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お風呂

「ミアー。魔王様って本当に成長しなくない?いろんなとこが」


 ボクとティアは現在、一緒にお風呂に入ってる。ボクは湯船に浸かり、ティアが体を洗っているとこ。


 魔王様とのお茶会も終わり、家に帰ってくるともう夜中だったのでボクらはお風呂に入ることにしたのだ。ちなみに、ボクが一度自殺した件はティアにはまだ言っていない。告白する時と同時に打ち明ければいいかなって。……でもこうやって後回しにすることがボクの悪い癖なのかな。


「まあ…否定はしない。けど筋力はついてた。なんでだろうね?魔王様は人間を直接殺すことはないからレベルは上がらないと思ってたんだけど」


「あれ。ミアは知らないの?魔王という役職の特性を」


「え、なんか特別なものがあるの?」


「あるよ。魔王っていうのは魔族を統治する役職。言ってしまえば魔族全員と繋がっているんだよ。その証拠に街中でテレポートしたりすると魔王様は気づくようになってる。ウーロンでそれは知ったでしょ?」


「うーん、確かに」


「そして魔族全員と繋がってる魔王様は魔族全員から経験値を得ることができるの。割合は知らないけどボチボチレベルは上がるようになってるらしいわ」


「へー、だから魔王様は日に日に強くなってるんだ。………てかさ、ボクは生物学的には魔族じゃないよね?だから魔王様ってボクの得た経験値を得ることができるの?」


「それができないみたい。前、魔王様と2人で話した時にちょっと愚痴ってたよ。ミアの経験値が得られないの残念だーって」


「やっぱできないんだ。ティアは魔王様に経験値が入っていって、自分に入る経験値が少ないなーって思ったことはある?」


「いや。私は生まれた時からずっと吸い取られてるわけだからそんなことは思わなかった。人間界で言えば税かな。一定数納めるっていう」


「おお、なるほどね」


 税制か。そういえば魔族の間にはその概念はなかったな。でも経験値が魔王様に入ってると考えると実質徴収されてる。



「私そろそろ上がるけど」


 そう言ってお風呂場の出入り口に向かっていった。


「あ、ボクも上がるー!」


 ボクもティアの後を追うようにお風呂場から出ていった。


 髪をゴシゴシと乾かしてパジャマを着る。ボクはショートヘアだから時間は大して掛からないけどティアはロングだから大変そう。


「妹、か……」


 ふと、髪の毛を乾かすティアを見て言葉が口から漏れる。妹もそう言えばロングだったな…。川でびしょ濡れになった時に乾かしてあげた記憶がある。


「ミアの妹。ミアはどうするつもりなの?」


「どうするもなにも、会わないことにはなにもないからなぁ。まだなにも考えてないや」


「ちゃんとじっくり考えた方がいいと思うよ。ミアの本能に従ってもいいかもしれないけど、たまには理性に身を任せてみようよ。じゃないと悪い方向に事が転じる可能性があるから」


「分かった。よく考えておくよ。じゃ、おやすみ」


「おやすみー」


 自室に入ってベッドへと潜り込むが、就寝する前に妹について考えるか…。



 まず最初に、あいつがいいやつなのはわかってる。そしてボクが勝手にあいつに裏切られたと思っているだけだということも。あれはきっと、妹の幼さから来た裏切り、勇者という甘い言葉に踊らされただけだと信じてる。


 だから迷うんだ。


「んー………」


 仮にあいつがボクを意図的に嵌めて勇者に仕立て上げた場合、問答無用で殺す。血縁なんていうためらいはそこには介在しない。


 けどなんの悪意もなくさらにボクと対話してくれた時。ボクは殺さずに保留にする。別に謝罪が欲しい訳じゃないし、死を求めているわけではない。ただ対話をしたいだけだ。あくまでこの場合はだけど。


「うん。まあこれでいいんじゃないかな…。前提としてボクはあいつより強いっていうのがあるけど」


 負けることはないと信じてるけど互角の戦いになる可能性は否めない。ボクは十二騎士上位と戦ったことは客観的に見ればない。この曖昧な言い方になるのは知っての通りザルバトスがいるからだ。正直、強かったには強かったけど全盛期の力は出せていないように見えたし、あれだとあの場にいたハルカと同等ぐらいだったかな。だから上位相当の力を持つ相手とは戦っていないって事で。


「じゃあボクも寝るか……」


 これで十分だと信じているが、実際はどうなることやら。



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