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幹部の面々

今回から第2章になります。

 ムーン砦の戦いが終了し数日後。ボクらは家に帰ってきて、いつも通りの日々を過ごしていた。


 まあ変わったことといえば街に出たときの反応のされかたぐらいだ。


 前は普通の人と変わらない感じだったけど今は少し持ち上げられてる。敬語を使われるし、買ったときに商品をおまけされたり。おそらくは幹部として認識され始めたのだと思う。悪い気はしないけど前みたいに接されるのも恋しくなったかな。親しく接されるのは悪い気はしないしね。


 


 さらに数日後、ティアと一緒に街に買い物に行っていたらポケットにあった水晶玉が光り始めた。


「魔王様ですか?どうされました?」


 水晶玉を取り出し応答する。


「いきなりだがミーティアと一緒に魔王城にきてくれないか?」


「いいですけど…。至急ですか?」


「いや、そこまで急用ではないが早く来てくれると助かる」


「じゃあ一旦家に帰ってから行きますね。今ちょうど外に出てしまっているので」


 連絡はそこできり、家に一度帰ってフロレントを持ってから魔王城にいく。


 流石に街中で武器を持つことは危険だからいつも携帯することはできないんだよね。安全上の理由で禁止されている。


 同じ理由でティアも武器である短剣と魔導書は持ち歩けない。ティアの職業である死霊術師は魔導書という本のようなものが攻撃するには必要なのだ。魔導書と言っても見た目は古ぼけた本にしか見えないんだけどね、魔力が相当宿っている。これはティアを除いて一番その魔導書の近くにいる者として断言できる。


※※※


「失礼しまーす。魔王様なんのようですか……って、みなさんもいたんですか」


「ああ、ちょっと呼ばれてな。魔王様が話があるっていきなり呼び出されたんだ」


と、ヒリアさん。


「私も同じよ」


「私も」


 続いてヴェラさんとサラさんも。この後も幹部の皆さんが続々と集まり、気づけば幹部全員が揃っていた。


 せっかく全員が集まっているのでここで幹部の方々をご紹介。



第1席『智謀』サタン 言わずもがなの第1席。知性、戦闘面共に魔王軍トップレベル。最古参の魔王軍幹部の1人。



第2席『天魔』サラ 3年前まで第5席だったんだけど、どんどん繰り上がって今はとても偉い人になっている。魔王軍最強の魔法使いとして名を馳せている。ボクとティアの魔法の先生でもある。



第3席『精霊』ニーヒル 精霊族の祖にして精霊族最強のニーヒルさん。あらゆる事象をさまざまな精霊を使って意図的に引き起こすまさに災害。少しサイコパスなところが見られる。



第4席『竜剣』ヒリア 竜族最強の戦士にして剣使い。魔族の中でも種族的に強い竜族のトップに位置する。その実力は伊達ではない。ボクの剣の師匠。



第5席『破壊』ヴェラ 武術を扱うダークエルフ。肉弾戦においては魔王軍で最も強い。ティアに武術を教えた方でもある。



第6席『赤眼』グラザーム 吸血鬼族の特徴である赤黒い髪と赤い目を持つことから赤眼と名がついている。本人は冷たいキャラで売ろうとしているが、優しい面がどうしても見えてしまう方。なお、なぜ冷たく接しようとしているかは不明。



第7席『神剣』ラミア ボク。人間であることは魔王軍の機密。しかし街のみんなは知っている。ティアと同じく最も新参の幹部。



第8席『死操』ミーティア 死霊術師であり、死を司る術を扱うことからつけられた愛称。ボクの親友であり同居人。



第9席『不死』サルベージュ アンデット族の長。昔、アンデットという存在を作った方の後継者と言われている。序列がもっと上でもいいと思うが本人が遠慮しているのでこの位置となっている。



