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本当のステータス

 記憶が戻って数日。幹部の皆さんにも話は通っており、あった時にはすごい言われた。


「無事なのか⁉︎」とか「馬鹿」とか。まあボクは実際無事だったし記憶もちゃんとある。一応齟齬とかもないのは魔王様協力のもと確認済みだ。だから「大丈夫です」って返しておいた。


 まあそんなこともあったが今は前みたいにティアと一緒に過ごしている。


 そして今は気持ちのいい朝。日も差し込んできていい日になる……と思っていた。


「ねえミア、私あなたのことが嫌いだわ」


「え………」


 テーブルについて朝ごはんを食べようと思っていた矢先にそんな言葉が飛んできた。


「え…?それってどういう…?」


「そのままの意味よ。少し距離を置かない?家も分けてさ」


「ティア…冗談だよね?」


 不意のことで目を見開いたままティアを凝視する。


「あはは。冗談だよ。今のミアの顔、ちゃんと記録魔法で撮っといたから」


「ちょっと!早く消してよ!」


 ティアにつかみかかろうとする。


「嫌だね。これは私とミアのいい思い出の一つになるんだ…!」


 ティアが羽を使って天井の方に避難した。


「ずるい!ボクも映像魔法でティアの色々を保存しておきたかったのに…」


「そ、そこ?気にするところがずれてる気がするけど」


「いいんだよ。もう怒ってないから早く降りてきてよ。場合によっては処罰するけど」


 腰に持っていた短剣を抜く。


「わ、わかったよ。降りるからその剣を腰に戻して」


 ボクが短剣を戻すとティアは降りてきてくれた。


「はあ…朝から嫌な気分になったんだけど?あんな冗談、言わないでよね」


「ごめんって。でもミアさ、エイプリルフールって知らない?」


「えいぷりるふーる?」


「そう。年に一度、嘘をついてもいい日があるのよ」


「それがエイプリルフールってやつ?」


「それが今日なの。だから朝からミアを驚かせようって準備してたのよ」


「そうなんだ……」


「ていうか、あの冗談が本気だったらミアはどうしてたの?」


「んー。まずはティアを拘束して尋問して……」


「なんか物騒じゃない…?」


「そんなことないよ。ボクはティアのこと、それぐらい気にしてるからね」


「もしかして告白か〜?」


「勘違いしないでよ。告白の返事は勇者とかクルガを殺した後、今はしないから」


「つまんないの」


 ふん、っと顔を膨らませて拗ねてしまった。


「もう。それより早くご飯食べちゃってよ。ボク今日から戦場にまた駆り出されるから今のうちにティア成分を補給しときたいんだけど」


「…何その成分。悪影響を与えてそう」


「うるさいなー。話をしたいんだよ、雑談とかさ」


「雑談か〜。何話そっか?またどっか旅行行くときとかの話?」


「そうだね…。人間殺戮旅行とかどう?」


「物騒なのはやめて」


「はーい」


「……まじめにいうなら、もう観光するような場所はないのよね。正直、魔族領ってそこまで広いわけではないから観光地もそこまで多くはない」


 確かに魔族領は人間領に比べてそう広くはない。具体的には人間領の半分とちょっと感じ。もっといえば北の方は寒すぎて年中凍っているから、実際に資源として使える地域はせもうちょっと狭いかも。


「ならさ、作ればいいんじゃない?新しい観光地を」


「?どこに?」


「メシアの領土にだよ。ボクらがこの戦いに勝てば、メシア王国はボクらの物になる。だからそこに観光地をいくつも建てるっていう」


「いい案かもねぇ。前提条件が厳しいのはおいといて」


「だね。自分で言っといてキツイなー、って思ったもん」


「………あ、そうだ」


「?どうしたの?」


「ミアが記憶を失って寝てた間に私と魔王様でミアのステータスを見てたんだけど…あれ、偽造してない?」


「………。なんのことかな」


「ミアのステータスは高いよ?全部ステータス20000前後。それは本当にすごいこと。でもさ、ミアの防御力を持っていても私のほぼ全部の魔力を使った催眠魔法は10秒も耐えられないと思うんだ。できてせいぜい3秒。それはおかしいなって思ったの」


