第1話:捨てられし三男
僕の名前はイスカンダル。
元フィリップス家の三男で9歳の元気いっぱいの男の子。
だけどもうすぐ10歳になる。
何故、「元」が付いているのか、気になると思う。
それは簡単なこと。
僕が『落ちこぼれ』で『劣化品』だから。
詳しく説明するとしたら、僕が同年代の子らと比べても、ステータスが低く、体も弱く、魔法も使えない。
「そんな劣化品は息子ではない!」と両親や兄弟に捨てられ、数人の使用人と共に、フィリップス家の領土ではあるが見渡す限りの砂漠しかない朽ちた町へと追いやられてしまった。
それも絶縁状とともに。
これを送り付けられたということは、「この土地をやるから、もう二度と我が家名を名乗るな」ということ。
つまり、僕は現在、ただのイスカンダルである。
僕の紹介はこのぐらいでいいだろう。
次は、この大陸について。
僕が今いるのは、人間主義の国が主体の大陸『オリエンタル』である。
エルフやドワーフといった亜人を嫌い、差別して、奴隷にしたり、酷いときだと何もしてないのに殺すような国が主体となる。
そして僕がいるこの国の名は『ターナギア』。
この国を創った初代国王の名から取られたようだ。
ちなみに、僕が生まれたフィリップス家はターナギアの男爵家であるが、もう僕には関係がないことである。
最後に一番重要なのが、僕が今いるこの砂漠『ギア砂漠』についてだが、周りには草木一本も生えてなく、水場もない。
ザ・砂漠である。
こんな砂漠にポツンとあるのが僕の町である『ギア』。
まあ、町かどうか聞かれたら、悩むところではあるが、一応20人近くの町民がいるから町だと思う。
だが、町民と言っても、食べる物も飲む物もないギア砂漠に町がある為、常に餓えている人しか住んでいない。
何故、別の町に行かないのか疑問に思うだろうが、答えは簡単。
近くの町へは歩いて行くなら一週間はかかる距離だからである。
隣町へ行ったら最後、脱水症状で死ぬか、熱中症で死ぬか、餓死か、魔物に食われるか、のどれかになるのが目に見えているため、月に一回来る行商人頼りの生活である。
かく言う自分も、屋敷に貯蓄していた食料もそこをつきかけているため、今にも死にそうだ。
「死ぬなら、明日の10歳の誕生日を過ぎた後に死にたい」
と、誰もいない広い部屋で一人呟いた。
最初は10人いた使用人も昨日で全員いなくなってしまった。
餓死する者、使用人を辞め隣町へ行く者、人それぞれだが、結局だれもここには残らなかった。
「僕はどんな風に死ぬのかな?一人寂しく死ぬのは嫌だな」
と呟き、ベッドに横になった
ベッドに横になって何時間たっただろう、気が付くと外は明るくなっていた。
「おはよう、ぼく。そして誕生日おめでとう」
ぼくは一人、誰もいない寝室で自分自身を祝った。
その時だった。
急激に頭に激痛が走った。




