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同窓会で君に

作者: 嵐鳥夢花

嫁に起こされた。

「早く起きないと同窓会に間に合わないよ??」

「後、5分だけお願い…」

「だめだよ、起きなさい!!」

そう言って俺の布団を全て取った。

今日は高校の同窓会で俺は地元に戻らなきゃいけない。

正直、同窓会に出るのはめんどくさいし行きたくない。

だが、嫁の説得といまだに連んでる斎藤に説得され行くことにした。


「何時に斎藤くんと待ち合わせしてるんだっけ??」

「12時に駅だよ。行きたくないな…」

「行ってきなさいよ!!私のこと気にしてるの??」

「うん、だって、妊娠そろそろ7ヶ月でしょ?

1人にするのは少し不安だよ」

「大丈夫だよ、気にしないで!!

ほら、早く準備しなよ!!」

諦めたような顔で頷いた。

そして、同窓会に行く準備を始めた。

行くならお洒落な格好で行きなねと言われたから、

まあまあ高いスーツを着て行くことにした。


準備も終わりそろそろ家を出る時間になっていた。

「じゃあ、そろそろ行くね」

「うん、気を付けてね」

「何かあったらすぐ連絡しろよ」

「分かってる!!ほらいってらっしゃい!!」

そう言ってほっぺにキスをしてきた。

俺もいってきますと言いほっぺにキスをした。


駅に着いた時に斎藤からメールがきた。

熱があるから今日行かないらしい。

もっと早くメール出せよ。

てか、逃げたなあの野郎、戻ってきたら飯でも奢ってもらう。

俺もサボろうかと思ったが、嫁から写真送ってねと言われていることを思い出したから無理だと思った。

仕方ないから覚悟を決めた。


行きたくない理由は、妊娠が不安以外にもあった。

どっちかと言うとそっちのが本当の理由かもしれない。

俺は電車に乗って少ししたら寝てしまった。

その時に夢を見た。

高校生活の夢だった。

友達と授業中に騒いでる所や部活を頑張ってる所。そして、当時に付き合っていた彼女との思い出。俺の初恋、美希のことを思い出してしまった。

目が覚めると涙が少し溢れていた。

美希のことは凄く好きだった。

だけど、色んなすれ違いや俺が酷いことをして別れてしまった。

俺は後悔したけど、もう美希には会わない方が良いと思い、高校卒業と同時に地元を飛び出した。そして、今の嫁と出会って結婚した。

嫁のことが嫌いではないし好きだ。

だけど、初恋は特別な感情がある。

同窓会には美希が来るかもしれない。

できれば気まづいから会いたくなかった。


地元に着いてしまった。

電車から降りて改札を抜ける。

タクシー乗り場からタクシーを捕まえて、同窓会会場に向かう。


俺が会場に着いた時には結構な人が集まっていた。

俺に気付いた奴が話しかけてきた。

懐かしい面々だった。

みんなと話をした後に隅っこでご飯を食べていた。

疲れた。こんなに人と一気に話すのは久々で疲れてしまった。


「もう帰りたいなー」

と心の声が漏れてしまった。

「もう帰るの?」

「えっ?」

声が聞こえて振り返ってみた。

そこには美希がいた。

「びっくりした??久しぶりだね。

高校卒業以来だよね?元気だった??」

「おっおう、久しぶり。

そうだね…元気だったよ。そっちは?」

「うん、元気だよ」

「そっか…」

会話が続かない。凄く気まづい。

左手でワインを手にして一口飲んだ。

「…結婚したんだね」

「あ…うん、去年した。子供も産まれるよ」

「私もほら結婚したんだ。」

そう言って左手を見せてきた。

そこには輝く指輪があった。

「おめでとう…俺より良い人そうで良かった」

余計な一言だった。

「どうだろうね、別に旦那の不満とかないけど、でも、今でも思い出すよ高校生の時を。

隆くんと付き合っていた時のこと。好きだったんだよまだ…」

そう言われて俺は黙り込んでしまった。

なんでそんなことを言うんだ。お互いに結婚をしている。

「俺はずっと謝りたかったよ。

あの時はごめんな。幸せになってな…」

そう言って俺はまた逃げ出してしまった。

会場を出てタクシーを捕まえて駅に向かった。


タクシーの中で俺は思った。

美希とちゃんと話をしていたら今みたいな結果にならなかったんじゃないかと。

全て俺が逃げたせいでこうなってしまったんではないかと。

また俺は後悔をする。


やっぱり行かなきゃ良かったな……

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― 新着の感想 ―
[一言] 素晴らしい作品ですね! ☆5個つけさせて頂きました。 これからも頑張って下さい! 応援してます。
2021/11/14 08:00 退会済み
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