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エッセイアラカルト

郵便受けの天井を毎回さすってしまう理由

作者: 降井田むさし

まず、家の郵便受けの形状について、語ろうと思う。


壁埋め込み型だ。道路から直接、入れられるタイプだ。自転車に乗りながら、サッと入れられるタイプだ。


まあ、自転車に乗ったままでは、入れないと思うが。まあ、プロ競輪選手とか、サーカス団員しか、入れられないか。


それで、その郵便受けが、どこに繋がっているかというと。玄関前だ。右側から階段を上がった所にある、玄関前だ。高い場所から、取る感じになる。


中腰じゃないと、開けられない。そんな、郵便受けだ。植木の隙間にある。そんな郵便受けだ。


郵便受けの天井は、目に入らない。死角になる。郵便受けの床面しか、目に入らない。しっかりと、床に落ちた郵便物しか、認識できない。




頼んだ荷物が届かない。そんなことがあった。メール便が、なかなか届かなかった。


おかしいな、おかしいな。そう思って、数日が経過した。


全てを疑え。そう思い、しゃがんで本格的に覗いた。そうしたら、天井に潜んでいた。


ピタッとメール便が、天井に張り付いていた。忍者かよ。そう突っ込んでいた。もちろん、頭の中だけで。


見つけた日は、届く予定の日から、かなり経った時だった。遠出の旅行が出来てしまう。そんな日数。


だとすると。郵便受けの入口は塞がず。通り道を確保しながら、ずっと潜んでいたことになる。


あれと一緒だ。かくれんぼのとき、鬼がドアを開けたとき。ドアの裏にひっついて、そこで身を潜める。


それで、見つからずにいる。それと一緒かもしれない。一緒か?


まあとにかく、しっかり見ることが重要。それを、学んだ。学んだから毎日、やることにした。覗くことにした。


ただ、ツラい。低い場所から、郵便受けの天井を覗くのは、キツい。だから、指に頼った。


さすった。天井を、指でさすった。毎日、仕事から帰ったら、必ず。


半年以上、何もなかった。何も、指先に当たらなかった。天井だけが、指先に当たった。


そもそもメール便に、無縁になったから。デカい郵便物と、疎遠になったから。


それでも、指さすりをやめなかった。やめなかったというより、クセ付いた。無意識にやるように、なっていた。


ついに、指に異物が当たった。デカイ郵便物。健康診断の重要書類だった。


<郵便受け天井指さすり>をしていなかったら、健康診断できなかった。気付けていて、本当に良かった。

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