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変な本

作者: 窪宮彩
掲載日:2019/09/08

信号待ちをしていた時、目の前の人のリュックから何かが落ちた。

あわてて拾って声をかけようとしたが、運悪く信号が青になり見失ってしまった。

改めて落としたものを見て見る。

それは花柄のブックカバーが掛けられた文庫本。

どんな本か気になってページをめくってみた。


あれれ、どこをめくっても真っ白なページばかり。

これは、本なのか。ノートなのか。

最初のタイトルのページも真っ白だった。

表紙はどうなっているのだろう。

やはり同じように真っ白なのか。


花柄のブックカバーを外してみた。

何と真っ白ではなく表紙と裏表紙は真っ黒だった。

中身が真っ白で表紙が裏表紙が真っ黒?

なんだこの本。変な本。


さて、この本どうしよう。

持ち主は、今の所現れないし捨てる訳にもいかないし、

もんもんと迷ったあげく、結局家までもって帰って来てしまった。


改めてこの変な本を取り出して見る。

もう一度ページをめくる。

相変わらず中身は真っ白だった。

あ、ちょっと待って最後のページに何か挟まっている。

さっき見た時はなかったのに。

しおり?

そこには金色の猫の形をしたしおりがはさまっていた。

さっきこんなのあったっけ。


不思議に思いながら、もう一度本のブックカバーを外す。

表紙と裏表紙は真っ黒のままだった。


この本は、どうなっているの?

中身は真っ白なのに最後のページにしおりが挟んである。

ということは、やはり何かが書いてあるのか。


ぼくは、ない知恵を振り絞ってかんがえる。

白に黒に、金の猫?

一体何のなぞなぞなのか。

金の猫のしおりをじっと見つめる。

その猫はとても美しくて、目が鋭い。

じっと見ていると今にも動き出しそうだ。

 

わからない。もうやーめた。

しおりを本の上に放り投げた。

そのとき黒の表紙の上でしおりの猫が吸込まれていった。

まるでそれは、パズルのピースがかちっと嵌る様に、

あるべき場所に収まっていくようでもあった。


え?今しおり吸い込まれた?

さっきまで手にあった猫のしおりが。

そして表紙を見るとそこにはしおりの猫の絵があった。

その表紙は不思議とずっとそこにあるべき絵だったように、

すっとなじんでいた。


パズル?

最初は色だけで、何かを当てはめるとだんだん出来ていく仕組みの本はなのか?

は?意味わかんない。

でももうしおりはないから、どうなるんだろう。


次の日、同じ場所で信号待ちをしていると、昨日と同じリュックの人発見!

きっとこの本を落とした持ち主に違いない。

今度こそ追いついてみせる。

そして本を返すんだ。

ぼくは、慌ててその人に追いつこうと人混みをかき分けて走った。

 

ようやく追いついた!

「あのう、この本昨日落としましたよね?」

「ああ、ありがとう。ずっと探していたよ」

「よかった。ではぼくはこれで」

「あ、ちょっと待って!変な事聞きますけど、この本の中身見ていないですよね」

「あ、はい。もちろん見てません」ぼくはうそをついた。あんな変な本見た何てとてもじゃないけどいえないや。

「じゃぁ、大丈夫です。あの本呪われているから」

「え、どういう事?」

「見ていないんだったら関係ないです」

「あ、でも一応聞いときたくて」

「あれね、私のコレクションなんです。気に入った獲物を捕まえる為の道具。うっかり中身を見てしまうとね、しおりになって私のコレクションに捕まる仕組みなんです。でも、残念だったよ、君のことすごく狙っていたのにだまされなかったんだね」ニヤリと笑うとぼくの目の前から消えた。

 

この声を聞いた瞬間、ぼくはぺらぺらのしおりになった。うそがばれたみたいだ。

「次の人が来るまでの辛抱だから」そう言ってリュックの男は次のターゲットを見つけるため今日も信号待ちで、再び本を落とすのであった。


そしてぼくは叫ぶ。誰かが本を落としても中身は絶対に見てはいけないよって。

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