選ばれし者達
岡村が港に辿り着くと、異様な人だかりが出来ていた…お祭りか?
場所は招待状にある「カレーなるカレー店」の店前辺りだ…
店前には木箱テーブルにガラの悪い魚人達が酒を呑んでる。
魚人だけじゃない、フンドシ団の男達と犬族の親子、虫亜人という亜人を擁護するこの国にふさわしい様々な種族の見本市…人魚と猫獣人、それに人間がバタバタと店から出入りして…酒盛りをする者達に山盛りのポテトやサラダ、唐辛子の浮いたスープを届ける。
そしてそれを忌々し気に見ている漁師達と、大柄な猫獣人の男の言い合いだ。
「今日は閉店!」
「やってるじゃん!」
わーわーわー
今は国中…色々な意味で騒がしいが、この店もなかなかに大変そうだ。
「あのー、招待で来ました…岡村と言います。」
「え?あ…はい…岡村?…ルウ知ってるか?」
「えーっと…この手紙は商業ギルドに…やっぱギルド長様はお忙しかったですか?」
美人の人魚が悲し気な顔をする…その顔をさせたのが自分だと言う事にちょっと傷つく。
「あっと…魔王国独立に伴い、長が代わりまして…チェーン様に代わり、今は私がギルド長をやらせて頂いております。岡村と申します。はい。」
とたんに人魚ちゃんの顔が明るくなった、うっひょー可愛い!
「それは大変な失礼を!どうぞ店内に!…よかったわねアナタ」
「あぁ…これで残すは魔王だけだ。」
人妻かよ!ちくしょう!
…それはそれで良い。
さて、岡村が店内に入ると…居酒屋風の店内には…そうそうたる顔ぶれがひしめいていた。
まず目を引いたのは…黒髪美女のおっぱいである。海辺の街だからって…痴女さながらのビキニ入店…ありがとうございます。ありがとうございます。
…そして、その隣に座る緑の男。河童だ…初めてみたわ。
更に目線を奥に移すと鳥人間がいる…いや…ペストマスクという奴か…コフーコフーと呼吸音を響かせながら…集中するように微動だにしない。何の人…コワ
その向こうに場違いな…バイキングみたいな格好のおっさんが居た…あぁ、冒険者ギルドの長さんだ…うん、あの人の横にすわろう。
「どうぞ、あとは魔王様が来れば全員ですね…こちら摘みながらお待ちください。」
これまた美人の金髪猫獣人の娘がビールとおつまみを岡村の前に出した。
「たこワサ…だと!?」
居る…これは絶対に…同郷が居る、インド人じゃない!どこだ…どこに俺の嫁(予定)な大和撫子ちゃんは居るんだ?
「正男~、虫さん達も中に呼んでくれる?あと魔王だけよー」
「おっさんかよ!!」
岡村の隣にバッタが座り、オケラとアメンボがその奥に座った…後席は二つである。
あそこに魔王が座るのか…あと一席は誰だ?たこワサ うっま!
…
……
…………ザワザワ
「魔王様のおな~りぃ~」
ウッドキル!ウッドキル!ウッドキル!ワーワー!
ふんどし魔王ウッドキル万歳!
ふんどし魔王ウッドキル万歳!
ワーワー!
なんか外が騒がしくなってきた。
「やめろー!絶対からかってやってるだろ!ちー吸うぞ!」
キャー キャー
…
……ガラララ
「申し訳ない…俺が最後か?ところでカリーは?…あいつアホだから重ねて口止めしておかないと」
魔王は店内を見渡して、何か不安そうに眉を顰める…すると店の奥から鍋を持ったうさ耳娘が顔を出して…
「あー!やっと来たよ“美人秘書に踏まれる快楽”魔王」
「うぉおおおおおおおおお!出でよヘモグロォオオオオオオ!」
ズドン…魔王の頭に六法全書がめり込んだ。
「ゴファ(吐血」
「お待たせしました、魔王が暴走しないよう…私も同席させて頂きます。」
魔王専属の美人秘書、青髪の麗人マリーが最後の席を埋めた。
「だ…大丈夫なんですか魔王様は?」
…全員を代表して、正男とかいうおっさんが聞く。
「大丈夫です…踏まれるのが好きならきっとこれでも大興奮です。」
うーん…
なんとも言えない雰囲気が店を包んだが、趣味趣向をとやかく言うのは野暮という物。
店の入り口から順に…
黒髪のビキニ痴女
緑の全裸男
ペストマスク
バイキングっぽいおっさん
岡村
バッタ
オケラ
アメンボ
魔王
美人秘書
こうしてやっと、カレーを食べるに足る、10人の実力者が集まった。
「「すげぇ絵面だな…」」
正男と岡村は声に出さずとも、同じ気持ちを共有していた。
ワーワーワー
外では10人の付き人達が、酒を呑み呑み盛り上がり…港の空はすっかり暗く、丸いお月様が浮いていた。




