第11話:鬼椿とポイズンスコーピオン
〈イージアル視点〉
時はイージアルがスキル『鑑定千里眼』で鬼椿を見つけた時点に戻る。
「京平様、すぐに鬼椿の種子を取って参りますので、少々お待ちくださいね!」
わたくしは黒い翼を羽ばたかせ、鬼椿のなる方向へと猛スピードで飛んで行く。
出せるスピードは戦闘機と同じほどである。
飛び続けること約2分、鬼椿がいる場所へと到着した。
そこは既に砂漠ではなく、鬱蒼とした木々が生い茂っていた。
「あれですわね、鬼椿は」
わたくしの視線の先には、魔物の身体に絡まり、養分を吸っている真っ赤な大きな椿の花があった。
「さすがは異世界。普通の椿ではなく、意志を持ち、動くことができる椿ですか」
そして、頭部ほどの花の中心には、同じく人の頭部と同じほどの大きさの種子が実っていた。
普通なら花が枯れた後に、種子が出来るはずだが、ここでは違うらしい。
「京平様がお待ちなので、貴方の相手はしていられません」
わたくしの存在に気が付いた鬼椿へわたくしは言った。
そして急降下し、鬼椿へと接近した。
鬼椿はわたくしを養分にしようと何本も蔦を伸ばしてきますが、遅すぎます。
わたくしは鬼椿の蔦をすべて避け、花の中心の種子へ触れた。
「終わりです。《枯れなさい》」
わたくしが種子に触れながら、その言葉を唱えると、自分に向かってきた蔦すべてがあっという間に朽ち果て、ボロボロと崩れていった。
蔦だけではなく、綺麗な花も朽ち果てて、最後には種子だけが残った。
「中々の大きさですわね。これなら油もたくさん採れますね」
さもなにもなかったかのように、種子を片手に持ち、再び天高く飛んだ。
「・・・・意外と邪魔ですわね」
人の頭部ほどの大きさの種子はかなり持ちにくかった。
「では、『アイテムバッグ』にでも仕舞いますか」
何も無かった空間に切れ目が現れ、わたくしはそこに種子を仕舞い込んだ。
わたくしの3つ目のスキルは『アイテムバッグ』。
これは別次元に空間を造り、そこへ無制限に物を入れられ、なおかつ空間の中は時間が進まないといったスキルである。
このスキルは、よくある異世界転移などで主人公が貰う定番のスキルだが、わたくしたち七大罪と十戒は全員、このスキルを持っている。
「では京平様の元へ戻りましょう」
そして来た時と同様、猛スピードで京平様が待っている町へと戻り始めた。
先程と同様、約2分で町の上空へと戻ってきたわたくしの目に、あるものが映った。
「あれは、ポイズンスコーピオンですわね」
そう紫の強固な殻のサソリは3体共に町へ向かっていたのだ。
「そうですわ!あのサソリを鑑定して、もし食料にできそうならば、持って帰りましょう!」
わたくしはそう言うと、スキル『鑑定千里眼』を発動した。
スキルでサソリを見てみると、案の定、食べることが出来ることがわかった。
「なになに?ポイズンスコーピオンの身は、ロブスターの如き弾力を持ち、味噌は蟹味噌より濃厚、ただし尾にある毒腺に注意と・・・なるほど」
これは良い食材ですわね。
これなら京平様に喜んでもらえる。
わたくしの頭には既に京平様のことしか考えていなかった。
「ではさっさと倒してしまいましょう。《空気よ、断頭台の如き刃となり、切り裂け》」
わたくしはポイズンスコーピオンの遥か上空にて、この言葉を唱えた。
すると視線の先にいたポイズンスコーピオン3体の上から透明な刃がそれぞれ3つずつ落ちていき、胴体、尾、脚と綺麗に切り落とし、さらに胴体を真っ二つに切り裂かれたのが見えた。
「さて、これも『アイテムバッグ』の中に入れますか」
バラバラに解体されたポイズンスコーピオンの横に降り立ち、それらを異空間へと仕舞った。
「では戻って、夕食を作り始めましょう」
そう呟くと、再び黒き翼を羽ばたき、愛しき主が待つ屋敷へと戻っていった。




