第51話 遭遇
先頭にふわりと進み出たニコルちゃんは
「綺麗・・・」
と、両腕を胸の前に組み、うっとりした表情を浮かべ周囲を見渡した。
それもそのはず、狭くなっていた通路の先には、今までの洞窟とは全く異なり、ところどころ朽ちかけてはいるものの人工的に切り出された石が整然と積まれた広場のようになっており、神殿にあるような柱まで連立している、そして様々な色をした大きな水晶がまるで植物でも生えるかの様に存在し、あちらこちらで自ら淡い光を放ち、この地下の広場を淡く照らしている。
「綺麗・・・綺麗・・・」
吸い寄せられるように一歩一歩進んで行くニコルちゃんを、俺はハッと我に返り引き留めた。
ニコルちゃんの進む先には水たまりがあり、それが 波立って いたからだ。
この水の中、もしくはこの先に何かがいる!
「ニコルちゃん離れて・・・」
この様子に千年も気づいたようで、驚かさぬよう優しい声でニコルちゃんを要の後ろへといざなった。
千年は波打つ先に弓を向け、息を殺して照準を合わせた。
俺は魔力を増強するため、千年は弓の精度と力を増すため、ポーションを一気に飲み干し、お互い目配せをすると、水たまりへポーションの空をコロコロと投げ入れてみた。
すると
バチッバチッバチッ!! と、水たまり全体が目が眩むほどの明るさで、青白く光った!
なんだ!電撃か!?
投げ入れたポーションの空は無残にも、砕け散り黒焦げになっている!
こりゃヤバイぞ・・・
要は素早くニコルちゃんを肩に担ぎ上げると、すぐさま防御の呪文らしきものを唱え出した。
「お兄ちゃん!あの岩!天井が崩れ落ちたところの後ろに、何かいる!!」
と、ニコルちゃんが、指をさした方向に何か素早く動く影らしきものが見えた。
なんだあれは!
「お兄ちゃん来るよ!」
物陰から素早い動きで現れ出でたその モノ は、四つ足で全身真っ黒で腹は赤く光り、口からは陽炎のようなものを吐いているいるように見える!
ちょ!ドラゴン!?いや違う!!
「イ、イモリ・・・?」
千年は眉間にしわを寄せながらいぶかしげに、そのモノを見つめた
「イモリ・・・な訳ねーだろよ・・・」
「イモリがこんなデカイかよ・・・」
俺は唸るように千年に言った。それもそのはず、俺達の前に現れた黒光りする ヤツ は体長が頭からしっぽまで含めると5mはあろうかというバケモノだ!
しかも気味の悪いことに、しっぽが3本もありやがる!その異形な姿をしたイモリが薄暗がりのなか、ぬめりを帯びた漆黒の不気味な姿をさらしている。
やだこれ!リアルにヤバイやつじゃん!!
帰りたーーーーーーーーーーーい!