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初擊

「ふああ………。もう朝か」


 昨日は号令をみんなにかけたところで疲れがピークに達したので1人寝ることにした。指揮官の子とかはまだ地図に向かい合って作戦を考えていたようだったけど。


 まあ…といっても睡眠はあまり必要ないけどね。なんか一緒に作戦を考えてくださいとか言われても困るし、面倒事は避ける方針で。実際ボクはあの子のことを信頼しているから、ボクが手出しをしなくても十分いい作戦を立てられるだろうし。


「さてと、そろそろ行くか」


 敷布団の側に置いてあった愛剣のフロレントを持ってテントの外へ出て行く。


「あれ?もしかしてボクが一番遅く起きた?」


 テントを出ても周りには誰もいなかった。


「もしかしてだけど………もう戦い始まってたりはしないよね…」


 魔力探知で戦場の方を見てみる。すると反応が多数。既に戦いは始まってたみたい。


「でもまだ始まったばかりかな。ちょっと君ー」


 魔力探知で唯一近くにいた子に聞いてみる。


「な、なんでしょうかって、あなたは……?」


「ボクはラミアだけど…」


「し、失礼しました。認識阻害がかかっていて誰かわからなかったんです…」


 やべ。ティアにもらった認識阻害の魔法が込められた魔法がもう発動してたみたい。


「ごめんごめん。で、戦いが始まって今どのぐらい?ボク…寝過ぎたみたいで」


「安心してください。まだ始まって数十分ですから。敵と交戦し始めてからはまだ数分です」


「そっか、ありがとう。じゃあこの場は任せていいかな?ボクは戦場の方に行ってくるから」


「わかりました。お気をつけて」


「うん、本陣は任せたよー」


 そう言ってボクは足に力を込めた。久しぶりの感覚だ。人格が分裂してた時には昔のボクが同じことやってたけど感覚は共有してなかったからね。走る、という行為が少し懐かしい。


 力を込めた足で地面を思いっ切り蹴り出し、戦場の方に向かう。


 

 すると数十秒走ったところで、味方の最後尾の背が見えてきた。


「おはよう。早速で悪いけどボクの周りにはいない方がいいよ。危険だから」


 兵士のみんなは魔法によってボクのことを認識できていないはず。でも感覚というか本能的にボクが味方だということを察したらしい。声、かな。昨日スピーチしといてよかった。


 ボクの言葉を聞いてボクの周りから人がいなくなる。居るのは敵である人間だけ。


「記念すべきこの戦場での初撃だね。派手にやろう」


 そう言ってフロレントに魔法を込める。


「<爆発>」


 魔法の篭った一撃は凄いことになった。まずはシンプルにボクが振るった剣が人間を何人か殺した。でもその剣から放たれた爆発はもっと遠くまで飛んでいき一瞬時が止まったと勘違いするほどの爆風と共に爆発した。


「ざっと数百人ってとこかな、殺れた人間は。まずまずだね」


「……なあ。ラミア様ってもしかしてやばい人なのか?」


「一撃で数百人を消し炭にするってマジかよ…」


「あはは、大丈夫、魔王軍のみんなには当たらないようにするから。……でも巻き込んじゃったらごめんね?」


「「「巻き込まないでくださいよ!」」」


「巻き込まれたくないならボクの後ろに着いてきな。先陣をきるよ」


 今度は剣に魔法は込めない。単純な剣術で勝負していく。


 敵はぶっちゃけ言って雑兵ばっか。まともに剣を扱えていない。そんなやつらは切り刻んでいこう。


「はあ。もうちょっと手応えがあってもいいんだけどな。もう千人は斬っただろうしさぁ」


 気が付いたら剣は血まみれ、ボクの周りには死体だらけになっていた。


 生きている人間はボクに近づいてこようとしない。戦意を失っちゃったのかな?お陰で連鎖が途絶えちゃったじゃないか。


「んーと、例の部隊はどこにいるのかな」


 昨日確認した骨のありそうな部隊を探す。


「えっと…あれかな…。明らかに組織立ってる。でもなんか……十二騎士がいるような魔力反応じゃないんだけど」


 でも一応向かってみる。もちろん道中でも人を切りながらね。


「この部隊か」

 

 案の定、一般兵士には手こずるぐらいの集団だった。全員ステータスは6000から8000の間には収まる。強いねー。


「こ、こいつはなんなんだ……」


「ん?ボクのこと?」


 多分顔が見えないことに対する言葉だろうけど…。一応名乗っておくか。


「ボクは魔王軍幹部の1人だよ。君たちを殺す、ね?」


 この集団を片づけるのには2秒も要らなかった。2秒後には全員ただの肉塊へ変わっていたし。


「そうだよねー、このぐらいの強さだと」

 

 一掃した後の死体を踏みつけながら歩くのがいっちゃん楽しいっていうのは変わっているだろうか。ぼきぼき鳴って面白い。


「……あれ?生きてる奴がいる」


 かろうじてではあるけどまだ息はある。


「こんにちは」


 その人間の側によって挨拶をする。


「ひっ…」


 流石に、目の前で仲間が大量に死んだからかショックで喋れそうになかった。でも質問しないとね。


「この隊にはさ、指揮官がいるはずだけどその人は今どこかな?」


「………」


「喋らないのか……。じゃあ質問を変えよう。その指揮官は王国十二騎士?」


「………」


「もう、しゃべってよ」


 そう言ってそいつの腕を叩き切った。


「うわああああああ」


「喋れるじゃん。ほら喋りな。そうしないと………ね?」


「わ、わかった!お前のいう指揮官っていうのはおそらくナイロン様のことだろ⁉︎あの方は今奇襲を仕掛けようとしている!それでこの戦場での戦いを終わらせようとしているんだ」


「具体的には?」


「そ、それは俺にもわかんねえが……」


「あ、そうなんだ。じゃあいらないや」


 首を一太刀で落とした。何か言いたげな顔で死んでるね。


「それにしてもナイロンか……。なんか覚えているような覚えていないような……」


 霞がかっている記憶を呼び起こし、ボクの脳内検索にかけていく。


「…あ!そうだ!そういえばあいつ自分の隊を持ってたわ」


 それがこいつらだったのか。いつも牢屋で自慢していた記憶がある。俺の隊が世界最強だ!って。あっそ、って思っていつも流していたから記憶に薄かったわ。


「それにしてもあいつが自慢の隊を捨てて動くのはどういうことだ?」


 何かを見落としてる気が……。とりあえず魔力探知でそれらしき人物を探してみる。魔力が少し多い奴は………。


「あれじゃなくて………いた!けどあれ、相当奥にいるぞ…」


 見つけたのはこの右側の戦場の人間側の本拠地。ここからはまあ遠い。


 せっかくなので視力を上げてよく見てみる。


「………。これは…やばいね」



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