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城下町

 ボクは、人類から離反して魔王軍に味方することにした。理由は簡単、王国の人間に復讐したいからだ。だからボクはそいつらを殺す。


 そして今は寝返りを提案してくれた張本人、魔王軍幹部サタンさんと薄暗い森の中を歩いていた。


「ところでサタンさん。これからどうするんですか?」



「とりあえず勇者を引き入れたら城下町に転移しろって言われてるからその通りにするかな」


「城下町?」


「ああそうだ。我々魔王軍にも拠点はあってそれが魔王城。そして魔王城の周りに広がってるのが城下町ってところなんだが…まあ見てもらった方が早いな」


 そういうとサタンさんは手をクイクイと招いてボクを呼ぶ。


「いいか?しっかり捕まってろよ?」

 

 言われた通りにサタンさんの腕に捕まる。


「3………2………1………」


 カウントダウンをすると先ほども見た青い転移陣が地面に浮かび上がり言い終わると同時に光出す。



 そしてその1秒後には景色が変わる。



 人生で2回目のテレポートだったこともあってか酔って気持ち悪くなる。気分としては馬車酔いに近いかも。


「着いたぞ。ここが城下町だ」


 吐き気を抑えて前を向くとまず目に入ってきたのは大きな壁だった。


 黒いその壁は町を覆うように作られており、壁の上には何人かの衛兵がいた。


 かなりまがまがしい雰囲気を放っておりなんとも近づき難い場所だ。



 サタンさんが町の入り口である門に近づくと自動的に扉が開き歓迎される。


「この城下町はまだかなり規模が小さいから門がいちいち開閉される仕組みになってるんだよ。ほら、行き来する人数が多いと通行人1人1人を確認することができないから門が開けっぱになってるところがあるだろう?例えば王都とかがそうだな」


 確かに。


「でもここはそうじゃない。通るもの全員を衛兵が目で確認して門を開けるんだ。魔族はそういうことに長けていてね。仮に人間とかが変装していても魔力の波長を読み取って炙り出せるんだ」


 魔族ってそういうことができるの?確か人間は魔力の大まかなことしかわからなかったはず。例えば魔力量とか。でも魔族はそれ以外もできる。……もしかして魔族って有能?



「他に何か聞きたいこととかあるか?」


 なんだろう。


 せっかく話を振ってきてくれたんだ。何か質問は……


「そうですね…この城下町ってどのぐらいの人が住んでいるんですか?」


「今は種族特性が悪に傾いている種族。アンデッド族、悪魔族、オーガ族とかが住んでるな。人型の種族でいうとエルフ、ダークエルフ、ドワーフ、ヴァンパイア族なんかがいるな。だから合計で……5万弱ぐらいが住んでいるんじゃないか?」


「なんで疑問系なんですか…というかエルフとかダークエルフって悪属性に分類される種族なんですか?」


「それはな、勇者君。君は魔族の定義を知っているかい?」


「えっと、闇属性の魔力を持っている種族じゃないんですか?それこそさっきサタンさんから感じた闇のオーラみたいな」


「半分正解だが半分間違っている。正確に言えば闇属性の魔力を持っている又は、人間に恨みをもっている種族のことを言うんだ」



「ダークエルフは後者だな。ダークエルフは元々砂漠に住んでいた種族だったんだが、人間が土地が足りないって言って彼らを虐げたんだ。それで追い出された挙句当時のダークエルフの族長が捕まって見せしめで殺された。どのくらい前だったかな。大体300年前ぐらいか?だからそれ以来ダークエルフは人間を恨んでる。ちなみに同じような経緯でエルフやドワーフも今は魔族に分類されるな」


「まあ所詮、魔族は人が決めたものだ。人間に害のある種族だったら全部一括りで魔族になっている。実のところそれのおかげで今の魔王軍があるわけだが」


「今の魔王軍?どういうことですか?」


「昔は魔王軍はアンデッド、悪魔、オーガ族だけだったんだが人間がその他の種族もどんどんと魔族認定した。その時に認定されたのはさっきも言ったダークエルフのように人間によって弱くなってしまった種族たちだ。そんな弱っちい種族は別の種族に頼る他ないだろ?そして頼れる種族は同じく人間と対立している魔王軍だ。そうやって魔王軍は大きくなっていったんだ。わかるか?」


 んーなんとなく。つまり最初は小さかった魔王軍も、同じように人間に恨みのある種族が横のつながりを感じて加入していった感じか。


「おっともうついたのか。ここが魔王城だな」


「ここから先は魔王軍の本拠地とも言える場所だから気を引き締めろよ」


 ボクは人間だから目立つし心を強く持たないとだよね。けどなんで味方になったボクが攻撃されなきゃならないんだ?


 キョトンとしているとサタンさんが察してくれたのか補足してくれる。


「魔族は基本いいやつなんだが少し、ほんの少しクセのあるやつが多いからな。特にダークエルフのヴェラってやつはめんどくさくてな……」



「だ、れ、が、めんどくさいですって?」


「あ…ヴェラ。いや、これは違くてな、今勇者君に説明を…グボッ!」


 渾身の右ストレートがサタンさんの鳩尾に入る。


 そしてそのストレートを放った張本人がヴェラさんらしい。


 長く伸ばしてある金髪が特徴的なダークエルフのお姉さんだ。

 

 キレイなストレートだったなー(棒)……この人ヤバくね?王国十二騎士よりも強いであろうサタンさんが一撃で悶えるパンチって。


「フー、申し遅れました私はヴェラ。魔王軍の幹部をつとめております。帰りが遅いと思ったらこのバカ悪魔は…すみません。話がそれましたね。これから魔王城の内部にあなたを案内しようと思うのですが、その前に何か質問などはありますか?」


「あのーヴェラさんとサタンさんはどういうご関係で……」


「気にしないでくれて結構ですよ。特別な関係はありませんから。ね?サタン?」


「こいつとは…」


「ね?サ、タ、ン?」


「ハイ。ナニモアリマセン」



 悪魔がただのダークエルフに圧迫もとい脅迫されてる。…これは何かあるな。思いっきり言わされてたし。でも深入りはしないでおこう。触れたらダメな気がする。


 それよりも魔王様か…。どんな人なんだろう。


 やっぱり怖いのかな…それこそ人間を見たら即殺しそうな。



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