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第27話 聖加の秘密


「ついて来い」


それ言葉だけぶっきらぼうに俺達に告げると、聖加は食堂の椅子から立ち上がり、3人分の代金を支払ってギルドの外へ出た。


黙って俺たちを先導する姿は深くローブに隠され、まるで自分の姿が人に見られてはいけないかのようだ。まぁ、あのきわどい服じゃねぇ・・・だが、ちょっと俺は気づいてしまったのだが、この服装はある程度本人の 希望 にそって作られている気がする。


現に千年の服も、良く見ると巫女の夏の衣装を色を変えミニ丈に着崩したように見えないこともない、装飾や装備がキンキラキンなのも、いかにも千年が好みそうなのがなんとなく分かる・・・。俺も、いや俺はその・・・まぁそれなりにイケてると思うよ!


そうなると、聖加の服も本人の希望のはずなのだが・・・なぜ頑なに隠す?



俺たちは黙って聖加の後をついて街はずれっつか、先ほどの湖、龍神湖まで来ていた。


ワームを倒した場所も生々しく残っている。そこでは役所の人達数人が光の粒を集めていたり、崩れた湖畔を測量していたりしている。


あの光の粒は一撃で仕留めないと出ない代物らしく、そしてこの世界を構成していく上で大切なものらしい、だからどっかのおっさんみたいに闇雲にバラバラにして退治するとダメらしいいのだ。


「あっ!聖加さあああーーん♡ 先ほどはありがとうございましたああーー!」


光の粒を集めるのに牧野もかり出されているいるようだ、先程までモニターで指示をしていた鷹見さんが牧野をこづいて、俺達に微笑んで会釈をしてくれた。



聖加はどんどんと湖の水源の上流へとのぼっていく。


あ、そっか!この先には聖加の家であるお寺があるんだった、聖加は自分の家へ俺たちを連れて行っているのだ。


その寺はなかなかの山奥にあり、もちろん普段は車で上がっていくのだが、今の世界では徒歩一択・・・


100段以上あろうかという、空に向かうかのごとくまっすぐ伸びた階段はなかなかキツイ・・・この世界では基礎体力が上がっていると思われるが、それでもキツイ。


つか、俺の装備重いんだよな~、だいたい俺魔法職だろ?なんでこんな重いのよ?

千年の方は弓矢を背負ってヒールのまま長い階段を登っている「おい、キツくねーのかよ」俺は額に汗しながら、涼しい顔して歩いている千年に聞いた。


「平っ気―」そういいながらヒールで爪先立ちの状態でひょいひょい上がっていく。


バケモンかこいつは・・・「つか、尊がなまってるんじゃないの?」と千年はケラケラ笑っている。


いつもならここで聖加がにこにこしながら、俺たちの喧嘩を止めにはいるのだが、今日の聖加は振り返りもせず黙々と階段を登って行く。


ようやく寺の屋根が見えてきた、さすが日本三薬師の一つ立派な寺である、伽藍の上には「月に三ツ星」と呼ばれる家紋が見える。それは、いつも日を浴びてキラキラと輝いている。


ちょっとの休憩も無しに、聖加はお寺の庫裏と呼ばれる住職らの住まいへと行った。


空気がかわった、なにかヒヤッとする。


玄関だけでも10畳はあろうかという広さに、俺には読めないが達筆で書かれた屏風が立っている。子供の頃はコレ怖かったな・・・なんて思っていると、


「まぁ、上がりなさい」と相変わらずぶっきらぼうに聖加は言うと、長い廊下を歩いて先導していった。確かこの先は聖加の部屋である。自分の部屋で話そうってのかな?


一番奥の部屋のふすまをスラリと開けると、そこはやはり聖加の部屋だった。


そして整理整頓された部屋の真ん中に布団が一枚‥‥


そこにはなんと「聖加」が寝ていた。


「は?」「え?」俺と千年はすっとんきょうな声を出して、横に立つ「聖加」を見た。


千年が眠っている方の「聖加」へと恐る恐る歩み寄って行く、俺ももう一人の「聖加」から止められないのを確認すると、俺も千年の後を追った。


間違いない、布団に横たわっているのは俺たちのいつの見慣れた「聖加」だ、長い黒髪、透けるような白い肌、頬と唇にはほのかに赤みがさしており、日本人形かと思えるほどに美しい。だが、息をするたびに上下する布団が、人形ではないことを示していた。


ちょっとまて!

聖加が二人いるのか??


俺と千年は布団に横たわっている「聖加」とチャイナ服の「聖加」とを交互に見直す。

チャイナ服の方の「聖加」は ふぅ と布団に眠っている「聖加」を見てため息をついている。


これって一体どういうことなんだよ!!!



「聖加」 が 「二人いる」 ってことは!!!!





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