに合わせてボクらも教室の外に出てまた校内の散策を始める……予定だった。


「どうしますか?ここから大体のクラスでは実技が始まりますけど」


「お、じゃあ行っちゃう?」


「いいと思う。最初はティアがやりたがってた魔法実技の教室に行こう」


「魔法……となると今日は校庭ですね。実践形式の授業です」


「じゃあ校庭に向かおうよ」


「うん」


 そう言ってボクらは次に校庭に向かった。


 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