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異世界カレー列伝~カレーを持って異世界転移~  作者: 前歯隼三
第一のカレーと兄妹編
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祭りが来るよ

ちくしょう…地味に楽しそうだなこいつ等

 今日は村祭りの日だ、いわゆる収穫祭というやつらしい。長い期間、汗水流して手間暇かけて作った作物がいよいよ収穫の時期を迎えたのだ。村は活気に満ちているください


「どうにも、ご飯は微妙だったのは…なるほど、収穫前で非常食とか食いつぶす時期だったのかな?」


 地球に居た時も別に農家でなかったし、民俗学にも…勿論料理にも詳しくはない。俺はなんとなく大学に行って、好きな本を読み漁って…無事に就活に失敗したしがない無職だ。

 しかし、猫男の妹…美人の猫子ちゃんの料理にはいささか思う所があった。いや…タダ飯タダ宿頂いといてなんなんだが、こう…無味というか。味気ないというか…普通に貧しい村なのだろうと…いやいや、流通が発達する前の世界なんてこんなものか。スーパーがあるわけじゃないから…地域で獲れる数種類の食糧を延々食べ続ける物なのだろうし…


「フフフ、正男さん…明日からはとれたての食材でご馳走できますよ!ワサビとか!」


「スゴイ不安!でも楽しみだよ猫子ちゃん!」


「お酒飲みたいなー祭りまだかなー」


 今日はお祭り!猫子ちゃんは朝ご飯の沢庵漬けと蒸かしドングリを置いて村長宅へとお手伝いに行った。

 村長は一回しか会ってないが、髭がやたら長いモジャモジャタイプの猫獣人だった。


「猫男、俺達も何かしないでいいのか?」


 村中の活気、忙しそうににゃーにゃー響く村人の声に…小市民の俺は居心地が悪い。ここまで客人扱いというのもなんだか寂しい。


「あーじゃぁ魚釣り行くか?めんど」


「どうせ釣れないしなぁ…」


 ここも悔しい所、異世界転生したら現在知識でありとあらゆる無双をすると思って居たが、案の定釣りすら現地人以下だった。


「…まぁ、罠だけでも確かめに行くか。兎一匹、鮎の一匹でもかかってればいいなぁ」


 俺と猫男は連れ合って、スタスタと裏の山へと向かう…

 山の道中に仕掛けた落とし穴はことごとくスカ、ミミズ匹を拾えた程度で…うん、これは釣りの餌にしよう。

 自信があった河の罠…と言っても、川の横に手で作った水たまり程度の横道と、餌として入れた残飯というシンプルな何かだが…これは、到着したらすぐに水たまりの出入り口を板と砂利でふさいでからだ。


「くっさ!この水腐ってやがる!」

「そりゃお前…こんな残飯捨てるから…くっさ!」


 なんだこの異世界生活、完全に小学生の夏休みレベルの何かだ…まぁ…嫌いじゃないんだけど。


「さぁ、この水たまりに大物がいるかもしれないんだ!いくぞ猫男!」

「いや…俺…毛皮臭くなると嫌だし…木陰でまってるよ」

「おま…お…お前…くぅ…!」


 この友人のマイペースっぷりはなんなのか、全裸の俺を受け入れてくれた時点で相当だったが…これは猫子ちゃんの苦労がしのばれる…猫子ちゃん…猫耳の生えたおっぱい。


(こんな大きな魚どうしたんですか!?素敵!正男さん素敵!っちゅ!)


「行くぞぉおお!!」


 俺は意を決して残飯の浮かぶ毒の沼に入っていった。

収穫は…ザリガニ5匹とウシガエル1匹


「やったな!これなら祭りの一皿になるよ!さすが親友だぜ正男!」

「いいのか?…え?これ良いの?…猫子ちゃんにちゅーされる?」

「大丈夫だ、猫子はお前の嫁、俺は兄さんだ!…さっそくだが弟よ、ウシガエルは俺がとった事にしていい?」


 こいつ…適当な事言いやがって…ちくしょう…


「いいよ兄さん!ウシガエルで嫁が貰えるなら安い物だゲヘヘ」


 こうして、俺達は意気揚々と村へと帰った。

 なんやかんやお昼を過ぎてて、どや顔で収穫を渡した猫子ちゃんは鼻をつまみながら喜んでくれた。


「はふぃふぁとぅごふぁいまふ、ごっふぁ!おふぅゲロロロロロロ」

※ありがとうございます、くっさ、お風呂入って来て下さい



 にゃーにゃーにゃー


 猫まんま村の日が沈む

  満月みたいな月登る

 満ちては欠けてのお月様

  今宵はまんまる食べ時だ


 さぁさ神様降りてきて

  村の実りも食べごろだ

 見守ってくれてありがとう

  今年も感謝の歌と踊り


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