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出向

 ミーナに勇者討伐作戦を伝えてから7日。この日もこの日で一緒に特訓をしていた。ここ1週間は天気もよく気持ちよくすごせた。特にミーナの成長については目まぐるしいものがあった。


「はぁ!」


 ミーナの剣は前よりも早く、そして自然体へと近づいていた。


「……よくやったね、初めてミーナの剣に当たったよ」


 それはボクが避けられないほどに。


「やった……ってことでいいんです、よね?私は無事、ラミア様のミッションを突破したってことで」


「そうなるね。これなら並大抵の相手には負けないと思う」


「よかった……。それにしても、ぎりぎりだったなぁ」


「これでもミーナは習得が早い方だと思うけどね。まだまだ改善の余地はあるとはいえ、一応は合格だ。おめでとう」


「ありがとうございます!明日の勇者討伐、絶対に成功させましょう!」


 目を輝かせて顔を近づけてくる。これは興奮してるな。


「うん。頑張ろうね。じゃあもう今日は帰って明日に向けてコンディションを整えておいて。自分の体調管理も修行の一環だから」


「確か、明日は日の出と共に出発ですよね」


「うん」


「わかりました。ではさよなら」


「またねー」


 そう言ってボクは魔王城の方へ転移した。転移先はもちろん魔王様の自室の前。重要な作戦をする前にはいつもここに来る。


 いつも通りスタスタと部屋…空間に入るが今日はどうやら3人ではないようだった。


「あれ、今日はサタンさんも一緒なんですね」


「久しぶりですね、ラミア」


「遅かったわね」


 出迎えてくれたのは魔王様…ではなくティアとサタンさん。もちろん魔王様いるけどね。


「勇者殺しのような大規模作戦にサタンの知恵なしではどうすることもできないだろう。我らだけで作戦を考えても底が知れると言うものだ」


 まあそうか。魔王軍の頭脳であるサタンさんがいないと作戦の成功確率も落ちてしまうというもの。


「で、ミア。明日の作戦に入るという子は勇者に太刀打ちできそうか?」


「まあいけるんじゃない?そのぐらいには育てたつもりだし。勇者のデバフがかかった状態でも生き延びることはできると思う」


「ならいい。准幹部と同等の実力を持つものがいなくなってしまうのは惜しいからな。お前に訓練してもらったならもしかしたらルーイと同じぐらいの実力も…?」


「うーん、ルーイ君がどのくらいかにもよるけど同じぐらいの実力じゃないかな?一応あの子吸血鬼だし、血操術が結構使えたらルーイ君ともいい勝負しそう」


「なるほどな。なあサタン。今回の討伐作戦、どうなると思う?」


 魔王様がサタンさんに尋ねる。


「ラミアが勇者を、ミーティアと例の吸血鬼の子がそれ以外を担当するならほぼ確実に成功しますね。聞く限りでは勇者はステータスでゴリ押して来るタイプらしいですが、ラミアやミーティアには及びません」


 あれ?サタンさんってボクらの本当のステータスの値に気づいてるのかな?


「ならまだ余裕がありますね。ボクらもそのつもりでしたから」


「ならよかった。ですが、油断はもちろん許容できません。今回の任務は失敗という2文字が桁外れに意味を持ちます」


「もちろん油断はしませんよ。まあ…遊びはするかもですが」


「ミア、それを世間では油断っていうんじゃない?」


「え、そうなの」


「我は作戦が成功すればいいからな。油断したらリスクが大きくなるが、逆にいえばそれ以外は何もない。強いて言うならお前らに心の余裕が生まれるぐらいか?」


「まあそうだね。勇者君を痛ぶる余裕が生まれるのはいいことだね」


「それはともかく、作戦の成功を祈っていますよ。ラミア、ミーティア。これはあなたたちにとって初めての大きな任務です。所謂最上級任務ですね。頑張ってください」


 最上級任務は魔王軍の中で最も難易度の高いかつ重要度の高い任務だ。内容は主に勇者殺しや十二騎士上位複数を任務として殺すこと。簡単に言うなら最低でも幹部が2人必要とされる領域。しかも大半は幹部2人じゃ手に負えないものだ。


 ボクらが前にやったモンスーン襲撃作戦は最上級任務の次にあたる上級任務。重要度又は危険度どちらかが最上級任務に劣る場合これになる。モンスーンは危険度かな。重要度は結構高かったはずだし。


 ちなみに、これらの作戦の難易度や重要度を決めているのは魔王様とサタンさん。流石の2人だ。これらの任務の詳細は書物庫にまとめてあり、上級任務までなら軍関係者は閲覧する事ができる。しかし最上級任務は物にもよるが世間に公表されず、詳細もあまり知られない。けど十二騎士殺しや勇者討伐は士気のために公表されるけどね。


「ありがとうございます。では私たちはこれで」


「朗報を聞かせられるように頑張るねー」


 そう言って、ボクとティアは出て行った。



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