プロローグ
半分実話です。嘘です。
この世界は理不尽に満ちている。乗り越えても乗り越えても…この苦痛の日々に終わりは見えない。食べても食べてもカレーも消えない。
時は令和2年、春先にパンデミックを巻き起こした流行り病のせいで世の中は絶賛大不況であった。流行ったのが研究の進められた病ではなく、未知の病気という事もあり…対策も、治療も、将来も…全てが闇の中、見える事は無い。このカレー鍋の底と同じだ。人は未知に恐怖する…俺はカレーを恐怖する。
話が見えなくてすまないな、カレーの話だ…違った、俺が元いた世界の話さ、ここからは解りやすくはしょっていくぜ。
流行る未知の病と恐怖によって、人々は出歩く事をやめ…町から店から人が消えたのだ。俺の友人のカレー屋もすっからかんよ、減り続ける客と売り上げは問題だが…もう一つ、売れ残った食材の廃棄も問題だ。
あの時俺は友人からカレー2kg×3袋を貰ったんだ。うん…もうちょっと小分けにしろよって言ったよ…小分けの2キロ食べるだけで1日6皿食べても3日だよ…5日に伸ばしても毎日カレーだよ。うん…んでだ、文句を言いに行ったら、なんかさらにカレーを追加でくれたんだ。うん…俺も不況の煽りで無職、貯金を崩すのは忍びなかったので…毎日毎日仕方なくカレーを食べ続けた。
納豆を入れたり、珈琲を入れたり、ヨーグルト入れたり…うん、美味しかったのは焼き肉のタレかな、ヤバかったのはオレンジジュースだった。
というかそもそも友人のカレーマズイんだよ…どの道潰れてたよトマト主張強すぎるし…あぁ 思い出したくない…うぅ…うぅ…お好み焼き食べたい。
まぁ、そんなこんなだ。カレーを一カ月ばかし喰い続けた俺は気が付くと異世界に居たってわけだ。最初に友人に貰った2kg×3袋のカレーを持ってな。
夢に見た異世界転生だったが、まさかこんなわけ解らんうちに、わけ解らん装備で来ることになろうとはな。全裸にカレーの袋3つ ここから俺の冒険が始まったのさ。今にして思えば懐かしいよ。
さぁ…コホン、ちゃんと<物語>が聞きたいだろう?
じゃぁ、プロローグはここで終わりさ…始めようか。
異世界にカレーを持ち込み、貧しい人々を救い…国に認められ、猫耳少女の弟子とイチャコラしながら戦争を終わらせた男の話を!
「異世界転生の持ち物がカレーだった件」
俺の名前は 浦太正男 好きな物は酒と女さの…しがない30のおっさんさ!
毎回自分の発想が天才すぎて怖い。