第10席『狂士』カルタ 魔王軍では珍しい戦闘狂の獣人族。狼の獣人で気性は荒い。しかしホットな兄貴という感じで頼れる存在。



そして魔王様。今年で18歳になるそう。頭はキレて、戦闘面もかなりお強い。サタンさんの影に隠れているが魔族の王ということでかなり優秀。あとこの3年間でかなりボクと距離が縮まり仲良くなった。なお、胸の差は縮まっていない。



 この幹部10人と魔王様が魔王軍の中枢を担っている。幹部の仕事は軍会議、街の安全の確保、人間との戦い、その他の書類仕事。


 前半3つはまだいいとして最後の書類仕事はぶっちゃけ嫌い。だって文字と向き合うだけの面白くない仕事なんだもん。主に被害の報告とか、城下町でのルール変更の審査とか地味なものばっかり。これをするぐらいなら外で体を動かしたほうが何倍もましだ。


 前に書類仕事について軍会議で打診したんだけど魔王様とサタンさんに「お前たちが書類仕事を辞めたらこの街は無法地帯になる」と言われ無事敗北した。なんでだよ。みんな書類仕事はいらないって賛成してたのに。たしかに魔族のみんなはルールが無いと暴れ回りそうだけど。




「いやー、よく集まってくれた。今回話があるというのはやりたいことがあってな」


 幹部全員が集まった事を確認した魔王様が話を始める。


「やりたいことですか?」


「そうだ。今までの幹部枠とは違う、新しい幹部枠を設けようと思っている」


 新しい幹部枠?


「サタンと話していて思ったんだ。最近はラミアやティアのような強者が魔王軍に多く加入している。それなのに今の幹部枠は戦闘面以外にも採用基準を設けているだろう?これはいいことだがそろそろ戦闘面だけを見た幹部枠を作ろうと思ったんだ」


「そこで、今この場にいる皆に誰がその枠にふさわしいか決めてほしいのだ」


「枠は何人ですかー?」


 ニーヒルさんが問う。


「今は5人で考えている。場合によっては増えるかもしれないし減るかもしれないが」


「で、どうやって選ぶんだ?決闘でもするか?」


 カルタさんらしい意見だ。さすがは狂戦士。戦いに貪欲だ。


「それでもいいと思ったんだが、それではいささか問題が生じるんだ」


「問題ですか?」


「ああ、お前らが本気でやりあう十分なスペースがないんだ街の外で行うことも考えたがその土地の生態系が変わりかねないからやめにした。それぐらい、お前たちは加減が下手だからな」


 うんうん。特にティアとか下手だよね。あ痛っ。ティアに肘付きされたんだけど。死霊術師って心の中もわかるの?


「それなら、訓練場を私とミーティアの結界で囲めばいいのでは?でしたら、訓練場自体はともかく近隣に影響は出ませんよ?」


「それもそうだな…。サラ、ミーティア、やれるか?訓練場を結界で囲うことは可能か?」


「サラさんと2人なら幹部の方々でも破壊できない堅牢な結界を張れますよ。ただそれも問題が。私とサラさんが戦う、もしくは片方が戦うときはどうするんですか?戦いの最中じゃ結界なんて張る余裕はありませんし」


「安心しろ。そのぐらいの時間なら我とサタンで事足りる。なあサタン?」


「ええ、お二方が戦っている間はその仕事を引き受けましょう」


「だ、そうだ。ということで我ら魔王軍は新たな魔王軍幹部枠、『ペンタグラム』の設立に向けて、大規模大会を開催することとする!始まりは1週間後の今日。参加資格はこの魔王城城下町に住んでいることとする。上位5名には『ペンタグラム』加入を許可する!」


「「「オッーーーーーーーーー!」」」




「というか『ペンタグラム』なんて名前が決まってたんですね。かっこよかったですよー、魔王様」


「いじるのはやめろ。折角カッコつけたんだから」


 顔を赤らめながら言う魔王様であった。



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