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重要な会議

ここからが第3章。引き続きよろしくお願いします!

「幹部全員が集まるのはペンタグラム以降はじめてじゃないか?」


「多分ね」


「魔王様が緊急だって呼び寄せたんでしょ」


「今回はなんの事案なんだ」


 幹部の面々…今日は10人全員が揃っている。それに魔王様も。先日、ボクらがモンスーンを撃破したことで情勢が大きく動いた。それによって呼び寄せられた……と思ってる。


 モンスーンは言わずもがな大きな都市だった。そして、それほど栄えていた都市があったならばその付近も当然栄えている。人間側にとって、交通の要として重要な都市だった。それが滅んだ。このことは戦場に大きく変化をもたらす。人間側の物流のラインは細くなり、細かい兵の力は減る。しかしその代わりに王国十二騎士という強大な力を持った者たちが前線に出てくる。


 今日はそのことに関する話し合いのはず。


「諸君全員が顔を合わせるのは久しぶりだな。今回幹部会議を開いたのは、モンスーン襲撃作戦について情報を共有しておこうと思ってだ。ではまず、モンスーン襲撃作戦の指揮をとったラミアから戦果の報告を聞こう」


 え、ボク?


 突然指名されてよろよろと席を立つ。


「えっと、まずはじめに今回作戦に参加した隊は2つ。ボクが率いる魔剣士隊とティアが率いる魔法隊。この2班でモンスーンを攻め落としました」


 うう、みんなからの視線が辛い。


「作戦概要としては人間と見た目や身長が近いと判断した四人で街の中に潜入、夜になったら街に火を放っていき残りのメンバーも街の中へ侵入する。このようにして街を攻め落としました」


「そして街の中で対峙した十二騎士は2人。第八席のハルカと第十二席のフェイクでした。この内ハルカの方は情報が出回っていたのもあり割とすんなり倒すことができました」


「しかし問題はフェイクの方。結論から先に申し上げますと、フェイクという男は元第五席ザルバトスだったんです」


「ザルバトスが十二席⁈」


「まさかあの大男が……」


「人間側では何が起こっているんだ…」


「みなさんが驚かれるのもわかります。実際、ボクもザルバトスだと確信した時は自分の目を疑いましたから。けれどこれは紛れもない真実です」


「ラミア、ザルバトスはなぜ、第十二席へと降格されていたんだ?」


 魔王様がボクに問う。そういえば言ってなかったな。


「どうやらザルバトスは王都の方での横暴が密告されたそうです。それにより降格になったと」


「そんなくだらない理由で…」


「けどボクらが問題視すべきはそこではありません。ザルバトスが吐いた情報によると新たな勇者が、誕生したそうです」


「勇者が……」


「勇者の誕生はボク以来ですね。結構スパンが短い気がするのはボクだけでしょうか……?」


「そんなことないわ」


 ヴェラさんが応答してくれる。 


「通常、この世界のバランスは崩れないように勇者が生まれる頻度はそう高くないように設定されている。だけどここ数年で新しく出た勇者は消え失せ、さらには魔王軍についた。このことを世界が察知したのでしょうね」


 そうなんだ……。


「まあ勇者の仕組みについてはいいのよ。それよりも、その勇者についての情報が欲しい」


「それが意外とわからないんですよね……。風貌とか性別とか、そういうのは一切。けど王都で丁寧に育てられているのはたしかだそうですよ。ボクとは違って」


 最後の言葉を言った瞬間、部屋の空気が歪み始めた。


「ミアのことを踏み台にして、ですか」


 サラさんが珍しく怒っている……。


「同感だ。今の話を聞く限りはラミアの受けたような方法ではいけなかった、と言っているように思えた」


 今度はグラザームさんが。


「ミア、その勇者の名前とかわからない?できたらそいつのことを一発殴りに行きたいんだけど」


「私も殴りたい!」


「ちょ、ヴェラさんのパンチは洒落にならないって」


「お前ら一回落ち着け。ラミアが貶されたように感じるのはわかる。………ならばその怒り、人間どもにぶつけようじゃないか」


 あれ、方向がおかしい。落ち着けってなだめる感じじゃないの?なんで魔王様はさらに焚き付けてるの?


「これからの戦いはスタイルが変わる。これからはお前らの好きな最前線での戦だ!その思い、存分に人間どもに叩きつけてやれ!」


「「「オオォォォーー!」」」


 これは……ボクを思っているという解釈をしていいのだろうか。仮にそうだとしたら……嬉しい。みんながボクのためを思って怒ってくれている。人間である……ボクのために。


「今日の会議の本題はその話だ。お前ら幹部をどこの戦場にどう配置するかを話し合うんだ」


「それについて一言よろしいですか」


「ああいいぞ」


  サタンさん……毎回思うけどこの人豹変するよなー。真面目の時と興奮している時の差が激しい。はじめて会った時は興奮していたぽかったから今見るとなんであんな感じだったんだろうって思う。


「勇者がいつどこに現れるかは分かりません。そのため幹部は最低でもペアになって戦場に出るべきです」


「それは最もだな。しかも一回接敵して仕舞えば当分は同じ戦場には来ないだろうからな」


「おそらく勇者は初め血の匂いが薄い戦場に来るはずです。最初から襲撃されればラミアみたいに攫われますからね」


 サタンさんがボクの方を見てくる。別に油断していたわけじゃないからね⁉︎


「そしてあなた方が勇者と接敵した時に無理に攻撃するのはやめてください」


「なんでですか?」


「勇者のレベルもわかっていないのに無策に突っ込んで死んでしまったら取り返しがつきません」


「ではどうしたら?」


「幹部の皆さんにはこのアイテムを渡しておきます」


 サタンさんが取り出したのは丸い小さな玉。


「これは簡単に言うと追跡装置。この玉が当たった対象の位置を把握することができます。そのため勇者に出会った時はこの玉を勇者に当ててください」


 そういって全員にその玉が配られる。


「へー、すごいアイテムだな」


 転移石と似ているけど効果は全く違うのか。これなら偽装もしやすいかもね。


「私からは以上です」


「だ、そうだ。他に何か案がある奴はいるか?」


「……いないようだな。では戦場に出るペアを決めよう」


 


 その後、ボクらはそれぞれペアを決めて次の戦場に出ることになった。


 ちなみにボクのペアはヴェラさん。何気にはじめてヴェラさんと組む。


「ヴェラさん、よろしくお願いします」


「こちらもよろしくね、ラミア」


 次の戦場はすぐだ。それまでに自分の隊の強化をしないと。



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