第49話 モンスター遭遇?
「キャッ!」
最後尾を務める千年の鋭い悲鳴が、暗闇に包まれたダンジョン内に響いた!
「どうした!千年!?」
俺は素早く振り返ると、要はニコルちゃんをかばいつつ素早く俺の後ろへと回った。
「キャッ!やぁっ!」
尚も千年の悲鳴は続き、千年は何かを振り払う動きを必死にしている。一体何を振り払っているのか?
よくよく見てみると、一匹の小さな蝙蝠が千年に向かってペチペチとぶつかっているのが見えた・・・
千年さん、ちょっと大げさじゃないですか?もしかしてこの暗闇ダンジョンにビビってる?小学五年生のニコルちゃんですら怖がる素振り見せないってのに、この細マッチョはこんな小さな蝙蝠にビビッてるんですか?
「グラビデ」
俺は右手をちょっと前に出してボソッとつぶやくと、小さな蝙蝠はポトリと地面に落ちた。死んではいないようだ。足元に落ちた蝙蝠は首の周りがふさふさして、カラフルで・・・なんか普通の蝙蝠とは違う?こいつもモンスターなのか?
「千年よぉ~、もしかして怖いわけ~?」
「え!何言ってくれらってるの?意味わかんない!」
「いやお前今、『くれらってるの』って言ったよな?らってるってなんだよ、らってるてよ~」
最近はちゃかされる側ばっかりの俺だったからか、ついイタズラ心に火がついて思わず言ってしまった。
「あ」
千年は顔を真っ赤にしたまま、無言で弓を肩から下ろすと俺に向けようとした。
「すんません、千年さん、冗談です!」
ま、そうだわな~。リアルでさえ洞窟探検なんてしたことないってのに、この異世界で何が出るか分からないダンジョン探索なんだもんな~。
そらビビッて当然だわな~。
俺は腕を組んで少しだけ反省した。千年には(ちょっとだけ)悪いこと言っちゃったな・・・
って、なんかさっきからコツコツコツコツ俺に小石みたいなもんが当たってんだけど!
と、ふと自分の周りを見てみると10匹ぐらいだろうか蝙蝠が俺に向かってぶつかってきている!
おいいぃぃー!
「グラビデ!グラビデ!グラビデ!・・・・!」
別に痛くも痒くもないが地味にダメージがくる。つーかめちゃくちゃ邪魔っ!
「ちっきしょー、面倒くさいなこの蝙蝠・・・」
そう言って千年と要達を見てみると、三人とも無言で天井を見ている。
俺も三人の視線を追って天井を見てみると、あらキレイ。夜空?天井に無数の小さな明かりが光っている。ちょっと待て?あれって!
おれは確かめるべく光を天井に向けて放った!そこには数百、いや万を超えるかといった数の蝙蝠が、びっしり天井にへばりついてうごめいているではないか!うわっ気持ち悪っっ!
その時、要が叫んだ「やめろ!蝙蝠に明かりを向けるな!やつら目がくらむと・・・!」と、すべてを言い終わる前に・・・半狂乱になった大量の蝙蝠達は、一斉にダンジョン内を飛び回った!!
「わーーーーーーーーーーーっ!」
「きゃーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!」
「怖いよぉーーーーーーーーーーーー!」
「・・・・・・」
時刻絵図とは正にこのことである・・・