第52話 こいつが正体か?
突如俺達の目の前に現れたのは、しっぽが3本もあるイモリのような生き物だった。
田舎じゃ イモリ ヤモリ トカゲ と似たようなやつらが生活圏内にウヨウヨいるが、俺達の目の前にいるのは 腹が赤いから イモリ のはずである。ま、イモリにゃ三本ものしっぽはないが・・・
しっかし でかいな!おい!
先程の電撃の主はこいつだろう、俺達は固唾を飲んで距離を取り、化け物イモリの様子を伺った。すると腹の部分がだんだんと赤く光り出した!
おいこれ、ヤバイんじゃねーか!?
「くるぞ離れろ!」と三人を朽ちた柱の上に登らせて、俺は衝撃に備えた。
シャアアアアアアアアアアアアーーーーーー!
と洞窟内を振動させるような、気味の悪い音がビリビリと響くと。
バリバリバリバリバリ!!!と青青白い電撃が三本のしっぽから放たれた!
「クッ!!!」
俺は強烈な電撃をまともに食らったが、要の遠隔防御呪文と、ケンさんの回復薬のおかげで、多少の傷を負ったものの、なんとか攻撃に持ちこたえた。
その時
「尊!しゃがんで!」
鋭い千年の声が俺の背後から響いた!
弓を三本つがえた千年が素早く化け物イモリに矢を射った!
電撃を放ったあとはどうやら一瞬動きが止まるようで、イモリの横っ面に三本の矢が突き立った!
更に正面から「ダイヤモンドカッター!」とニコルちゃんも追撃をかます!するどい硬質のガラスのような刃は次々とヤツの顔面に刺さり、のたうち回るイモリの化け物からはダラリと気持ちの悪い体液が流れている。
しかし、化け物イモリは水たまりの中をバシャバシャと暴れまわるばかりで、これでは千年の弓では狙えない。
しかもこの巨体・・・広い場所とは言えここはダンジョン内・・・そこを巨体がゴロゴロと動くため俺達も必死で逃げ場を確保しないと電撃以前に化け物イモリにつぶされてしまう!
しまったこれじゃ手出しができない!
今、俺が電撃を食らったから電撃を使えるようになっているはずだが、電撃使いの相手に電撃が通用するとは思えない。
そうだ!
「グラビデ!!!」
俺は、ヤツにグラビデをかけてみた。これでヤツは動けないはずである。ヤツの動きを封じれば、千年の弓で・・・行ける!
とことが・・・若干動きが遅くなったくらいで、どうもグラビデが効いていない・・・?
ん・・・?
もしかしてこれって、四足歩行で重心が低い奴にはあまり効果ない魔法なのか!
もしくは俺の魔法が弱いのか?
しかし、若干だが動きの鈍った今しかない。やるしかない!
「俺がおとりになってやる!千年打ち込め!!」
「わ、分かったやってみる・・・!」
千年は弓を引き絞った
しかし、ヤツの腹が徐々にまた赤く光り出した!
「来るぞ!」