プロローグ 〜西暦二○一四年 三月十日〜
初めまして。目途恋利と申します。まずは、この作品に目をつけて下さり、ありがとうございます。この作品の更新頻度は、不定期投稿となります。ですが、2週間に一回は絶対に出したいと思っています(笑)
何か誤字やアドバイスがあれば、ご指摘頂けると幸いです。
「打て!!とにかく打つんだ!!
畜生……サクラDの援軍はまだなのか……三田指揮官はこんな時に限って何をしている!亅
「名森副総長!
サクラAB隊・ヨロズ全隊が全滅しました!
サクラC隊やイケヤA隊の残機も残り僅かなようです!」
戦火が飛び交う中、ニッポンの指令室では、まるで敗北を意味するかの様な会話が繰り広げられている。
「くそ………
三田を出せ!三田を!三田圭一に繋げろ!」
「駄目です!繋がりません!」
「何故だ!
あいつの守地はカゴシマだろ!カゴシマはまだ攻撃を受けていない筈だ!」
ニッポン軍副総長名森幸平は、総長の坂上岳人が銃殺されて以来、総長を務めている。しかし、総長といえども、指揮官や大臣等がいなければ話にならない。
「………全隊に命ずる。一時撤退だ」
名森は戦略的撤退を命じた。どんどん軍を引き上げていき、最終的に、荒れた戦場は敵軍と死体だけになってしまった。ニッポン軍はこうなってしまえば、降伏するべきだろう。
「………残機を確認する。サクラC隊160人中18人、イケヤA隊は130人中24人、と」
名森は「はぁ……」とため息をついてから、名森の細い目を限界まで大きくし、机に書類を机に叩きつけながら大声を上げた。
「たかが200人弱で世界技術力No.1のマンモス国を潰せるわけねーだろ!馬鹿なのかお前らは!もう少し頭を働かせたら分かる話だろーがよぉ!」
「しかし、三田指揮官がこのような命令を致しまして……」
「三田は駄目なやつぐらい知っているだろ!自分たちで考える事ぐらいしろ!」
「………」
理不尽。
理不尽という言葉がこの場合一番当てはまるだろう。
指揮官の言う事は絶対、そういうルールがある。
もし彼らが自分たちで動くと、当たり前かもしれないが、罰が下る。
「……………解散する」
彼らは荷物をまとめ、自分の基地部屋に戻っていった。
「副総長。私達も戻って良いですか」
「壱大臣ですか。良いですよ」
基地の居間では、名森だけが残された。
「…………………………そこにいるんだろ。三田」
名森は入口の扉を睨みつけながら、そう言った。
すると、扉が、ギギギギギギギギと音をたてながらゆっくり開いた。
「お見事です。名森副総長。
流石、銃、魔術、体術を察知できる三体視力反応魔法は伊達ではありませんね」
「レベル3の銃を察知した。直ちに銃を置け」
三田は後ろに腕組みをしながら、ニヤニヤと笑っていた。
「何が目的だ。俺は今、指揮官変更願の書類を書いている。お前には呆れた」
「フフッ……
私の目的は――ニッポン軍を潰すことです」
三田はそう言い、名森に銃を向けた。
「…………止せ。三田、ここで俺を殺そうが隣の部屋で寝ている軍人らがすぐ駆けつけてくる。42対1だ。勝ち目はあるまい」
「皆殺しておきましたよ。この銃で」
「………!?」
「この銃は科学式無音ミサイル銃と言いましてね。狙った相手を一瞬で仕留めることが出来るんですよ……こうしてね」
仮部屋から「どうしましたか!?」と走ってきた壱大助大臣が、三田が所持する銃から電気のような銃玉が無音で銃口から発射され、壱大臣の心臓を貫通し、叫び声も上げる暇もなく、床に倒れてしまった。
「どうです?面白いですよね」
振り返った先には、腰を抜かした名森がいた。
「あれ?抵抗しないんですね?残念です」
そう言いながら、三田は引き金を引いた。