表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
93/125

第93話 シールド



田中のおっちゃんが放ったガトリング砲の弾は虚しくも全弾はじき返され、半円状の美しいシールドの中で巨大蛾は何事も無かったかのようにフワフワと優雅に飛んでいる。


「クソッ!」


頭にきた田中のおっちゃんは持っていたガトリング砲を力任せに投げつけたが、それもシールドに阻まれ、足元にガシャンと重々しい音を立てて転がった。


「尊!魔法よ!!」


千年が叫ぶ


「よっしゃ、いかずち行ってみる!」


万が一を考えて、全員には離れてもらった。

そして、俺は右手を出して目をつぶり深呼吸をすると渾身の気合を込めて、いかずちの魔法を放った。


すると


空には金色に輝く魔法陣が現れ、その大きさは蛾のシールドをはるかにしのぐ大きさだった!

そして一瞬周囲が暗くなったと思った瞬間、魔法陣の中心から ピシャァッ! と青白くまばゆい雷が放たれた!


その威力は大きく、神社の木々がザワザワと揺れる程の大魔法だった。


「どうだ!」


俺は満足いく魔法を放てたと思った・・・が・・・


あれだけのいかずちをくらってもシールドにはヒビ一つ入らない・・・


そこに居た全員が信じられないと言った青ざめた顔をし、フワフワと空に浮かぶ巨大蛾を見つめていた。



困った。



これだけの攻撃ですら巨大蛾の張ったシールドではじき返されるとは・・・


物理もダメ、魔法もダメ・・・こんなのどうやって戦えばいいんだよ!

だいたいこの半円状のシールドは何なんだよ!


巨大蛾は変わらずシールドの中で優雅に浮かび、また羽から鱗粉を周囲にまいた。鱗粉はシールドの中でキラキラ光り蛾の周りを舞っている。


その様子はまるでクリスマスのスノードームのようだ。


何なんだよこのシールドは!


俺はシールドへと近づいて行き・・・そして腕を伸ばすとゆっくりとシールドを押してみた。


「尊!やめなよ!何してるの!?」


千年が俺をシールドから離そうと後ろから服を引っ張った・・・が・・・


俺のシールドを押した手はそのままスッとシールド内に入って行った。俺はてっきり壁みたいなものだと思って体重を前に乗せていたので、俺の服にひっついている千年ごと中に転がり込んだ。


「入・・・れる・・・のか?」


俺の上に乗っかる千年をどかしつつ、シールドの中を見渡した。かなり近くで巨大蛾は空中で舞い、俺の周りには蛾の鱗粉がキラキラと輝いている。


これ入れるじゃん!やった!!


と、その時。


「うおおおおおおおおおおおーーーー!」


と、雄たけびを上げ、別の冒険者数名がシールドに突進してきた。皆早く決着を付けたいのだろう。

だがしかし、その全員がシールドにぶつかって後方に跳ね飛ばされた。



どゆこと?????



俺と千年は跳ね飛ばされて倒れている冒険者達を見て茫然としていた。

すると・・・リアルではこの神社の神主である千年の父親が皆の背後からゆっくりと現れ、おもむろにその口を開いた。


「もしかしたら・・・この場は神聖な地なので・・・清きものしか中に入れないのかもしれない・・・」


ん?


そこに居た全員が一斉にシールドの中にいる俺達に視線を投じた。

なぜか皆優しい目をして見ている。いや違うこれは哀れみの目だ!


つーことはー?


もしかして?


清きものって・・・


DTって事なのかなああああああああああああ!!!




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