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工場

「えっと、みんなこっち行こっか」


 モンスーンの入り口のそばにあった裏路地のような場所に入る。


「とりあえず中に入ることはできたね。ティアナイス」


「ありがとね」


「じゃあ第1ステップは終わったし、第2ステップに進もうか。次のミッションはなるべく目立たないように街中を散策すること。二手に分かれてもいいんだけど……それだと捕まった時にめんどくさいからやめとこうか。とりあえず、魔族に敏感そうな衛兵はなるべく避けながら散策しよう。そして十二騎士を発見したらすぐに知らせること。対処はその場で考える。オッケー?」


「「「了解」」」


「じゃあ行こっか」


 路地裏から表通りに出て4人でまとまりながら歩いていく。



「へー、街中ってこんな感じになっているんだね」


 散策し始めてから10分ほど、ある程度街の雰囲気に慣れてきたところでティアが口を開いた。


「ですねー。魔都とはまた違った活気があるように感じます」


「ここは観光都市でもあると同時に工業都市でもあるからね。エリアが分かれているんだ。ここは観光エリア。ここにいる人の服装や肌の色を見ればわかると思うけど結構いろんな人がいるよね」


「たしかに……。種族の違いっていうか、同族内での差があるっぽい」


「人間ってそういうもんよ。人口が馬鹿みたいに多いからどんどん個性が枝分かれしていくんだよね。ボクらは周りから見たら最も人数の多い白人系に分類されるはずだけど………」


「はずだけど?」


「ボクたちの目の色って特殊だよね」


 ボクは緑、ティアは青色、ミーナは赤色、リゼは金に近い色。どれも人間世界では基本見かけない目の色の持ち主たちだ。どっかの特殊な家系出身の人と思われても仕方がない。


「まあ目の色は気にせず行こう。えっと……観光エリアは後にして、工業エリアに行こう」


「なんで工業エリアに?」


「単純に使われている燃料が多いかなって。燃料が多ければ火はすぐに燃え移る、襲撃するならそういうエリアじゃないと。……まあ、これもサタンさんからの助言だけどね」


「ほんっとにサタンさんは優秀だよねー」


「そうなんですか?」

 

 ミーナが話に入ってくる。


「そりゃそうよ。サタンさんって長年幹部の第1席を務めているだけあってどの方面でも恐ろしいぐらいに活躍できるんだよね」


「魔王軍の作戦総指揮官って立場でもあるから私たちが受ける命令や作戦は全てサタンさんが目を通してるし、8割型立案もあの人」


「今回みたいにボクらが提案した場合もあるけどね」



 工業エリアへと移動していくと、とあるところで一気に街の雰囲気が変わった。空気が少し悪くなり、目の前には大きな工場がいくつも並んでいる。


「ここかな、工業エリアは。意外と道が整備されているのには感謝だね」


 地面が整理されているのは流石人間の労働力の多さか。


「私たちが探すべきなのは煙がたっている工場なのだけれど……探索が難しいわね」


「……煙を探せばいいんですか?」


「そうだね。けどボクらの身長だと見渡せないし……」


「私が魔法でなんとかしましょうか?」


「リゼがどうやって……。あ、確かにあなたならいけるわね」


「わかりましたか、ミーティア様は」


「ん?どういうこと?」


 ボクとミーナの魔剣士組がキョトンとしてティアを見つめる。


「リゼはね、エルフ特有の感覚が人一倍強いのよ」


「……ならそういうことも可能なんですかね」


「え、今のでミーナもわかったの⁈」


「はい。おそらくは、ですが」


「もったいぶらずに教えてよー」


 頬を膨らませてティアを見つめる。


「エルフの持つ感覚、それは元素に敏感なことよ。この世は全て元素によって構成されているから、それはつまり空間把握能力の高さとも言える」


「そうですね。なので私は煙が出ているところなら感覚に頼れば一発で見つけられます」


「おー!なるほどー!」


「じゃあリゼ、お願いできる?」


「もちろんです。けど探している間は目の前がぼーっとしてしまうので、私のことを見ておいてください」


「わかったわ」


「それでは、行きますね」


 リゼが黙ると、何か不思議な感覚に襲われた。まるで、ステータスを覗かれているような感覚。それはおそらく、ボクの元素ごと読み取っているからだと思う。周り全ての元素を読み取るのと、ある一定の範囲は読み取らないけどその他は全部探知する。みたいなことでは消耗する集中力の差が激しい。なのでリゼは前者を選択して、ボクらごと周りを読み取っているんだと思う。



「…ありましたが、何箇所かありますね。どれにしますか?」


「うーん、1番大きい工場は警戒もその分厳しいと思うんだよね…。だからリスクリターンも考えて次に大きい工場がいいんじゃない?」


「わかりました。案内しますね」


 リゼがボクらの横を通り煙が立っていると見られる工場へ案内してくれる。


 


 数十分ほど歩くと、目的地が見えてきた。工場からは、夏の澄み渡った空を汚している何本もの黒い煙がたっていた。


「………これはまたでかい工場だね」


「大きすぎますか?」


「いや、そんなことはない。けど……これって環境とかに問題が起こりそうじゃない?」


「実際、煙がたっていたところは空気が汚れていましたね」


「やっぱりそうだよね。まったく、環境を汚すのなら早くおさらばしないと」


「ミア、後は私がこの場所を記憶して再度テレポートできるようにしとけばいいよね?」


「うん。それで大丈夫」


 ティアの作業が終われば、第2ステップも突破だ。意外と接敵しなかったのが幸いかな。

この世界での工場は電気ではなく、魔法や石炭が主な燃料、燃やすものとなっています。

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