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ムーブメントを起こせない理由(考察)

作者: みももも

 何か面白いことを思いついた。

 何か面白いものを発見した。


 だからとにかく、周りにこれを流行らせたい!


 そう思って行動するけれど

 たいていの場合は失敗する。

 自分が空回りするだけに終わり、周囲からは冷たい視線を浴びることになる。


 あるいは他人が何かを流行らせようとしている様子を高みから見下ろして

 もがいている様子を嘲笑する己は何者か。



 とにかく、かように流行を作り出すことは難しい。

 他人が行っている無謀を見れば、それが無謀であることはわかる。

 自分が行おうとしている行為も実は無謀なのではないか。 そんなことにも容易に想像はつく。


 だが、であるならばどうすれば良いのか。


 いつまでもこの、暗く陰鬱とした世界で過ごすのか。

 あるいはこの世界に見切りをつけ、新しい世界に旅立つのか。


 それもまたよい。

 明るくて暖かい世界は、案外身近に存在するのかも、しれない。


 隣の芝生は陽光を浴びて青々と茂っているけれど、そちらからみたら日陰のここは涼しくて過ごしやすい場所なのかもしれない。

 自由気ままな猫のように、体が冷えたら日向に移り。 暑くなったら日陰で涼む。

 そんな生き方こそが、本来あるべき姿なのかも、しれない。



 でも、人間はそうはいかない。

 人間は、ただの日向や日陰では満足ができない。

 暑ければ屋根を作り日陰を作る。 寒ければ、火をたき暖をとる。



 楽しいことをしたい。

 そのためには、自分自身で環境を変える必要がある。

 自分一人ではできない。

 だから、仲間を集める必要がある。


 で、ここからがようやく本題。


 仲間を集めるためには、何かしらの行動を起こす必要がある。

 だけどその行動は、たいていの場合は失敗する。


 もしかしたら、失敗している経験が目立つからそう感じるだけなのかもしれないけれど

 それでも、入念に立てた計画ですら失敗する理由。

 ムーブメントを起こせない理由 について考えてみた。


 結論から書こう。

 その理由はたぶん、「熱の伝え方に失敗しているから」なのだと思う。


 私も最近、周りを巻き込んで何かを始めようとして、盛大に空回りを起こした経験がある。

 そのとき一番に感じたのは、周囲との温度差でした。


 自分の中には確かな熱量があり、その熱量でみんなを熱く熱していきたいと思っていた。

 でも失敗したら怖いと思って、何度も自分なりにシミュレーションをして、プロットも立てて、誘い文句も何度か推敲して・・・それで最後に勇気を振り絞って話しかけた結果、周囲から帰ってきたのは冷たい視線だった。


 べつに、私としてはある意味慣れていたから「まあ、こんなもんか」と特にショックを受けなかったんですが。


 そのとき思い出したのは、学生時代の理科の授業かなにかで、熱した鉄球を冷水につけるような実験か何かの様子。

 赤々と熱せられた鉄球が水につけられた瞬間、周囲の水は瞬間的に沸騰する。

 だけど、見た目は派手に沸騰していても、水の温度はじつは、ほとんど変わっていなかったりする。

 やがて鉄球の持っていた熱は水中に溶けていき、水は良くてぬるま湯になる程度にしか暖まっていない。


 ようするに、こういうことなのではないだろうか。

 自分一人の計画の中では、素手で触れると危ないぐらいの熱量が蓄えられている。

 だけど、世間という水に浸したとしても、瞬間的に沸騰することはあっても長続きはしない。

 鉄球に蓄えられた熱を全て放出したところで、その水は熱湯からはほど遠い。


 もしかしたら、熱狂的なブームを作るために必要なのは、自分の中の鉄球を暖めることでも、熱した鉄球を水に沈めることでもなく、たとえば根回しをしたりとか。 たとえば一人一人仲間を増やしたりとか。

 そういう、水の入った容器自体を暖めるための工夫をすることなんじゃないだろうか。



 そして自分は突沸を防ぐ沸騰石の役割にでも・・・

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― 新着の感想 ―
[一言] なるほどなぁと思いました。 熱した鉄球を水に入れても弾ける部分はほんの僅か。 さらに器が大きければ大きいほど常温で無反応の部分が残りますね。 なら器ごと水を揺らせばいいのでは? 多少の変化は…
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