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第13話 チュートリアル


とりあえず千年を俺の部屋へ案内し、二人で話すことにした。


「それで朝起きたら、またこのカッコだし。親もなんかっ!こう変だし!ここくる途中もなんかいつもと全然違って、ザ中世!って感じで!!!」


俺はとりあえずウンウンと頷いたて、千年の肩をガッと掴み「はいはいどーどー、OKストップなんとなく分かったから」と、千年を落ち着かせた。


俺はとりあえず服を着替えようとクローゼットを開けたが…やっぱりあのカッコイイ、もとい中二病服がぽつんと一着しかない。


他にクローゼットはないか部屋の中を見渡すがクローゼットはこれ一つしかないようだ。もう一度クローゼットに目をやると例の服がクローゼットに今度はみっちりつまってやがる。


オイ!増えてるし!ああもうこれ着ろってか!!


俺は「しかたなく」その服を着る。


「しかたなく」であって決してうれしくなんてないんだからね!


「んーやっぱ中二だねぇ」千年がうわぁって顔で見ている。


「うっせ!」


俺は顔を真っ赤にして幾つあるんだというブーツのバンドを締めた。



「んでどーするよ」


千年がソファーに座りながら俺に聞いてきた、うわー足組むとエローい。


・・・って、しっかりしろ俺!


「そうだな、こんなゲームみたいな世界観の町だから・・・」俺は頭をフル回転させて言った。


「やっぱギルドとかあんじゃね!」

(安直な答えである)


千年はガバリと立ち上がり、左手は腰、右手はビシッと窓の外を指さして


「よし!村の中心にでも行ってみる?NPCとかいるかもよ!もし運営とかいたらしばきたおそう!!」と超笑顔で元気よく言った。


(千年もノリノリである、あれ?しばきたおす?)



さてさてまぁ予想はしていたが


街並みがモロ中世ヨーロッパですな。


素朴ながらもかわいらしい花で飾られた美しい家々。


石畳の道には露店が並び旨そうな果実や総菜、アクセサリー、何に使うか分からない道具など様々なものが売られ活気に満ちている。


川にはアーチ状の石の橋が掛けられ、果物や野菜様々な物を乗せた小舟が行きかい、人々は様々な衣装に身を包み買い物をしたり、食事をしたり、会話をしたりして実に楽しそうだ。


正に正に!ファンタジーの世界である。



「ねぇねぇ、なんかすごい可愛い!あっ見て見てなんかワッフルっぽいのがあるー、え♡蜂蜜?蜂蜜つけて食べるの?!ちょ!こっちはチュロスじゃない?私冷凍以外のチュロス食べたことないっ!」


もう千年はワクワクで、あっちの露店こっちの露店と見るのが忙しい。


千年の前を歩いていた俺はふと足を止めた。「ふぎゃっ!」千年は俺にぶつかって顔を打ったらしい。俺は顎に手をそえながら、逆光の一番かっこ良く見える姿で、千年に鋭い視線を投げ聞いてみた。


「で、ギルドってどこ?」


千年は「うーーーーん」と腕を組んで考えてポンと手を叩き自信満々に俺に言った。


「とりあえず、役場があったとこ行ってみよ!」


そだね、困ったらとりあえず役場っすね!


と、役場へ二人で向かって行ったが・・・役場に着いて二人とも顔面蒼白になるほどあっけにとられてしまったのである。役場が・・・役場が・・・そのまんまじゃねーかーーーー!


ここまでファンタジーむき出しの世界になっておきながら、役場は高度経済成長期に建てられたであろうコンクリートバリバリで、良く見ると後付けの耐震工事のパイプも生々しい・・・見慣れたボロ役場ではありませんか。


かろうじて役場の看板は古代の文字っぽい社会科の便覧で見た古代の北欧の文字ぽいものが書いてある。


「えっと、なんて読むんだ?」

「や、普通に 天ノ村役場 って書いてあるよねぇ」千年は少し困惑した顔をしつつ、役場のプレートを指でなどって 天ノ村役場 と、書いてあるであろうクネクネとした文字をおずおずとなどった。


そうなのである、絶対読めるはずのないルーン文字まがいの文字が俺たちはスラスラと読める。


「なんでだーーーー!」俺はいろいろな意味を込めて役場前で叫んでしまった。



すると、役場から出てきたおっちゃんから「どうした?」と心配されてしまった。


「いやその、役場が・・・」


俺は涙目で、ついおっちゃんにそう言うと、おっちゃんは恍惚としたまぶしそうな表情で役場を見ながらこう言った


「坊主には分かるのか、この建物本当に すばらしいよなぁ 数千年前の古代に作られた 遺跡 だとはとても思えない。ロマンだよなぁ」と、俺たちに言っているのか、自分に酔っているのか良く分からない表情をしつつ、ごついおっちゃんはうんうん頷きながらその場を去って行った。


おっちゃんいい雰囲気出してたけどよ、いやいやこの役場は戦後の高度経済成長期作やっちゅーの。


遺跡だぁ?えーい調子が狂うっての!


ってまぁ、今現在のファンタジー化の前のうちの村のハイテクはすごかったけど、役場の建て替えまでは予算がっ・・・無くてっ。夏は暑いし冬は寒いし・・・でも大事に大事に使ってきたよ・・・。


よその自治体じゃ山間部の役場なんてウッディーでオサレな建物に建て替えられてたりされてる中、時代の波に取り残されたような役所だったよ。


でも古いながらもこの役場愛着はあるよ。


・・・でも・・・そうだな ある意味 遺跡ちゃー遺跡だわな。時代に取り残されたって意味ではな!


目頭がナゼが熱くなってしまったが、とりあえず中に入ってみた。


あ、良かった中は普通にファンタジーだわ。


って普通にファンタジーってなんだ?だいぶ脳がやられて来ている。



大丈夫か俺?



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