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魔王様からの呼び出し

「魔王様ー?今日もきたよ」


「帰ってきて早々呼び出して悪かったな」


「いや全然」


 シタデルから1ヶ月経って魔都に帰還した後すぐに魔王様に自室に来るように連絡が来た。


「ちょっと伝えたいことがあってな」


「なあに?」


「それが、勇者に関しての情報が入ったんだ。幸い、グラザームとサルベージュが担当していた戦場に姿を現したそうだ。勇者は逃亡したが、サルベージュの操っていたアンデッドが追跡に成功したそうだ」


「オッケー。で、その勇者はボクが担当するってことでいいんだよね?」


「ああ、勇者は魔族に対して大幅なデバフを与えるからな。ざっとステータスが半分ぐらいになってしまう。だが、お前なら別だろ?」


「多分ね、ボクは種族上は人間だしそのデバフは効かないはず」


「ならお前に任せる。勇者はそこまで強くないから安心しろ」


「勇者はって、取り巻きがいるの?」


「ああ。十二騎士が多数、あとは人間側の上級兵士も多数ってとこだな。お前1人には少し荷が重いような気もするが………」


「大丈夫ですよ、勇者のステータスにもよりますけど」


「サルベージュによると大体1万程度らしい、お前から見れば脅威足り得ない筈だ」


「ですね。でも何人か連れて行ってもいいですか?」


「許可するが……誰を連れて行くつもりなんだ?」


「魔剣士隊の子を1人と、あとはティア」


「……まあいい。ティアも相手の動きを抑制するのに役立つからな。転移を防ぐのもあいつで十分だろう」


「でしょ?じゃあそういうことで。勇者討伐に行くのはボクとティアとボクの部下。日時とかは勇者が出たらボクの方に教えてー。叩き潰しに行くから」


「分かった。おそらくは数日の間に連絡がいくと思うが、それまでの間は魔都でゆっくりしてろ」


「はーい。あ、そうだ。学校に行ってもいい?」


「学ぶ側でか?」


「な訳ないでしょ!大体、ボクは学校に入らなくてもある程度の勉強はできます」


「冗談だ。視察として行くのか?」


「たぶん。遊ぶ感覚で行ってもいいんだけどね、流石に初訪問でそれはちょっと……」


「別にいいんじゃないか?お前は一応偉い側なんだしな。何かあった時には権力でねじ伏せればいいし。権力っていうのは行使しないと意味がないぞ」


「それは魔王様が言っちゃいけないことだと思うよ?」


「そうか?でも普通権力は常識の範囲内で振りかざすものだぞ?お前やティアのように使わないのは稀だ。たしかに、使いすぎは処罰の対象になるが」


「ん。まあそういうことで学校に行ってきます」


「分かった。だが少しは気をつけろよ。我々魔王軍が運営している学校は大体が軍関係だ。つまり階級社会というかなんというかな、そういうものに囚われているものが何人かいるんだ」


「それを減らそうとは思わなかったの?」


「努力はしているさ。だが、軍の性質上階級というものが生まれてしまうし、それを子供に説明していると好奇心の強い奴らは上を目指そうとする。その気持ちは嬉しいものだが……上に昇るという意味を履き違えているんだ。偉い奴を倒せばいいとかな。お前の場合、奴らにとっての格好の的だ。年齢もそう大差ないしな」


「そっか……。じゃあ教育してくればいいんだね?」


「…お前のいう教育は少し怖いがな。まあ気をつけて行ってこいよ。事前にこちらから伝えておいてやるから」


「ありがと。じゃあボクは用事ないけど魔王様はなんかある?」


「いや、特にない。出て行ってもいいぞ」


「ん、じゃあ帰るね」




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