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決勝戦2

 サラさんに初めて会った3年前。あの時に判明したボクの適性魔法。一つは火、二つ目は水、三つ目に雷。そして四つ目があった。


「固有魔法<身体強化>」

 

 それは固有魔法、身体強化系の魔法。固有魔法はこの世界に1人しか扱えない魔法の総称。なのでサラさんやティアなどの一流の魔法使いでも使うことはできない。そしてこれはあくまで同世代に同じ固有魔法を持って生まれる人はいないと言うだけ。だから今までに身体強化の魔法を使える人は何人か居た。

 

 ボクはその情報を基に身体強化の魔法に関するさまざまなことを調べた。そしてわかったことは3つ。


 1つ目は身体強化=ステータスの強化ではないと言うこと。


 2つ目は身体強化魔法とは総称であって1つではないこと。


 3つ目は体以外にも影響を及ぼすことがあるということ。


「ミア………。その力はどこから…?」


「驚いた?これがボクの魔法。身体強化だ。この状態は堕天使化に似て、体力を消費しやすいんだよね。だから早めに決着をつけちゃおう。お互いそれが本望でしょ?」


「それは合意。そうだね、一撃で終わらせるよ」


「「…………」」


 ティアが杖の先に召喚したのは堕天使特有の闇の魔力で出来た黒球。それも巨大サイズ。見た感じティアの魔力全てが詰まっている。つまり今のティアの全魔力、約30000もの魔力が詰まっている。


 対してボクもフロレントを構える。


「今っ!」


 黒球がとてつもない速さで迫ってくる。間近で見るととても大きく飲まれてしまいそうだった。

 

 しかしボクは剣1本。でも不思議と負ける気はしなかった。


「神武解放。身体強化魔法<武器強化>」


 今の自分ができること全てを乗せた剣。それとティアの全力である黒球がぶつかり、空間が歪むのでないかというほどの衝撃が生まれる。


「「うおーーーー!」」


 両者雄叫びをあげ、それは会場中を戦慄させた。ようやく見えた、魔王軍幹部の本気。それは当の本人達もわかっていた。

 

 どのぐらい状況が動かなかったかわからない。少なくとも数十秒の間、ボクとティアは本気で剣と魔法を交えていた。

 しかし均衡は崩れる。フロレントが黒球にめり込み黒色の魔力は周囲へ飛び散った。黒球を貫いた剣はそのままティアの元へ向かい、今度こそティアを戦闘不能に追い込んだ。


「ボクの勝ちだね。ティア」



 ようやく、ようやく終わった。この大会が。魔王軍公式大会『ペンタグラム』。その上位5名が新たな魔王軍幹部枠であるペンタグラムになる権利を持てる。そしてその大会の最終試合、すなわち決勝戦が終わった。


 戦いの後は凄まじく、会場である闘技場の中心はクレーターのようにえぐれており原型はないに等しかった。そしてそのクレーターの中心に横たわっている1人の少女とそれを見下ろす少女の姿があった。


「ボクの勝ちだね。ティア」


 見下ろしていた少女、ラミアは親友であるミーティアの元へ駆け寄り直ぐに手当てをする。


「大丈夫だよね…?流石に………」


 自分自身が斬りつけたその傷跡を見る。割とバッサリと斬っており即時治癒は厳しいが数十分経てばなんとかなるだろう。


「ティア、大丈夫?立てる?」

「う……ん……。少し…痛いけど」

「<回復>(ヒール)」


 ラミアの手から出た緑色の光は、ミーティアの傷を包み込むように治していく。


「どう?マシになった?」


「だいぶね。とりあえず、医務室に行こうか。お互いにこんなボロボロなんだから」

 

 ミーティアは斬りつけられた痕や壊れた杖も目立つ。そしてラミアもミーティアほどではないが全身に怪我を負っていた。


「たしかにね。流石にこのまま閉会式は受けれないよ」


「同感。早いとこ移動しちゃおう」


※※※


 試合が終わったとき。ラミアとミーティアの他にも疲れた人は何人かいた。


「魔王様、結構疲れたんですけど……」


「我もくたくただ。あの2人の本気を抑えるためにどれだけの人員を割いたか」


「途中、ミーティアさんが変身するまでは私たち2人で抑えられましたけど覚醒してからは無理でしたね」


 大の字になって地面に横たわる魔王様。


「だからサラの助けも借りたんだろ。お陰であいつもくたびれている。ほら、みろ。あんな疲れているサラなんてそうそうみれないぞ」

 

「ああ……疲れた。まさかミアの身体強化魔法がフロレントにも宿るなんて」


「たしかにな。あれはどういう原理なんだ?何回見てもわかる気はしなかったぞ」


「あれは身体強化魔法の内の1つ、<武器強化>ですねー。使用者と深い関わりがある武器、又は相性がずば抜けて良い武器には強化を施せる魔法です。ラミアさんの場合、フロレントを四六時中持っているため深い関わりがあると認識されたのでしょうね」


「なあ、1つ疑問なんだがあの魔法ってどのぐらいの倍率強化できるんだ?」


「見当もつきませんね…。それは本人に聞いてみないと」


「だよなー。でもまあいい。この後は表彰式だ、準備をしないといけないし、この話は一旦やめだ!」


「あと数十分で閉会式兼表彰式が始まるのでそれまでに諸々確認しておきましょう。まず最初に私がこうして……」


「そしたら我がこうやって……」



「ねえヴェラ。なんだかんだあの二人、仲良しだと思わない?」


 遠巻きに見ていたサラが、近くにいたヴェラに呼びかける。


「同感。でももう1組面白そうなのいるじゃん?」


「ティアとミアのこと?あの二人はただの友達でしょう?」


「まさか。少なくとも片方は違う気持ちを抱いているよ」


「え、嘘」


「嘘じゃない。仮に嘘だと思うなら賭けてみる?将来あの二人がどうなるのか」


「……いや。そこまで言うなら遠慮しておくわ。それを信じないほど愚かじゃないもの。でも一応聞いておくけど、その情報、誰が発信元?」


「私、あるいはグラザームさんかな」


「……了解。で、私たちはどうするのが正解?」


「どうするって?」


「ティアとミアの関係に干渉するのかしないのか。観客として見るべきなのかってこと」


「まあ特にしなくていいでしょ。なんか巻き込まれても困るし」


「分かった。じゃああの2人の行末を見守ることにしましょう」




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