「なるほどね。だからボクがステータスを偽ってるんじゃないかって思うわけだ」


「そう」


「………でもさ、それを言うならミアもじゃない?」


「なんでそう思うの?」


「ボクも思ったところは一緒だよ。ミアが掛けてきた催眠魔法。あれは明らかにミアが持つ魔力量を超えていたはずだよ」


「…あの時の記憶があるの?」


「うん。まあ表に出ていた人格が過去のものであって今のボクは奥の方で生きていたからねぇ。もちろん、周りの情報とかもわかっていたよ。だからこそ、おかしいんじゃないかって思ったの」


「………もう。せっかくミアの本当のステータスを一方的に聞き出せると思ったのに」


「甘いね。ボクもティアの弱みを握っている以上無理だったね」


「でも教えてよ。これから戦場に出るでしょ、お互いに。だから戦場で出会った強敵とミアのステータスを比べて判断したいの」


「同じ剣術タイプだった場合に?」


「そう」


「……まあいいよ。でも、もちろんティアも見せてくれるよね?」


「ええ。もちろん」


「じゃあ同時に公開しようよ。こうしてさ。<魔法解除、能力偽装>」


「<偽装解除>」


「これで素のステータスがみれるね。お互いに」


「「ステータス」」


 久しぶりだなぁ。他人にステータスを開示するの。


 でもそれはおそらくティアも同じのはず。



名前 ラミア


職業 魔剣士


レベル 168


<物理攻撃力>183990


<魔法攻撃力>108090


<速力>196520


<魔力>102760(115320)


<防御力>116410


スキル 剣術レベル10(20) 水魔法レベル10 火魔法レベル9 雷魔法レベル8


特性 職業『魔剣士』により<魔力>、剣術レベル上昇






名前 ミーティア


職業 死霊術師


レベル 152


<物理攻撃力> 87620


<魔法攻撃力> 186520


<速力> 82210


<魔力> 142740


<防御力> 106520



スキル 死霊術レベル10 格闘術レベル9



特性 職業『死霊術師』により『死霊術』の習得




「「ちょ、これまじ⁈」


 思わず同時に声が漏れてしまう。


「ティア……魔法攻撃力18万台後半って何?」


「それを言うならミアも速力とか20万いきそうじゃん……」


「…これさ、もしかしなくてもボク達この世界でも相当強いんじゃない?」


「じゃないかなぁ。グラザームさんとかそこら辺の人達の見ないと分からないけどさ」


「ちょっとこれは外部には言えないかなぁ……。もちろん幹部の皆さんにも」


「かもねえ。というかさ、急いでまた偽装の魔法掛けないと」


「そっか。あれって表面的なステータスの偽装ってより、自分自身元来のステータスを弱めることで偽装してるんだもんね。つまり今全開放になっているボクらは周りに相当な威圧を与えているかもしれないと」


「まずいね。これは」


「……なんか急がないとまずい気がする。<能力偽装>」


「わ、私も<偽装>」


「これでいいはず。全開放したボクが走ったら街が超音波で吹き飛びそうだし」


「私もよ。なんか明かりをつけるぐらいの魔法を放ったらここら一体が火事になっちゃいそう」


「よし、ボクらは何も見なかった。お互いにね」


「だね」


 ボクは雑談が一区切りついたところでチラッと時計を見た。


「…あ、もうこんな時間なの⁈急いで準備しないとじゃん」


「それもそうね。私も明後日から戦場だし、もうそろそろ荷造りするべきなのかも」


「えっと、寝巻きとかも詰めたはずだから荷物はこれでオッケー。じゃあそろそろ行こうかな。あんまりヴェラさんを待たせてもあれだし」


「そうか、ミアは今回ヴェラさんとだもんね」


「そ。ティアはサラさんだっけ。魔法戦においては負けない布陣だね」


 先日の会議で決まった次の戦場に出るペアだが、少し魔法使いの偏りがあるような気がしないでもない。だって明らかにサラさんとティアって魔法の供給過多でしょ。


「ありがとう。じゃあ気をつけてね」


「うん。次会えるのはいつか分からないけど……まあなんらかの戦果と一緒に帰ってくるよ」


「頼もしい。それじゃあ、いってらっしゃい」


「はーい、行ってきまーす」


 そう言って荷物を持ってボクは町の外、待ち合わせ場所へ向かったのであった。



時事ネタって、旬を逃すと滑るんですよね……。

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