第9話:『眷属召喚』の条件
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〈ジャス視点〉
儂はイージアル様と別れ、イスカンダル様の命を遂行するため、町へ赴いていた。
「さてさて、イスカンダル様のため、この町の民すべての長所と短所を調べましょうぞ」
儂は張り切りながら、誰かいないかと周りを見てみるが、誰も外には出ていないらしく、噴水ができた広場には誰もいなかった。
「まあ、仕方がないかもしれんの。水も食料も満足になかった生活から水と食料がある生活へとなったのだ、綺麗になった家の中でゆっくりしているのだろうからの」
これもイスカンダル様とイージアル様のおかげ、お二人に感謝せねばな。
ただ、気になることがないわけではない。
少し前に見たイスカンダル様はあのような逞しい考えをするお方ではなかった。
さらにイージアル様、あのお方は明らかに魔族の女性、いったいイスカンダル様はどこでイージアル様と出会われたのだろうか。
わからないことばかりではあるが、この老骨の頭で唯一わかるのは、あのお二人について行けば、まだ見ぬ世界を見れるであろうことである。
「おっと、儂の悪い癖じゃな。まずはイスカンダル様の命を遂行せねば」
ジャスは自分に言い聞かせ、再度、誰かいないか探し始めた。
〈京平視点〉
イージアルは空高く飛び城壁の建造をしており、ジャスは町民の長所短所を聞いて回っている最中、俺はというと、執務室の机の上で頭を悩ませていた。
「やはりこの町には何もかもが不足している。食料も人も防衛手段も圧倒的に足りなさすぎる!」
食料はギア芋とギア豆のみ。
働き口は無く、名産となる物はない。
防衛手段はイージアルが造っている城壁のみ、これではこの町を大きくすることなど無理である。
俺はどうすればいいか永遠と頭を働かしていた。
「『パラ・ケル』か『エキドナ』を呼べれば、問題は解決するが条件がなぁ」
俺はため息をついた。
ちなみにパラ・ケルとエキドナとは七大罪の『強欲』と『怠惰』のことである。
「『眷属召喚』の条件、ゲームと同じなのは辛いな」
俺のスキル『眷属召喚』の条件とは、人の血と魂が必要であること。
七大罪は1000人分の血と魂、十戒なら500人分の血と魂が必要である。
「この条件だと、どこかの国に喧嘩売ったほうがいいかもしれないけど、この世界では平和に穏便に生きようと思っているから、あまりしたくないなぁ」
前世ではゲーム内で『恐王』などと呼ばれていたが、実際は平和主義である。
まあ、相手から喧嘩を売ってきたり、舐めたことをしてくる輩には容赦はしないのがモットーなため、気が付けば『恐王』などといった名前を付けられてしまったが。
などと色々考えていると、お腹が鳴る音で正気に戻った。
「もう夕方か・・・・、お腹空いたな」
お腹が空いた。
俺がそう呟いた瞬間、執務室の扉をノックする音が聞こえた。
「失礼いたします。京平様、夕食をお作り致しましたが、こちらでお召し上がりになられますか?」
扉から顔を覗かせたのは城壁造りからいつのまにか戻ってきていたイージアルだった。




