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終章I 春の風、通り過ぎる青空

 百合原さんと別れた後、俺は水栗の部屋へ向かった。

 そこには水栗本人と宿がベッドでゴロゴロと漫画を読んでいた。

 元から設置されていた机には電子機器がたくさん置いていて、その周りもゴチャゴチャと散らかしていた。


 寮は基本なんでも持ち込みOKだが、危険物などはアウト。場合によってはその時点で退学というものもある。

 

「思ったより散らかっているな……」


爪先立ちで背伸びをしながら、足の踏み場のある箇所をそろりそろりと歩く。

「すみません。あんな短時間じゃ片付かなくて」

「俺の部屋に漫画いっぱいあるから読みたけりゃ持ってけ。あ、部屋開いてるから」


 宿はページをめくりながら、親指で宿の部屋の方向を指す。

「……おう、了解」

 

 その後だらだらと過ごし、一日が終わった。

 ちなみに晩飯は昼とは正反対で塩サバ定食。白飯に味噌汁、塩サバに漬物。そして、デザートに林檎。

 特に味に支障はなく、むしろ美味しかった。

 あ、昼食べたヤツは食べた当日食べ過ぎで腹を壊した位で、それ以降は何日経っても身体に異常は発生しなかったし、当たることもありませんでした、と。



 この一週間の休みで色々なことをした。

 学校の施設に見学しに行ったり、顔知らぬR組の生徒のところへ会いにいったり、あとは校舎裏の運動場で知り合いになったヤツと遊んだりと……とにかく色々した。

 順調なスタートダッシュを切り、『リア充』という俺なりの小さな夢が達成できそうだ。

 少しだけ感じていた不安も和らいだ。


 

 桜が散る。

 寮の窓際には満開に咲いていた。

 空を見上げると、青空が広がっていて真ん中には一本の軍事飛行機によって作られた飛行機雲がうっすらと見えていた。

 

「…………」


 ネクタイを締める。

 今日は始業式であり、初授業。


 四月八日 月曜日。


 一週間の休みとはいったが、正確には六日だ。

 

 ズボンを履き、ベルトで止め、最後にジャケットを着る。

 

 室内ながらも春の匂いがふわりと香る。


 食堂へ行く用意を済ませ、玄関の取っ手口を握る。


 

 ここまでの古い記憶、いや【過去】というべきか。

 それがどんなに重苦しくて、やるせないものでも。

 歩むしかないこの選択は。

 厳しいようで。

 だけど、レールが引かれていることは。

 厳しいどころか甘い。

 それがニッポンの高校生。

 いやこの世の学生全員にも共通して言える。

 

 人生の分岐点は今までにも沢山あったが、【大きな】分岐点というものはここが初めてだ。もちろん何が大きくて何が小さいのか、そんなことは人の感性によるものだが。



 これから新章の幕が開く。

 とうとう待ち侘びた学園生活の始まりだ。

 少しだけ唇を噛み、閉じていた目を開ける。

 

 

 桜の花びらがひっついた扉を大きく開けた。

 

 


 

 

 


 

 


 





目途恋利です。

【終章I 春の風、通り過ぎる青空】を読んでいただきありがとうございました!

 全く本調子じゃなかったのですが、なんとか一章書き切ることができました!


 さて、私も次回以降本気で書く(かもしれない)ので、是非ブックマークなどして頂けると幸いです!(されると、泣きながら飛び跳ねて喜びます)


あと1200pv、450ユニークありがとうございます!!これからも精進します!!

 

 以上!


Twitter/目途恋利@小説家になろう

https://mobile.twitter.com/XIf67dsX45b6GDg

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