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第7話:会議

「《ここにある植物よ、成長しなさい》」


再び植えた場所に芽が出て、急成長し、綺麗な緑の葉が畑を埋め尽くした。

この畑の姿を見た町民らは瞳に涙を浮かべていた。

ある者は声を出しながら泣いている者もいる。


「これで当分は餓死する者はいなくなるな」


「はい・・・はい。もう誰も餓死することはありません。イスカンダル様とイージアル様のおかげです」


隣にいる長老も涙を流していた。


「まだだよ。まだ始まったばかりだ。僕はこの町をもっと大きくする」


「わたくしはどこまでもお側にいますわ」


「僭越ながら、このジャス、私もイスカンダル様のお力になりますじゃ」


長老は涙を手で拭い、俺に忠誠を誓った。


「感動の最中、誠に申し訳ありませんが、喜んでもいられません」


イージアルの言葉で空気が変わった。


「そうだね。さっきも言ったけど、まだ始まったばかりだ。喜んでもいられないな。二人とも、今後どうするか話し合いたいから、屋敷に来てくれ」


「かしこまりました」


「かしこまりました」


イージアルと長老は返事をして俺と共に屋敷へと戻った。

屋敷には会議室のようなものはないため、執務室で話し合いをすることになった。

執務室は寝室の右隣にある仕事部屋である。

今まではあまり使っていなかったが、今後は話し合いなどは執務室で行う予定だ。

ちなみに執務室には大きめの机1台と椅子が数組しかない。


「何もないけど、座ってくれ」


俺は一番立派な椅子に腰かけ、机に肘をついた。

俺の言葉に伴い、長老も席についた。

だが、イージアルのみ席にはつかず、俺の横に立ったままである。


「イージアルも座ったら?」


「いえ、わたくしは貴方様の横におります」


「疲れない?」


「大丈夫です。わたくしのことは気にせず、話し合いを始めましょう」


彼女は座る気が全くないようなので、本題に入るとしよう。


「わかった。これから会議を始める。先程食料はある程度栽培できたが、問題がたくさんある。その問題を洗い出してみようか。まず長老は何があると思う?」


「まず人ですかな?」


「続けて」


「この町を大きくするのが目的となりますと、経済を回さないといけませんじゃ。しかし、経済も何もまず、この町には民が20人程度ということ。それも商人ではなく元々農家だった者や居場所がなく、この町に来た者が大半。これでは町を大きくするどころか町が滅んでしまいますじゃ」


「その通りだ。まずこの町には商人も売れるような物も何も無い。これでは食料と水があろうがいずれ滅ぶと思う。ではどうすればいいか、イージアル、何かあるかい?」


「そうですわね・・・まず確認したいのが、町民が何ができるのかの把握ですわね」


「うん」


「ジャス殿は先程、元々農家や居場所がなくなった者と言いました。それだけでは不十分です。もしかすると町民の中に秀でた才の持ち主がいるかもしれません」


「そうだね。じゃあジャスにこれは頼もうか。町民が何が出来て、何が出来ないかの確認を会議が終わり次第、早急に頼む」


「かしこまりました」


長老は頷いた。


「他に何かある?」


「はい。この町の周りの砂漠を先程上空で見渡したところ、大きなサソリが何体か見えました」


「それはポイズンスコーピオンですな。固い殻を身に纏い、尾の先から猛毒の液体を放つギア砂漠の魔物ですじゃ」


「魔物ですか?ではこの砂漠にはあのような魔物が多いと?」


「その通りですじゃ」


「付け加えると、魔物が多く存在しているから、隣町の商人も中々来ないというのが現状だ。それに時折、奴らがこの町に侵入して、町民を襲うこともあった」


「なるほど。戦える者はいなかったのですか?」


「前は少しいたけど、やつらは1匹じゃなく複数で行動するから、戦える人は皆死んでしまったよ」


「そうですか・・・・ではわたくしはこの町の周りに塀を造って、魔物が侵入しないよう対策をした方がよろしいですわね」


「そうだね。場所は長老と話し合って決めてくれ」


「かしこまりました」


「とりあえずこんなものかな」


「そうですわね。やることが増えると、わたくしは大丈夫ですが、ジャス殿が大変ですわ」


「儂のことは気にしなくても大丈夫ですじゃ」


「いえ、貴方の心配をしているのではありません。ひとつひとつの正確性が大事なので無理されてもこちらが困るので」


「こら、イージアル。もう少し言い方があるだろう?」


「申し訳ございません」


「いや、イージアル様の仰っていることは事実でございますのでお気になさらずに」


「じゃあ、他のやることは後で相談ということで。二人とも頼むよ」


「おまかせを。我が王」


「お任せくださいませ。イスカンダル様」


二人はそう言うと、執務室から出て行った










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