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春の風、幕を開ける新章

【一章のあらすじ】

 和田伊尾屋はニッポンイチの魔術高等学校『エオズ学園』に合格する。その中でもトップクラスの『R組』へ入学する。

 入学早々、同じクラスの龍川宿、水栗一平、植澤揚子と友達になり、中学からの知り合い江頭純恋と再会する。

 伊尾也はリア充になろうと志し、ついに今日から目標の為の一歩目を踏み出す——。


「……ほう、これが今年の入学生か。……予想として、大株はユア=カーチン一択。後は首席の水野浦。副主席の谷。宇部野や庄司、金草や龍川、そして牧野や和田。この辺が過去の実績から見て強いだろう」


「H組にも綾鬼や桜大切、S組には海王や土立が強いだろうね」


 三年R組の教室。

 新入生の名前が一覧にタブレットに表示され、互いに分析しあっている。


  

 今日は始業式。

 生憎と天気は雨だが、体育館で開かれるので、あまり関係は無い。


 俺は朝食を済ませ、現在は自教室にいる。


「忘れそうになるから、今のうちに言っておくが、現代文の林原先生と化学の専田先生は、出張で休んでいる。従って、時間割変更。一限から四限が魔術で五限が数学、六限が外国語になる。少ししんどいかもしれんが、頑張って授業に臨むようにしてくれ」


 原が朝のホームルームで授業変更の案内をする。

 

 これは水栗から教えてもらったことなのだが、無属性生徒は実践の魔術Ⅰと体術の授業は受けずに、代わりとしてその時間に『情報科学』という授業をやるそうだ。(当然講義式である魔術Aの授業は受けなければならないが)

 しかし、今日に限ってはなにかあるそうなのでIA関係なく、無属性生徒も一限から四限までの授業に出なければならない。


「今から体育館まで行く。授業で使う戦闘道具一式は、教室に置いて廊下まで出るように。寮に忘れたヤツは始業式終了後、すぐに取りに帰るように」



 × × ×


「——続いては校長先生のお話です」


 生活指導やら学校での注意事項やらをダラダラと聞き、いよいよ最後の校長の話だ。


「……おはようございます。名森茂です。新一年生には入学式でも述べましたが、私から重要な話があります」


 きっと、あの話題についてだろう。


「……本校の校長、名森幸平はキュウシュウ戦争で戦死した」


 空気は重くなる。

 しかし、俺が想像していた上級生の反応とは違い、誰も喋らず、ビクともしない。


 あまりこの事柄に対して、感銘を受けていないことが窺える。


「この事件より私は自動的に校長となった。よろしく頼む」


 この入学式でも聞いた一連の流れを言い終えると、校長は胸ポケットに入れていた白紙を取り出す。


「そして、私が校長になるからには、新しい企画を今年度から実施する」


 ここで上級生がざわつき出す。

 

「一つ目は、体育祭。内容は検討中だが、全学年合同で行おうと考えている。

 二つ目は、学園祭。クラスやチームでなにか出し物を出して、保護者や他校の生徒を招き入れる。それ以上のことは同じく検討中だ」


 上級生が盛り上がる。

 しかし、体育祭や学園祭がない高校生活とは、どれだけ質素なモノだったのか。


「静粛に。……そして最後の三つ目が一番大切なコトなので、よく聞いてください。それは——」


「……学生軍隊『エオズ軍』に入ってもらう」


 現代ニッポンでは、高等学校の軍隊を持つことを許可はされている。しかし、やはり高校の時期は学問と技術向上が大切だと言う世間の声により、九割九分の高校は軍を作っていない。


 軍隊がある高校の例は、

 雪函高校(ホッカイドウイチの名門)


 笠市高校(ミヤギの名門)


 新メグロ高校(トウキョウ二位の名門)


 サクラガオカ大学附属サクラガオカ高校(トウキョウ三位の名門)      

                  などである。


 エオズはトウキョウいやニッポンイチなのにも関わらず、軍隊が無かった。

 その理由は『学問』を大切にしているからであろう。


 

 ブーイングが起こる、

 理由は簡単だ。


 真の上位学校となれば、ほとんどが軍隊を持ち、強制的に入らなければならない。だから、賢くて強くてなおかつ、軍隊に入りたくないヤツが軍隊を持たないこの学校に死ぬ気で勉強して入る。こんなケースは稀でもなんでもない。


「……以上だ。私の話を終わると共に第一学期始業式を終了する」



 こうして頭の整理が追いつかない第一学期入学式が終了した。

 俺たち一年生は何も分からないまま、時間だけが過ぎていった。


 

 始業式終了後、教室に戻り、戦闘道具一式を持ち出す。


 そして 二号館『魔術訓練室』へ向かう。

 

 始業式の話はとりあえず置いておき、いよいよ待ちに待った授業だ。


 ニッポンイチの学校の授業。


 ピンからキリまでいた中学とは違う。


 和田伊尾也、一人の人間として純粋に楽しみだ。



 「ほら。宿、水栗。行くぞ」


 


 


 




 

 




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