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異世界カレー列伝~カレーを持って異世界転移~  作者: 前歯隼三
華麗なる冒険編
8/249

華麗なる戦いの日々

過去最高の評価点が頂けて…嬉しくて調子こいて更新します。うひょー

感謝

 うおぉおおおおおおおおおおおおお!


「スキル=スパイシーッタックル!」



     拝 啓


 皆様は異世界に転生したら、やっぱり冒険者になりたいですか?仮にチートが無くたって…始まりの町でザコモンスター倒してウハウハとか…そんな甘えた事考えてませんか?

 いえいえ、私もこの世界に来るまでは舐めてました。蜂蜜ドバドバ入れた子供用甘口カレーな頭でした。はい…では、真実を話しましょう。



「やだぁあ!こわいぃい!牙がぁ!牙がぁあん!」


「おら!っとっと突っ込めよ糞兄貴!」



 例えば、解りやすいのが痛みです。えぇ…異世界物だとなんやかんや、すーぐ傷治ったりしますよね?魔法とか薬も豊富です。

 いえいえ、そんな大きなケガの話ではありません。

 私が言いたいのもっと小さな事…例えば画びょうです。


 さぁ、地面にちょこんと画びょうを置きましょう…小さな針が上に向いてますね。本当に小さい針です。腕が捥げたり…矢が刺さったり…獣に噛まれたり…、酸で焼かれたり…皆さんの考える冒険の痛みの前では、本当にあって無いような小さな痛みですね。

 さて…


「うぁああ!盾を越えてくる!爪!爪がひぃいい!猫子ちゃんギブ!ギブゥウウウウ!」


「こいつら学習してるぞ、トゲ無い所手で押さえてくるし…スパイシータックル使えねぇええ!」


「ハハハハハ!いいよぉお二人ともぉお!戦いの辛さを知りなさぃいい!アハハハハハ!」



 …そう、 床に置いた小さな画びょう

 それをあなたは思いっきり裸足で踏めますか?



「痛いのやだぁああ!むりぃい!爪こわいぃい!牙こわぃいい!」


「ごべんなさぃ!今まで一人に任せてごべんなざび!たずげてぇえ!」



 画びょうなんかよりぶっとい牙と爪が、目の前で一斉に向かってくる…むしろそれに飛び込んでゆく、裸足で画鋲を踏み込むように、自ら痛みを求める様に…それが冒険者の生きる道です。

 うん、無理…ぼくおうち帰る。無理…



「スキル=猫邪羅死!散歩必殺!」


 …猫子の叫びが耳に入ると同時に、盾を押さえつけていた魔物の腕が宙を舞う。否…腕だけじゃなく…足も…胴も…首も…!


 ブシャァアアアア!

 血と臓物の雨が降った。


「ハァアアア!ハァアアアア!!」

 猫男は狂乱状態で寄声を上げている…目の前に、牙だらけの首が落ちてきたのだ。

 正男はそんな無様な声は上げずに…ただ、静かに漏らしていた。


「ドリフタードッグ<野良犬>5体、討伐完了!二人が二体抑えてくれたからいつもよりずいぶん楽だったわ」


「ハハハ…猫子ちゃん、嘘が下手だなぁ…ハハハ」


 うん、絶対嘘。絶対一人でも余裕だこのアマゾネス。

 


「ハァアアア!ハァアアアア!」

 猫男は戦いが終わっても盾を降ろさない…否、降ろせないんだ…怖いんだ…世界が…


「終わったよ…猫男、…終わったんだ…帰ろう…帰ろう…」


 現実は辛口だ。

 今回は幸いな事に爪の痛みも、牙の痛みも味合わなくて済んだ。

 …ただ盾を持って耐えてただけだからね…だけど腕は痛いし、足も…獣が盾にぶつかる度に膝で抑えてたから…膝が赤く腫れてるのと、うん…手の皮がずり向けてやがるぜ…うぅぅう

 無理…ほぼ無傷だよ。アニメ漫画では無傷扱いのこの程度の状態でもめっさ痛いよ…うぅ…


「さぁ!ちゃっちゃと袋に首詰めて?これで船代貯めればサカナールへはあっと言う間よ?役場に言って、明日の分の仕事も探しちゃいましょう!うふふ…いい気分!」


「ハァアアア!ハァアアアア!」

…猫男は帰ら道も、宿に就いても…日が沈みまた登ってもこうだった、…彼の心は…もう…うぅう。



   ◆    ◇    ◆    ◇



 俺達…華麗なる冒険団…否「カレーなる冒険団」はミートボルから更に南下しながら、様々なクエストを攻略していった。


  ドリフタードッグ<野良犬>討伐

  連続下着ドロボー<河童>の討伐

  ウォーキングマツタケの捕獲

   …挙げれば切りが無い。


 働いて働いて…ちょっと貯まると飲みに行って、ようやく川下りの船の代金が…


「今日の討伐で、船代が貯まるわ!足で歩けば1月だけど…船ならなんと4日で海まで行けちゃうわよ!交易の港町サカナール!」


「や…やったー!やったな猫男!」


「ハフー!(やったー)ハフー!(やったー)」


 俺達三人は泣きながら抱き合った。あ…ゴメン、肩打撲あるから触らないで…うん、マツタケ追ってる時ぶつけちゃって…うん。

 あ…ごめん、お尻触る気はなかったんだ。うん…わざとじゃないよ?うん…はい、その後撫でたのはわざとです。ごめんなさい。

 痛い…肩いた…痛タタタタタタ!


…コホン


「最後のクエストは牛ガエルのハントよ!大きいのが街道近くに出たんですって!」


「牛ガエル!?…フフハハハ!余裕!なぁ猫男!」


「フォフー!(余裕)フォフー!(余裕)」


 ウシガエルなら、猫まんま村に居た時に既に無手で捕まえている。フフフ…懐かしいなぁ、ただただ怠惰に過ごしたあの頃。

 思えば、カレーさえ…カレーさえ猫子ちゃんに食べさせなければ、こんな事にはなってなかった。うん…そりゃ大変だっただろうけど、冒険者とかならないで…タイショウの店で働いてたり…そんな平和な今があったかもしれない。うん


 おのれカレーめ…大っ嫌いだ。


「よーし!じゃぁちゃちゃっと捕まえて…冒険生活とおさらばだ!」


「オオオオオ!(オオオオ)」


 俺達は意気揚々と宿屋を飛び出す!この苦難の生活の…終わりはもうすぐ!なんだか愛用の盾も軽く感じる!


「うーん…なーんか正男さん勘違いしてる。」


 猫子の不穏な独り言は、幸か不幸か…浮かれる二人の耳には入らなかった。

 かくして、カレーなる冒険団…最後の戦い(予定)が始まるのだ。

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― 新着の感想 ―
[一言] こんばんは!また書きにきましたっ 2部冒険編が始まりましたね( *´艸`) もうもう、正男と猫男が可哀想すぎて面白いです! 猫子ちゃん強すぎ…素敵…アマゾネス
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