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第18話 腹が減っては戦ができぬ


「天ノ茶々子?」


先にそう言ったのは千年だった。


「それな!」俺は思わず両手で千年を指差して言った。


さっき貰ったばかりのカードを見てなーんかモヤモヤしていたが、おかげですっと胸のモヤモヤが晴れた。



俺たちは一階に戻り、食堂へと来ていた。


もともとの世界でも役場の一画には食堂があり、交流スペースだったり、災害時の避難所だったりした場所だ。


異世界化した現在の食堂はまるでホビットでも出てきそうな酒場のような雰囲気だった。


あらやだ悪くないわー、中二病がまた出てきそうだわー。



「ほぅ!正式名称をご存じとは!どこでその名を知られましたか?」と見知らぬじーさんが話しかけてきた、見知らぬ?いや知ってる誰だっけ・・・すげえ見たことあるけど思い出せん!そのとき最初に俺たちを案内してくれた受付のバニーガールのお姉さんがニコニコしながら近づいてきた。


「村長~探しましたよ~来客がお待ちだって先ほどから申し上げてるじゃないですか~」


すげぇ笑顔だけどめちゃ怖え。


「ほいじゃの~またの~」


まるで徘徊する老人を保護したようにバニーガールのお姉さんは、村長を奥の部屋へと連れて行った。


見たことあるハズですわ、選挙ポスターで毎回見るもんな。もう4期も村長してりゃ、そりゃ憶えるわな。



話は、ずれてしまったが俺たちが持っているカードに描かれている女神は、実はよくある市町村のマスコットをリアルな感じにしたものなのである。


リアル とは ゆるくない って言ったらいいのか?


本来の世界での「天ノ茶々子」お茶が特産の村のマスコットとして可愛いんだか、ぶさいくなんだかよくわからない微妙なラインが皆に親しまれている。


ちなみに夏用の茶々子スキンの中にはにファンが付いてい・・・ゲフンゲフン!


「茶々子立派になって・・・」


よく分からんが千年が感慨深そうにしている。そういやこいつ何気にグッズ持ってたよな。



あ、腹減った


そういえば朝からこいつに連れ出されて朝食くいっぱぐれてたんだわ。


「千年メシは?」


「あ、そういやゆで卵しか食べてない。筋肉ちゃんのごはん♪」


世界観ここまで変わってんのに、おまえは普通にストイックですなぁ


「なんか食う?」


「だね」


千年はニヤリと笑うと「金はあるんや」と革袋をドサリと置いた。


ヤベー、こいつに金持たせておくと、全部食いもんになりそうだぜ。


「すいませーん」適当に手を上げてウエイトレスさんを呼んでメニューを貰った。


以前の食堂だと、うどんだのそばだのとか和食中心だったのだがメニューを見て俺たちは愕然とした。


「森の妖精のクリームリゾット」

「深紅!ドラゴンの息吹のポテトフライ」

「浮気なアールと健気なラムの追いかけっこサラダ」

・・・などなど、ほぼ口に出しづらい罰ゲームのようなメニューの名前なのである。


助けて・・・無理っす・・・。


「何がいい?」千年は超ニコニコ顔で俺に聞いてくる。


「飲みもんと食いもん!」


俺はきっぱりと言い切った。ここは千年様にお願いしてと‥‥


「じゃですね~、ビビデパビデブ!大きなトマトサンドと、古より伝わる魔法の実と、燃え朽ちかけたオレンジのドレスで♪」「あ、それとミ・アモーレ二つ先にお願いしまぁす♪」


超ノッリノリである。


でも俺は聞いてしまったぞ!


「オーダー入りまーす、BLTサンドと、オリーブとピクルスの盛り合わせと、オレンジクレープとカシスソーダのノンアルでー」とウエイトレスさんが言っているのを!



ミ・アモーレなるものをなんとなく二人で乾杯して、俺たちは食事が来るのを待った。

あ、これ旨い。カシスの風味がしゅわっとしたソーダと丁度相まって乾ききった喉を潤していく~。


ごっくごく飲んでると千年が俺に聞いてきた


「最初に会ったお姉さん名前知ってる?」


「お?」


ははーん、こんななりでも中身は男、さっきもこいつオッパイばっかり見てたからな~気になるんだな~


「確か、雛方さんじゃなかったかな?よく知らないけど」


「そうなんだ~いやね、実は良く見かけてたのよねリアルの世界で、あの人通勤方法変わっててさぁ、なんて言うのキックスクーターての?あれで通勤してるんよ」


俺はバニーガール姿の雛方さんが嬉しそうにキックスクーターを蹴って進んで行く姿を想像して思わずカシスソーダを噴き出してしまった。


「や、俺てっきりおまえが雛方さんの胸ばっかり見てたから、その、雛方さんに興味あんのかなと思ってた」


「あ~あれはね、あの人胸すっごいじゃない!でもねあの胸はタダの脂肪じゃなくて!ちゃんと大胸筋を鍛えた胸なのよ、しかもきちんと肘を曲げてトレーニングしてるから上腕二頭筋はきれいなままなの、その努力ときたら大変なものだと思う・・・なんか感動しちゃってさぁ」


あ、それでこいつわけの分からない表情してたのね。


「いつもキックスクーター乗ってたから「「キックさん」」って心の中で呼んでたけど、ごめんなさいだよ」


・・・ 


ホントにこいつの脳みそ筋肉なんじゃねーの?・・はぁ・・・




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